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北総線よもやま話2003
2020年3月の北総線よもやま話。このよもやま話は将来的に四季報として纏めていく前段階の落書きコーナー。
全社:新型コロナウイルス感染防止対策の展開
今般の新型コロナウイルスの社会的流行に伴い,北総線では感染防止対策が全社的に展開されている。
まあ…対策の内容としては国内の他鉄道事業者と同様。このへんは国交省(運輸局)の指示によるところが大きいだろうから,足並みは揃って当然。
対策の内容はいろいろ。旅客向けの対策と社員向けの対策で大きく分けることはできると思う。前者は旅客自身の努力なくしてどうにもならんけどね。なので啓発的な側面も重要で,発車標では啓発文章を登録して協力を促しているし,車掌による啓発放送も随時実施していた。あとは車両側窓の開放による換気対策とか,一部駅ではハンドソープを置いて手洗いを慫慂するとか,事業者としてやれることをやっている感じ。
社員向けには体調管理が大事になってくるだろうね。見える範囲ではマスクの着用が徹底されているけども,それだけではないでしょう。
まあ…現時点の状況をざっくり書いてみたけど,これ以上は書ける範囲にないね。
今後何があるかはわからんけど,このウェブサイトはすでに沿線を離れた人間が毎月せこせこ遠方から訪れた内容により書いているので,あまり期待しないでね。沿線の人間がも~~~っと詳しく書いてくれるでしょう。
営業:駅構内売店営業の廃止
ついにこの日が来ちゃったって感じだね。遠からず来るとは思ってたけど。
線内7駅(矢切,北国分,秋山,新鎌ヶ谷,西白井,白井,千葉ニュータウン中央)構内で営業していた売店が31日いっぱいで廃止されるんだってさ。今回の廃止で北総線全駅から売店は完全に姿を消すことになる。
しかし淡々と廃止を書けるほど北総線にとって売店の歴史は新しくない。なんてたって1978年度の北総線開業当初から売店は営業していたからね。当時の北総線は徹底して省力化に努めていたのだけど,売店だけはちゃんと有人のキオスクが置かれていたのだ。それはちゃんと理由あってのことだった。
開業当初から売店があったのは,当時の社内において売店の設置を「旅客サービス上欠くことのできないもの」と位置づけられていたからだった。売店の検討は北総線における営業施策のひとつとして行われ,1975年度からその検討に着手している。その位置づけゆえに駅の営業中いつでも利用できることを理想としていたみたいだけど,利用者の多寡を考えれば営業収支的に良くないということで没になっている。結果的に,様々な商品を扱う有人キオスクは時間営業として配置し,それ以外の時間は無人の自動販売機コーナーを常時営業させることで解決することになった。去年の季刊誌『ほくそう』春号(通巻111号)に開業当時の自動販売機コーナーが載っているけど,これが当時における売店営業のもう一つの姿だったのね。
そして,有人キオスクはホームではなくコンコースに置かれていた。ホームに置かなかったのは,当時はホームと駅本屋の間は階段しかなかったから商品の搬入が大変であること,ホーム上にゴミが散らばって美観を損ねることが理由だそう。こうしてコンコースに売店を置いたことで今日も北総線の売店はコンコースにあるのだけど,当時の売店施策は前述の理想像を前提としたあくまで暫定のものだったそう。当初は改札入ってすぐ目の前に設けられていた(これも先の『ほくそう』に小さく写り込んでいる)けど,後に自動販売機コーナーがなくなり,有人キオスクもラッチ外に移されて現在の姿に変わっていった。
そんな有人キオスクも代表格だったJRの「キヨスク」がそうなったように,最近はすっかり業態転換などで姿を消してしまった。北総線でも2000年代に入ってコミュニティ京成がフランチャイジーとして展開するコンビニ店舗が出店するようになり,開業当時に考えられていた「いつでも利用できる売店像」というのはコンビニ化で実現したといってもいい状況なのね。ただ,コンビニとして営業できるだけの需要が全駅にあるかというと正直微妙なのは事実だろうね。コンビニが展開されていく一方で需要の少ない駅では売店の閉店が続いていて,2012年度には5駅で一斉閉店(うち2駅は契約変更で後に再開)されるなど,売店の先が長くないのは明らかだったのだ。
