沿線点描

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北総線よもやま話2001

2020年1月の北総線よもやま話。このよもやま話は将来的に四季報として纏めていく前段階の落書きコーナー。

旅客:「カン・ビン」ゴミ箱ふたたび

北総線のゴミ箱に「カン・ビン」が帰ってきた。姿を消したのが3月のことだったので,しばらくぶりである。

しばらく見ない間に変わったね~なんて感想をゴミ箱に抱く日が来るとは思わなかった。その理由は「カン・ビン」のとなり,「新聞・雑誌」の投入口が小さくなったからなのだけど,わざわざ新しいゴミ箱を用意しているわけはない。以前のゴミ箱の投入口の上に新しい投入口の板を重ねてビス止めしただけのお手軽な改造で済ませている。

口が小さくなった「新聞・雑誌」と復活した「カン・ビン」

△口が小さくなった「新聞・雑誌」と復活した「カン・ビン」

しかもこの改造,「燃えるゴミ」や「カン・ビン」など他のゴミ箱に対しても行われている箇所もある。これは投入口そのものを塞いでしまうというもので,コンコースに置いているゴミ箱は投入口を両側に設ける必要がないため,片側に対して鉄板で塞いでいる。

ゴミ箱は不審物を突っ込まれないようにあの手この手でテロ対策をしているわけだけど,「新聞・雑誌」に関しては突っ込まれると同時に持ち去られるという問題もあるわけで,投入口を狭くするのはそういう意図も少なからずあるんだろうね。

片面仕様になったゴミ箱

△片面仕様になったゴミ箱

運転:日医大折返し扱いの修正

年始早々にしれっと変わっていた話題。おいおいダイヤ修正の話なんて何も聞いてないぞという反応が大半なんじゃなかろうか。それもそのはずで営業列車の時刻には特段の影響がない変更で,日医大での折返しが年始最初の平日ダイヤ運転となった1月6日から変更になっている。

さていまさら説明不要な感があるけど,北総線下り列車における日医大の折返し方法には大きく2つの方法がある。ひとつは起点方の渡り線を通って1番線ホームに直接据え付けるもの,もうひとつは渡り線を渡らずに2番線ホームに据え付けた上で終点方に2本ある引上線のいずれかを使って1番線に入換するもの。

日医大構内の配線は1面2線で通過線を持たないので,前者のようにホーム上で直接折返すような方法はアクセス線列車に支障することから朝晩の一部列車に限られていて,大半は引上線を使って折返す後者の方法がとられているのが実情。そんな引上線は2本あるので,海側のB番線と山側のA番線の2線を概ね交互に使うように予め列車ごとに使う引上線の番線が決められている。これが日医大の基礎知識。

935Nが遅れると図中の点線で詰まる

△935Nが遅れると図中の点線で詰まる

で,今回の修正で変更となったのは平日第847Tとその続行である平日第935Nの2列車。もともと第847Tは10:36に日医大2番線に到着後,入換信号機11Rの現示に従い山側のA番線に引上げ,入換信号機13Lの現示によって1番線に据え付けられ,10:53発の第1046Tとして折返すようになっていた。一方の第935Nは10:48に日医大2番線に到着し,入換信号機11Rの現示によって海側のB番線に引上げ,入換信号機14Lによって1番線に据え付けられて11:16発の第1134Nとして折返していたのだ。

これが入れ替わったということは,すなわち第847Tは海側のB番線,第935Nは山側のA番線を使うようになったということ。なんでまたこの2本だけ…というのは,おそらく第935Nの遅延対策だろうね。

第847Tも第935Nも羽田空港発の列車…つまり平日朝の京急線からの乗入れ遅れで日常的に遅延してくる列車なのだけど,このうち第935Nとして下ってきた車両が日医大2番線から同B番線に入換を開始する時刻(B番線への進路が構成され,入換信号機の現示が出て指示合図が鳴動する時刻)は所定10:49頃で,日医大に着いてから1分程度しかない。なぜなら第935Nのすぐ後ろに第10AE13が迫っているためで,1~2分の間に引上線に収容しないと第10AE13のスジに当ててしまうのだ。

