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新鎌ヶ谷・小室間C-ATS化

中間閉そく区間を対象として2018年度より実施されている自動列車停止装置の更新工事において,5区間目の切替となる新鎌ヶ谷・小室間のC-ATS化が2月15日早朝に完了した。当該区間の更新により未更新区間は小室・印西牧の原間の1区間を残すのみとなり,北総鉄道区間(京成高砂・小室間)は全線C-ATS区間となった。以下に当該区間における現地工事や切替前後の記録を紹介する。

現地工事の記録

中間機器室(西白井保守基地)

新鎌ヶ谷・小室間の中間機器室は西白井保守基地内に設けられた。機器室建設は2021年度から始まり,2021年度第4四半期から2022年4月頃まで土木基礎工事の後,建屋の建築工事が2022年5月頃から2022年度第2四半期にかけて実施された。また,本線敷から機器室までのケーブル管路に際しては,保守基地内を横断するトラフが2022年度第2~第4四半期にかけて敷設された。

西白井保守基地での機器室新設は2021年度に始まった(2022.03.13)

△西白井保守基地での機器室新設は2021年度に始まった(2022.03.13)

機器室の基礎工事は2022年4月頃までに完了し,5月より建屋の建築工事が始まった(2022.05.04)

△機器室の基礎工事は2022年4月頃までに完了し,5月より建屋の建築工事が始まった(2022.05.04)

機器室へのケーブル引込みに際して現地に墨出しされたトラフルート(2022.05.14)

△機器室へのケーブル引込みに際して現地に墨出しされたトラフルート(2022.05.14)

建設真っ盛りの機器室(2022.05.29)

△建設真っ盛りの機器室(2022.05.29)

機器室の建設は2022年度第1四半期までにおおむね完了した(2022.07.09)

△機器室の建設は2022年度第1四半期までにおおむね完了した(2022.07.09)

保守基地内のトラフ敷設は2022年度第3四半期頃に進んだ(2022.11.27)

△保守基地内のトラフ敷設は2022年度第3四半期頃に進んだ(2022.11.27)

保守基地境界柵の金網に開けられたトラフを貫通させる穴(2022.12.11)

△保守基地境界柵の金網に開けられたトラフを貫通させる穴(2022.12.11)

保守基地内の機器室までつながったトラフ(2023.02.19)

△保守基地内の機器室までつながったトラフ(2023.02.19)

現場設備

新鎌ヶ谷・小室間の現場設備については,これまで同様に閉そく信号機に対するB点の敷設や整合変成器等の器具箱新設が行われた。器具箱の設置箇所は従来同様に山側を基本としているが,当該区間の大半は山側境界付近に法面があるため,支障する箇所においては本体工事に先立つ2021年度第4四半期に法尻を切欠いて設置空間が設けられた。また,2021年度末には当時未施工区間だった新鎌ヶ谷・印旛日本医大間でB点敷設箇所等の測量が行われ,防護マクラギへの更換を要するマクラギ箇所への墨出しがなされた。なお,西白井保守基地内のトラフルートの墨出しも同時期までに行われている。

付帯工事は2022年度まで続き,B点敷設箇所に対する防護マクラギの挿入は2022年度第1四半期から第2四半期にかけて実施された。現地に設置する器具箱等の現場設備は小室駅終点方の入出庫線予定地跡を資材置場として2022年度末までに搬入され,付帯工事の完了した2023年度第2四半期から整合変成器等の器具箱やB点のループコイルが順次新設されていった。本体工事の工程は前回切替区間である印西牧の原・印旛日本医大間のおおむね1年後ろであり,2024年度上期までにB点標の整備も完了して現場設備はほぼ完成形となった。

2021年度末には器具箱の設置場所確保のため法尻の切欠きが行われた(2022.02.26:西白井・白井間)

△2021年度末には器具箱の設置場所確保のため法尻の切欠きが行われた(2022.02.26:西白井・白井間)

参考:防護マクラギに更換するマクラギには2021年度末までに目印が記された(2022.04.08:千葉ニュータウン中央)

△参考:防護マクラギに更換するマクラギには2021年度末までに目印が記された(2022.04.08:千葉ニュータウン中央)

2022年度第1四半期からはB点設置箇所への防護マクラギ挿入が始まった(2022.07.09:西白井)

△2022年度第1四半期からはB点設置箇所への防護マクラギ挿入が始まった(2022.07.09:西白井)

線間に並ぶ挿入前の防護マクラギ(2022.08.12:白井・小室間)

△線間に並ぶ挿入前の防護マクラギ(2022.08.12:白井・小室間)

白井上り出発相当に対するB点として挿入待ちの防護マクラギ(2022.08.12:白井)

△白井上り出発相当に対するB点として挿入待ちの防護マクラギ(2022.08.12:白井)

小室駅終点方の入出庫線予定地跡を資材置場として2023年度初までに搬入された現場設備(2023.04.29:小室)

△小室駅終点方の入出庫線予定地跡を資材置場として2023年度初までに搬入された現場設備(2023.04.29:小室)

2023年度第2四半期からは現地への器具箱設置に向けた工事が始まった(2023.09.02:新鎌ヶ谷・西白井間)

△2023年度第2四半期からは現地への器具箱設置に向けた工事が始まった(2023.09.02:新鎌ヶ谷・西白井間)