長々と書いてみたけど,開業から40年あまり続いた売店はこれでおしまい。貼り紙には近隣の店を使えという文言があるので,もう次はないってことでしょう。沿線から見知った顔がまた一人といなくなるね…。
旅客:京急線駅名改称対応あれこれ
先月の記事のつづき。14日の京急線駅名改称に係る北総線内の動きを主管別に見てみましょ。
駅関係では,先月時点で準備されていた運賃表のほか,時刻表掲示板に出している路線図や所要時分表,広域路線図なんかが書き換わっていた。まあ要するに改称対象駅が載っている掲示物全般って感じ。
このうち運賃表や路線図,所要時分表は改称に際して新しく作り直したものに交換している。基本的には改称対象駅の表記を改めただけに留まっているのだけど,路線図だけは全面的に作り直しているよう。駅名表記方が各社のサインマニュアルに準じたものに改められている(都交除く)ほか,乗換案内も各社局の最新版を反映していた。ただし,泉岳寺は都交と京急でJR線高輪ゲートウェイ駅を乗換駅とするか分かれていることもあって,路線図上では都交に準じて同駅の記載があるものの,車両側のLCDには同駅の記載がないなど,各媒体での案内の統一はされていないのが現状ってとこ。
時刻表掲示板については,路線図・時刻表・地下鉄路線図(もしくはアクセス線接続時刻表など)が一括して印刷されているので,今回の更新では丸ごと刷り直している。…のだけど,地下鉄路線図だけ上からもう一回貼り直している。これは一部の駅名や路線表記にミスがあったからのようで,別に意図して最初からこうだったわけではないみたい。地下鉄路線図は都からデータ支給だと思ってたけどそうでもないのかな。ミスといえば西白井の所要時分表の羽田第3も英表記に些細だけどミスがあったよ(単語間のスペースがない)。
地下鉄路線図といえば昔から北総オリジナルの広域路線図を各駅に出しているけど,これは刷り直さずにシールで上貼りするだけの対応に留まった。今の路線図はそろそろ設置から10年くらい経つけど,今のところどうしても取替えないといけない変更がないのでうまく生きながらえている。
旅客:ゴミ箱分類の再見直しで装い新たに
今年度はゴミ箱にはじまりゴミ箱に終わる…そんなに好きなのかというほどゴミ箱を話題にした1年だったね。
昨年度末に「カン・ビン」が消えて分類が見直されていたゴミ箱だけど,1月になって投入口に対策が施されて復活。そんなゴミ箱の装飾が下旬から新しくなったのだ。
ざっくり写真の通りではあるのだけど,ピクトグラムや分類毎の色分けによって視覚的に分別を訴えるとともに,それまでの分類がまたもや見直されている。
今回の変更点としては,「燃えるゴミ」が「その他のゴミ」に戻ったのと,「カン・ビン」を「ペットボトル・缶・ビン」としてペットボトルを加えていること。「新聞・雑誌」の分類復活や「ペットボトル」分類の明示によって,「その他のゴミ」にそれらを混ぜないように禁止のピクトグラムが投入口に加えられているのも目につく。
分類毎の色分けは,旧分類とは一新された彩度の高い色を割り当てている。スーファミのコントローラよろしく赤青緑黄の4色を割り当てていて,黄:ペットボトル,緑:缶・ビン,青:新聞・雑誌,赤:その他のゴミといった感じ。積極的に実施している案内の多言語化は今回も例にもれず,投入口まわりの表記は4ヶ国語化されている。…のだけど,写真でも分かるように黄色に白で書くからペットボトルは遠目に何が書いてあるか全く読めんね。黄色に黒で書いている防犯カメラの表記と対照的だね。
まあ…結局この1年間ゴミ箱は何がしたかったんだろか…。分類に関しては減らしてみたけどまた戻したという感じでようわからんけど,設置場所はずいぶん減った。ホーム上にあったゴミ箱はすべて撤去され,コンコースの1箇所だけになっている。減らした背景とか鉄道事業者のゴミ箱事情を勉強した1年だった。まったく色気のない勉強が続く(わら
車両:7300形に車椅子スペース設置車あらわる
12月の記事で予定件名として紹介していた7300形の移動円滑化対応に動きがありましたよっと。12月のおさらいをしておくと,移動等円滑化取組計画書というバリアフリーに対する施策方針をまとめた文書を北総が公開したんだけど,そのなかで旅客車として唯一車椅子スペースをもたない7300形に対する該設備の整備(省令32条対応)を宣言していたのね。