その一方で10:53発の第1046Tは第10AE00の通過を待って10:51頃にA番線から1番線に入換を開始する。配線から分かるように2番線からB番線,そしてA番線から1番線の進路は交差しているので同時に引くことはできない。

これらの制約のなかで第935Nが遅延した場合,第935Nの収容を優先すると第1046Tを据え付ける進路が引けなくなる。第1046Tは1番線に据え付けてから1分程度で出発するため,据え付けが遅れれば第1046Tの出発は遅れることになる。第1046Tの据え付けを優先すれば,今度は第935Nを収容させる進路が引けなくなり,結果的に第10AE13を遅らせてしまう。

そんなシビアな状態を解決するには,第847Tが日医大に到着した時点ではどちらの引上線も使用可能なのだから,進路がバッティングしない海側のB番線に入れてしまえば良いわけ。こうすれば第935Nは消去法で自動的にA番線に収容することになるのだけど,B番線から1番線に出す進路と2番線からA番線に入れる進路は同時に引けるので,仮に第935Nが遅れようと第10AE13や第1046Tに支障は出ない。…という解決策が今回の修正の理屈なのだ。

平日朝のこの時間帯はどうしても下り列車が他社線の遅延を引きずってしまう反面,上り列車は日中時間帯における羽田空港の2分に満たない折返しをこなすべく遅延なく整えて出したい…という思惑があって,日医大はそれを実現する上でとても重要な役目を担っている。去年秋のダイヤ解説記事でも書いたように,No.117-5修正では当該時間帯の日医大における折返しを実質的な段落としとして,それまでよりも折返し時間を長く設定しているのはこういう事情あってこそ。とはいえ,そんな隠し味を入れたダイヤを実運用をしていく上で出てきた課題もあるだろうし,それを改善できるのなら早いうちにやってしまおう,というのが今回の修正だったわけだね。

な~んてことを突き詰めたところで一般利用者に影響があるわけでもなし,まったくいみなし。

車両:監視カメラぞくぞく

先月のよもやま話で紹介した7501編成の監視カメラの続編。記事を書いた時点では7501編成だけの供用だったものの,単独件名として他編成にも一気に整備が行われた結果,上旬までに7300形・7500形の全編成で監視カメラの運用を開始している。

7300形にも防犯カメラ

△7300形にも防犯カメラ

趣味的に見て面白いな~なんて思うのは,車内案内がLEDスクロールのまま残っている7502・7503の両編成。会社案内に出ているように車内案内のLCD化は2020年度までに完了させる計画なので,遅かれ早かれこの2編成の車内案内も更新されるのだけど,そのわずか1年足らずの間のみスクロールと監視カメラの組合せが見られる…ただそれだけ。そんなこと言ったらこじつければ何でも珍しくなっちゃうよね,なんてね(わら

このカモイに貼るのは短命だろう

△このカモイに貼るのは短命だろう

車両:7808編成の話題あれこれ

車両関係で今月ちょっとアツかったのが7808編成。見た目としては全く変わっていないので編成写真だけ撮る人には響かないタイプのアツさ…といえばだいたい想像できよう。

はてさて7808編成といえば,ここ数年で妙なほど施策から取り残された車両になってしまった。その背景には京成車でもあり北総車でもある貸借車特有の事情が少なからず関係しているのだろうけど,それにしても車体改修はおろか運転台コンソールはつい先年まで16点表示灯すら古いまま,当然緊急スイッチはなく,設定器に至っては種別設定部が12個の照光スイッチからなる20年ほど前のモデルを未だに使い続けている…なんて具合にどこを見ても施策から半ば忘れられたような走る骨董品と化していたのである。

