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旧7000形車両復元撮影会を振返る

サークル「高砂第一工廠」では,北総鉄道の協力のもと西白井保守基地において「旧7000形車両復元撮影会」を1月22日に実施したので,本稿においてその概要と撮影会の模様を紹介する。

撮影会のあらまし

7000形車両は,1979年3月の北総線開業にあわせて導入された同線における最初の営業用車両である。老朽化によって2006年度末までに全車両が廃車となったが,このうち第1号車である7001号車は2005年度末の廃車後に保存を前提として解体を免れ,2006年7月より旧西白井車両基地に保管されてきた。7001号車は現在の保管場所に移設された2012年2月以降も非公開とされてきたが,2021年3月に北総鉄道と白井市の間で締結された「白井駅・西白井駅周辺地域の活性化に関する協定」に基づいて実施された西白井駅及び白井駅に対する副駅名制定の一環として,白井市によるガバメントクラウドファンディングの返礼で2022年4月に初公開された。さらに,2022年度に会社創立50周年を迎えた北総鉄道の周年事業の一環として,同社主催のイベント等での公開が重ねて行われてきた。

サークル「高砂第一工廠」では,かねてより北総線に関する資料を保存してきており,その中には7000形車両に関する資料も含まれている。2006年3月に廃車された現役末期の状態にある7001号車について,サークルで所蔵する資料を活用して往年の姿を可能な限り再現できないか検討を重ねてきた。そして今般,北総鉄道の多大なるご理解とご協力のもと,7001号車に往年の姿を再現した装飾を施し,周年事業における7000形車両の最後の公開イベントとなる「旧7000形車両カフェトレイン&撮影・見学会」において装飾を活用いただくとともに,7000形車両の歩んできた北総線の歴史を振り返る「旧7000形車両復元撮影会」を実施する運びとなった。

車両への装飾

今般の撮影会において,7001号車に再現する対象年代は1979年から1990年代半ばとした。装飾は,7000形車両の文化的・歴史的価値に鑑み,容易に原状復帰できることを前提として,実際に使用されていた装置や装飾がある場合は極力それらを使用するようにしたが,入手困難や現存しない場合は当時の資料から代替品を複製した。

主な装飾品の概要

ヘッドマーク
北総線開通記念ヘッドマーク

△北総線開通記念ヘッドマーク

北総線の開通に際して1979年3月8日に運転された祝賀列車で使用されたヘッドマークの複製品を作成し,車両前頭部に掲出した。当時の使用品は1980年のローレル賞受賞記念列車を最後に確認できておらず,現存しない可能性が高いことから資料をもとに再現を試みた。また,Ⅱ期線開業まで使用されていた方向板や編成番号札についても当時の資料や有識者への取材をもとに複製品を作成した。

ステンドグラス風ステッカー
ステンドグラス風ステッカー

△ステンドグラス風ステッカー

車内の小道具として,1994年頃から2001年頃まで側窓に掲出されていたステンドグラス風ステッカーを作成した。本品を窓ガラスに直接掲出すると施工性や原状復帰に難があるため,塩化ビニルシートを介して掲出することで諸問題の解決を図った。掲出箇所は乗務員室直後の戸袋窓として,海山両側に掲出した。当時のステンドグラス風ステッカーは3種類存在しており,今般の撮影会でも当時の実車と同様に海側を市川市動植物園,山側を矢切の渡しとした。

なお,当時のステンドグラス風ステッカーは連妻寄りの大窓にも掲出されていたが,当該箇所には晩年に携帯電話マナー関連のステッカーが掲出されており,今般の撮影会では既存のステッカーと干渉を避けるため大窓への掲出は省略した。同様の理由でドアステッカー等についても再現の対象外とした。

運客仕切付近

△運客仕切付近

正面行先種別表示器
YA-4650型式行先種別表示器への復元

△YA-4650型式行先種別表示器への復元

7000形車両の行先種別表示器は,表示内容の増加に伴い1995年以降に7300形車両と同一の40コマタイプの表示器(YA-90199型式)に換装された。今回,換装前に使用されていた20コマタイプの表示器(YA-4650型式)に復元を図った。字幕は表示器とあわせて所蔵している当時の使用品を使用した。

急行灯

7001号車は廃車当時から一切の保守を行われていないことから通電ができず,灯火類を点灯させることができない。そこで,点灯状態を表現したシートを作成し灯具のレンズ面に被せることで,擬似的に急行灯の点灯状態を再現することとした。