で,2月から運用に入らなすぎ問題だった7318編成が今般の工事を終えたというわけ。本当は2月にしゅん功していたので2月度の記事で扱うべきだったんだけど,工事期間の関係で全く触れることなく3月になってしまったので今回の記事で紹介してみるっしゅ。
そんな7318編成の車椅子スペースだけど,基本的な仕様は7800形のそれと共通としている。といっても7828編成(3700形4次車)や7808編成(同5次車)のように車椅子スペースに非常通報器が設置された後の仕様がベースになっていて,7818編成(同2次車)や9808編成(同2次車)のように車椅子スペースだけ設置したというわけではないのだ。てことでけっこう大掛かりな施工内容となっているのね。
車椅子スペースが設置されたのは編成両端のM2c車。設置位置は他車と同様で,3人分の腰掛を撤去している。腰掛の撤去くらいで済むなら楽なのだけど,7300形は腰掛下に色々な機器や弁が艤装されているのね。暖房装置としてシーズヒータが艤装されているのはもちろんのこと,蹴込にある網の箇所には温風ヒータがあるし,その蹴込に「M60」という銘板がある箇所には吸気弁がある。そしてドアコックの配置から分かるように,側引戸間の腰掛下には戸閉電磁弁なんかもあるわけ。今回の工事ではそんな戸閉電磁弁や温風ヒータを移設したり,シーズヒータを撤去したりしている。施工後の配置を見た感じでは7800形と同じっぽいけども。
腰掛を撤去した箇所には新たに床敷物を施工しているほか,網棚は短縮された上で撤去箇所には7800形同様の握りパイプを整備している。この関係で外板内張りのメラミン化粧板の張替えが発生しており,該箇所においては車体改修実施時に張替えた袖仕切等と同様の化粧板を施工していて,化粧板の柄の違いがはっきり見て取れるね。ちなみに該箇所の車額は再用品みたいでちゃんと桟が2本入っていたよ。
非常通報器については7800形と同じタイプで言うことなし。車椅子固定用具箱は7800形のようにオフセットできずに張り出しているけど,これはどうにもできない事情とかあるんでしょう。5300形だって後から設置した編成はそうだったしね。
7318編成が2月に車庫で引きこもっていたのは車椅子スペース設置工事もそうなんだけど,補助電源装置のSIV化も並行して実施していたからだったのね。北総車全体では昨年秋に9800形が同様の工事を施工しているけど,先般の9800形はあくまで京成の施策として実施しているだろうから,北総の施策として実施するのは今回の7318編成が初めてということになる。機器は9800形のときと同じで,T車の補助電源装置をDC-DCコンバータからSIVに置き換えるというもの。詳細は11月の記事で書いたからそっち見てちょ。
車両:京急線駅名改称対応あれこれ
車両分野の駅名改称対応を見てみましょ。他社局ではもっと早い時期から対応を始めていたけど,北総車は13編成と限られているからか,改修開始は3月に入ってからとずいぶん瀬戸際の改修だった。
車両関係では表示器のソフトウェア変更がメインだった。行先種別表示器と車内案内表示器,それらの上位機器である表示制御器が改修対象になっていたようね。設定器については改修対象外。それもそのはずで,設定器は表示制御器に対して行先や距離情報などの電文を吐いているだけで,肝心の表示は表示制御器以下で制御させているのね。だから設定器は生で案内表示に関わる機器ではないということで,不要不急に改修しなくても済んだってことだね。
改修を終えた車は3月頭から走り始めていた。改修した車には表示制御器に青色のシールが貼られていたので,それが目印といったところだろうね。改修の状況は表示器の表示内容でも判断できたけど,これは今回の改修によって駅名表示を各社局のサインマニュアルに沿った表示方に変更していたため,当該表示を確認することで容易に判断ができた。具体的に何をどう変えたのかは別に記事を立てて紹介する予定(予定は予定)だけど,箇条書きとしてはこんな感じ。
- 京急線内の駅名改称に伴う駅名表示の変更(車外・車内)
- 駅名表記方を各社局のサインマニュアルに準じる表記に変更(車外・車内)
- 一部駅における乗換案内の追加(車内)
- 他社線直通時に境界駅手前で直通運転となる旨の案内表示を追加(車内)
- 啓発表示画面の「非常通報ボタン」を「非常停止ボタン」に変更(車内)