いやはや,7808編成が北総に来たときは…というよりつい数年前までは7808編成が同じ貸借車と思えないほど車齢の離れた名実ともに骨董品な貸借車が走っていたので実感が薄かったものの,ボロなき今となっては7808編成が骨董品扱いである。

サンバイザは車体改修までお預けかなあ・・・

△サンバイザは車体改修までお預けかなあ・・・

話は逸れたが,そんな7808編成が1月上旬の宗吾入場を機に緊急SWの新設を終えた。目を引くのは同時に新しくなった設定器だけど,実は緊急SWに関連した更新みたいね。

緊急SWの新設については過去の編成と内容が全く同じなので特に書くことはない。どうせなら2016年度に16点表示灯の更新を行った際に緊急SWも新設していれば,今回またまた16点表示灯のパネルを取り替えるなんてこともなかったろうに…なんてことを思う程度。

新しくなった設定器については,見た目そのものは他の北総車と同じ新しいタイプでこれも特に書くことはない。ふ~んくらいの感じで淡々と流そうと思っていたけど,よくよく考えたら今回の更新はマストだった。緊急SWは線区によって動作の可否が異なるのだけど,線区の判定は列車無線(IR)が地上線か地下線かという一号線あるあるな論理で組まれているのね。ただ,この論理では緊急SWに求められる動作可否を満足できない。なぜなら同じ地下線でも北総線と都営線では動作可否が違うからで,その振り分けのために設定器が用いられている。設定器は営業列車であれば位置情報を持っているから,これを使うのが一番手っ取り早いわけだね。

とはいえ設定器なら何でも良いかといえばそうではなく,緊急SWが列車防護のあり方のひとつとして導入され始めて以降のタイプしか振り分け機能を有していない。以前7808編成に搭載されていた古いタイプの設定器は1998年度のエ特急・エ快特運転開始時から導入されたので20年近い歴史があるのだけど,古すぎて対応してなかったのね。

そんなこんなで今回の緊急SW新設によって北総車は13編成すべてに緊急SWが整備されたことになるし,照光スイッチによって種別設定する旧タイプの設定器もいよいよ淘汰された。その割に設定器とセットになっている停車駅予報装置表示部は特に変えなくても同じだからか古いまま。

車両:表示制御器の京急久里浜対応化

もう少し煮詰まってから書いても良かったんだけど…昨年度から実施している車内案内のLCD化の絡みで同時に取り替えている表示制御器について,今年度工事の編成から対照表に京急久里浜が加わっている。

久里浜以外にも41と42に言及されるようになった新対照表

△久里浜以外にも41と42に言及されるようになった新対照表

背景には以前のよもやま話で紹介した京成車の京急久里浜対応が少なからず関係しているのだろうね。とはいえ北総車にとって京急久里浜対応はマストではなく,結果として表示制御器(と車内案内)のみ対応に留められている。わざわざ対応させる必要のない設定器はそのままだし,その理屈でいけば手つかずであろう行先種別表示器だってそのままなんだろうね。

ちょっと気になったのは対照表の書きぶりで,京成車は既存の表示制御器を改修するのみだったから「43:京急久里浜」のテプラを対照表に加えただけだったけど,北総車は表示制御器を新品に交換するタイミングなので対照表は一から作り直されている。このため43番の京急久里浜のほか,41番と42番も対照表に記載されているものの,両番号については行先内容の記載がない。以前も書いたけど,敢えてここを空けて43番に入れる必要はないので何らかの表示データは入っているのだろう。確かめる術は今のところないものの,どうせ経由表示とかそんなとこでしょ。