現地への器具箱設置は2023年度第3四半期までにおおむね完了した(2024.01.28:西白井・白井間)

△現地への器具箱設置は2023年度第3四半期までにおおむね完了した(2024.01.28:西白井・白井間)

2023年度末にはケーブル等も敷設されていった(2024.02.18:白井)

△2023年度末にはケーブル等も敷設されていった(2024.02.18:白井)

2024年度第2四半期までにはB点標の設置が進み完成形に近づいた(2024.09.07:西白井)

△2024年度第2四半期までにはB点標の設置が進み完成形に近づいた(2024.09.07:西白井)

切替前の区間を見る

切替前においては,下り線は新鎌ヶ谷構内終点方のKTでC-ATS→1号形ATSに,白井・小室間下り1閉そく信号機内方のXTで1号形ATS→C-ATSに切替が行われていた。上り線の切替地点はC-ATS→1号形ATSが小室駅上り出発信号機2L内方のST,1号形ATS→C-ATSの切替が新鎌ヶ谷・西白井間上り1閉そく信号機内方のYTだった。

上り線の1号形ATS切替地点だった小室上り出発2L(2025.01.19:小室)

△上り線の1号形ATS切替地点だった小室上り出発2L(2025.01.19:小室)

白井・小室間二重川高架橋を1号形ATSで走る(2025.01.19:白井・小室間)

△白井・小室間二重川高架橋を1号形ATSで走る(2025.01.19:白井・小室間)

上り線のC-ATS切替地点だった新鎌ヶ谷・西白井上り1閉そく(2025.01.19:新鎌ヶ谷・西白井間)

△上り線のC-ATS切替地点だった新鎌ヶ谷・西白井上り1閉そく(2025.01.19:新鎌ヶ谷・西白井間)

小室上り出発信号機内方の1号形ATS区間に進出する上り列車(2025.01.30:小室)

△小室上り出発信号機内方の1号形ATS区間に進出する上り列車(2025.01.30:小室)

下り線の1号形ATS切替地点は新鎌ヶ谷終点方の34分岐直後(2025.01.19:新鎌ヶ谷)

△下り線の1号形ATS切替地点は新鎌ヶ谷終点方の34分岐直後(2025.01.19:新鎌ヶ谷)

下り線のC-ATS切替地点は白井変電所横の白井・小室間下り1閉そく(2025.01.19:白井・小室間)

△下り線のC-ATS切替地点は白井変電所横の白井・小室間下り1閉そく(2025.01.19:白井・小室間)

確認列車の運転

切替に際しては新鎌ヶ谷・印西牧の原間で確認列車が運転された。前回切替の印西牧の原・印旛日本医大間と同様に当日早朝の運転とされ,使用車両は89N運行の7308編成だった。確認列車は前日夜に車両基地を出庫して印西牧の原#3に留置,当日早朝に新鎌ヶ谷・印西牧の原間を1往復する行路で運転され,運転に支障する印西牧の原#3の所定留置車両は車両基地留置に変更された。

前夜に車両基地を出庫し牧の原#3に据え付けられる89N:7308(2025.02.14:印西牧の原)

△前夜に車両基地を出庫し牧の原#3に据え付けられる89N:7308(2025.02.14:印西牧の原)

アクセス開業前を彷彿とさせる7300形の牧の原留置(2025.02.14:印西牧の原)

△アクセス開業前を彷彿とさせる7300形の牧の原留置(2025.02.14:印西牧の原)

C-ATS化された区間へ進出する確認列車488N:7308(2025.02.15:小室)

△C-ATS化された区間へ進出する確認列車488N:7308(2025.02.15:小室)

切替後の区間を見る

ATS切替標が撤去された小室上り出発信号機2L(2025.02.15:小室)

△ATS切替標が撤去された小室上り出発信号機2L(2025.02.15:小室)

C-ATSで白井駅へ進入する上り列車(2025.02.15:白井)

△C-ATSで白井駅へ進入する上り列車(2025.02.15:白井)

目隠しが撤去された白井上り出発相当のB点標(2025.02.15:白井)

△目隠しが撤去された白井上り出発相当のB点標(2025.02.15:白井)

ATS切替標がなくなった新鎌ヶ谷・西白井間上り1閉そく(2025.02.15:新鎌ヶ谷・西白井間)

△ATS切替標がなくなった新鎌ヶ谷・西白井間上り1閉そく(2025.02.15:新鎌ヶ谷・西白井間)

新鎌ヶ谷終点方の下り線1号形切替地点跡には器具箱側面にATS切替標の痕跡が残る(2025.02.15:新鎌ヶ谷)

△新鎌ヶ谷終点方の下り線1号形切替地点跡には器具箱側面にATS切替標の痕跡が残る(2025.02.15:新鎌ヶ谷)

C-ATS化と誘導線撤去が完了し新たな姿になった北総Ⅰ期線区間(2025.02.15:新鎌ヶ谷・西白井間)

△C-ATS化と誘導線撤去が完了し新たな姿になった北総Ⅰ期線区間(2025.02.15:新鎌ヶ谷・西白井間)

ATS切替標が撤去された白井・小室間下り1閉そく(2025.02.15:白井・小室間)

△ATS切替標が撤去された白井・小室間下り1閉そく(2025.02.15:白井・小室間)