改修を終えた日から駅名改称日までの間の扱いについては,LEDスクロールの車と15型LCDの車は車内案内表示器を無表示として,17型と19.2型LCDの車はそのまま走っていた。これは指定日以降に表示内容を読み替える機能を表示器が持っているからで,この機能をもたない車両は表示制御器側で無表示扱いにされていた。羽田国際が開業したときも同様の扱いだったのでいまさら驚くこともないわね。
表示器以外では車額に掲出する路線図も張替えられている。基本的には張替え前と同様の掲出方法をとっているのだけど,7500形だけ様子が違っているから面白いよね。これまで7500形は車内案内表示器を持たない側の側引戸カモイに路線図を掲出していたのだけど,これは千鳥に配置された車内案内表示器のあるカモイには車額がないからだった。
ところが,去年12月から車内案内表示器が順次LCD化されたことで車内案内表示器側のカモイにも車額ができたのね。そして今回,7501編成は車内案内表示器横の車額に路線図を掲出した…のに,7503編成は従来どおりに車内案内表示器の向かい側のカモイに路線図を出し続けている。なにがしたいのかは全くわからん。
電力:電柱番号札のわだい
あんま意識して見てなかったのだけど,ここ最近になって電柱番号札をシール式とする箇所が出てきたみたい。
北総線の電柱番号札には,昔ながらの横長のものと最近の縦長のものが混在している。いずれも樹脂板のようで,基本的にはステンレスバンドで柱に巻きつけているのだけど,駅上屋などの一部には柱に直接貼り付けている箇所もあるのね。てっきり後者だけかと思えば,ステバンで巻きつけていた番号札もシールになっている。
ざっと見た感じではシールになった箇所は駅上屋や本屋に対するものばかりだったけど,まあ他でシールにできるかといえばちょっと微妙かなあ。
電力:印西牧の原構内LED化の進捗
先月の記事ではまだまだこれからといった感じだった牧の原の照明LED化の状況トレース。
ひとまず上りホームの照明はLED化されていたのだけど,下りホームは蛍光灯のまま。コンコースにあった資材も看板もなくなっていたので,工期的にもこれでおしまいかなあ。とはいえ,下りホームを蛍光灯のまま残す理由はないだろうね。照明LED化については経年を見て施策を進めているみたいだけど,牧の原については1995年度の開業時点でホーム2面どちらも供用しているので,この点において後回しにする理由はなさそう。千葉ニュータウン鉄道(CNT)区間では牧の原だけ規模が大きいので,工事を平準化していくのであれば牧の原を2カ年に分けるというのも手なのかなと思ったよ。てきとうだけど。
信通:矢切・東松戸間C-ATS化の進捗
昨秋から現地の動きが活発化してきた矢切・東松戸のATS更新について,いよいよ工事主体となる信通関係の設備が設置されてますよっと。
すでに昨年中からB点用の防護マクラギや器具箱基礎などの準備が進んできたけど,2~3月にかけて一気に信通関係の設備が姿を現しているね。閉そく信号機外方に置かれるB点には袋を被ったB点標識が植わっているし,基礎の上には現場器具箱も設置されている。1月の記事で紹介した大橋機器室(?)にはケーブルが引き込まれているし,かなり実感的な感じになってきたね。
上の写真は秋山の上り出発相当信号機に対するB点だけど,他の箇所も同様みたい。すでにトラフルートが完成し,ケーブルも布設されてB点らしい姿になっている。
雰囲気としては去年のちょうど今くらいの時期に新柴又で見ていたのと同じような感じなので,スケジュール感としては高砂・矢切間の前例にそって進むんじゃなかろか。だとすると次年度第3四半期には切替を迎えることになるのだけど,2020年度はオリパラで夏季の終車延長で作業間合いがとれずに工期を伸ばして考えていただろうから,第4四半期くらいの切替が現実的な着地点かなあ。…まあオリパラ伸びた以上どうなるか知らんけど(わら
おまけ
9808編成の冷房機。1月に9801号車#1が変わったと思ったら3月には9808号車#1も変わっていたよ。
9802号車#1と9803号車#1も交換から日が浅いので全体で見ればけっこうちぐはぐだね。
ただの定期列車。
パスネット時代のこれが残ってる箇所があるんだね~。
最後に…今月は社会的な情勢悪化と当方の調整能力不足により調査が追いつかず,沿線の協力者のみなさまにたくさん助けて頂きました。本当にありがとうございました。
これで2019年度はおしまい。いよいよ2020年代ですってよ。みなさま良い年度を。