とはいえ,京成車でも改修が始まったように京急線の駅名改称に伴うソフトウェア改修は北総車としてもマストな案件。こればかりは避けて通れないので遠からず改修が始まるだろうけど,表示制御器と車内案内に入っている今回のソフトウェアはずいぶん短命だったことになる。北総車と京成車では微妙にソフトウェアの内容が違うのはいまさら説明不要だと思うけど,その都度開発費用だったり改修費用が発生すれば当然ずいぶんと額が嵩んでくるだろう。そんな事情に思いを馳せながら車内案内を眺めている…。

…ちなみに設定器が京急久里浜に対応していないから,たとえ運行カード込みで京急久里浜に対応していようと北総車が京急久里浜を出すことはない。それでも京急を冠した行先が入るのは初…なわけないじゃん,9100形の旧行先表示器は「京急蒲田」表示だったよ。

信通:矢切・東松戸間C-ATS化工事その後

11月度よもやまの続き。中間閉そく区間のC-ATS化については昨年11月に最初の切替区間である高砂・矢切間が切替となったわけだけど,続く矢切・東松戸間についても器具箱の基礎や防護マクラギへの交換といった準備が進められているのはすでに紹介した通り。あれから2ヶ月が経ったわけだけど,線路まわりについてはその後とくに変わった動きはない。まだまだ信通的な事柄は進んでおらず,付帯工事として施設関係の作業が進んでいる状況。

そんなこんなで年度末を迎えて次年度に継続していく矢切・東松戸間のC-ATS化だけど,車窓から見えない部分では本件の要となる機器室が姿を現した。C-ATSの導入にあたっては処理架など新たな機器を設ける必要があるのだけど,それらは機器室を新設して収容されることになっているみたい。このへんは場所の都合とか色々な事情があるのだろうけど,高砂・矢切間は新柴又駅に隣接する既存機器室の増床によって対応していたのね。

この見た目は機器室でしょう

△この見た目は機器室でしょう

では今回の機器室はどうなったのかというと,北国分・秋山間に架かる秋山高架橋の下にそれらしい建屋が完成している。場所は秋山第一架道橋の終点方で,高架橋からケーブルラックが機器室に取り込まれているので新しい建屋が機器室であることはほぼ確定だろう。この機器室の正式名称は表札が出るわけでもなし当面分からないだろうけど,このあたりは「大橋トンネル」や「大橋地区擁壁」といった土木構造物の由来にもなっている松戸市大橋地区なので「大橋機器室」とかそんなとこだろうか。「堀之内機器室」とか「国分川機器室」なんて色々予想してみたけど,やっぱ大橋だよね~。

そんな大橋機器室(仮)のケーブルラックにはまだ何のケーブルも収容されていない。やはり信通的な工事はまだまだこれからな感じ。

施設:松飛台多機能トイレがしゅん功

今年度3Qから続いていた松飛台駅ラチ内コンコースの多機能トイレがしゅん功し,供用開始となった。

サイン類は前回触れたとおり従来のデザインなものの,トイレのファサードデザインは新鎌ヶ谷と同様に色彩とピクトグラムを前面に押し出したもので分かりやすい。

あとは特に書くことがあるかといえばそんなにない…。

供用開始となった松飛台駅多機能トイレ

△供用開始となった松飛台駅多機能トイレ

おまけ

とっぷぱげの画像は↓を撮りに行ったときのおまけ。

この2本のためだけにあるような発車標

△この2本のためだけにあるような発車標

よほどの理由がないとこんな時間から小室駅に行くことはないんだけど,No.117-5ダイヤから小室3番線発着の列車がまた減ったのでふらっと様子見。昼の1本が2番線発着に振り替わり,画像にあるように早朝と深夜の1日2本になってしまった。

ここの本数の根拠はようわからん。推移としては,使用再開してしばらくは1日1本,2013年10月9日から1日5本となるもNo.117-2ダイヤで3本に削減。そして今回2本へ。なぞ。

しれっと広がっている

△しれっと広がっている

そして9月のよもやまで紹介した牧の原ラチ内コンコースのタイル張替えがしれっと広がっている。前より良くなっているので今後に期待。