沿線点描

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北総線よもやま話1907

2019年7月の北総線よもやま話。このよもやま話は将来的に四季報として纏めていく前段階の落書きコーナー。

営業:消費増税による運賃改定決まる

10月の消費増税にあわせ,増税分の運賃転嫁を目的として北総線の運賃が改定される予定。前回の増税時と同じように他社局も運賃改定を予定していて,北総の上げ幅は1.851%。他社局と足並みを揃えているし,この事由で別にこれでどうこういうのはナンセンスじゃないかな~。ただ感情的に運賃の高い安いを言うだけなら簡単なんだけどね。

運賃ってのは鉄道事業法にも定められているのだけど,原価に対して適正な利潤を乗っけたものであり,事業者にとって基本的な収益の手段なのね。そしてそれが鉄道事業の健全な発達を支えるのだけど,利用者の利益は保護されないといけないし,公共の福祉を増進していく糧にならないといけない。そのためにはどれくらいの対価になるのか…っていうと,けっこう色々なパラメータを考慮して最適解を求めていくべきなのだろうけど,まあシロートが高い安いを主観だけでどうこう言うような話じゃないってことだなー。むずいし。

ちなみに手元の資料で数えたら北総線の運賃改定はこれで開業以来の通算で13回目(特定運賃制度の関係を除く)なんだって。一時期は隔年で上げてたもんね。

車両:「花火ナイター号」19年度は7300形で運行

すっかり夏の恒例施策となった「京成グループ花火ナイター」にあわせ,今年もグループ3社(京成・新京成・北総)の車両1編成が広告貸切列車「花火ナイター号」が運転された。今年度は7月8日から29日までの約3週間を運行期間としていて,いつもどおりヘッドマークと車内広告の貸切を行っていた。

車種は毎年恒例…と思わせて,ところがどっこい今年度の花火ナイター号に選ばれたのは7318編成。まあ驚くほどのことでもないか。春先に7500形3編成全てに半年間も開業40周年ヘッドマークを出すなんて言い切っちゃったもの。北総の持っている車から選ぶとしたら,もう7300形でやる以外ないって感じだものね。

「開業40周年」ヘッドマーク電車のあおりで「花火ナイター号」は7300形に

△「開業40周年」ヘッドマーク電車のあおりで「花火ナイター号」は7300形に

北総車の花火ナイター号を振り返ってみると,京成は2003年度からヘッドマーク電車の運転を始めているものの,北総で始まるのは一足遅く2008年度のこと。それまでは車内広告のみ花火ナイター仕様にしていたり,ちょっと冷めた感じ号だった。2008年度からは延々と7500形が担ってきたので,7300形で走る花火ナイター号はこれが初めてのこと。

…なんだけど,北総車のなかには7500形以外にも花火ナイター号経験”車”がいる。7818編成が3748編成として京成で走っていたころ…2005年度に経験ずみ。正面種別表示器の周りまでヘッドマークに取り込まれる超絶デザインで運転された年だった。

ともあれ,7300形の花火ナイター号は珍しいし,北総が同時期に2種類のヘッドマーク電車を運用するのも大変珍しい。そしてちょいちょい7318編成がヘッドマーク電車になるのはどういう風の吹き回しなんだろね。

車両:7800形にもデジタルSR準備工事の波

昨年度から列車無線更新に向けてせこせこと車両側の準備工事を続けている件。京成はだいぶアンテナの苗を植え終えた車が増えてきたものの,未だ北総車は2本のみ…という状況で7800形の準備工事が始まった。

といっても再三書いているとおり,7800形は京成からのリース物件なので所有権は京成のもの。北総持ちの車は北総で金と場所を出して工事するので当然印旛でやっていたのだけど,京成持ちの車は京成が…ということで7800形は宗吾でやるみたい。おそらく9800形も同じことが言えるとおもうよ。

デジタルSRアンテナの芽がでてきた7818編成

△デジタルSRアンテナの芽がでてきた7818編成

最初に準備工事を施工されたのは7818編成で,先月26日から宗吾に入っていた。ただ,最初のうちは無線とか関係なく輪軸交換をやっていたようで,中方7814・7815号車が今回の対象だったみたい。時期を考慮すると実質的には7月から作業に着手したようで,20日の89N運行で印旛に戻ってきた。さらに翌21日の89N運行で7808編成が宗吾に送られていて,こちらも状況を見る限りDSR準備工事のよう。

工事の内容については,すでに何本も工事を終えている3700形と同じ。ちょうど1年前のこの記事でこんな感じじゃね~なんてテキトーに予想図をつけた通りで,IR送受信アンテナ間にDSR用アンテナの台座を準備しているほか,乗務員室では車上局の設置に向けて支障する機器の移設などを行っていた。支障機器については7500形の時に触れた内容とほぼ同じ。

肝心の北総所有車の進捗が止まっているままだけど,今の時期はバリバリに空調整備シーズンだし,なにより京成リース組がこの時期に纏まって施工しているとなると,ほぼ常に2~3編成が使用できない状態。そりゃ予備を考えたら手出しできないんだろうね。空調整備が落ち着く下半期以降に工事するのが現実的な選択肢かなあ。

車両:補足事項あれこれ

先月すっかり書き損なっていたのだけど,7808編成が全般検査を終えた際にいくつか変わった点があったので触れておこう。

京成からのリース車といえば,車内の禁煙銘板が京成車のまま…つまり「リブレ京成」広告入りだったのだけど,ここ数年やってきた9808編成や7828編成はこの銘板を剥がして7500形と同じピクトシールに貼り替えていたのね。

あくまで京成の禁煙銘板は広告契約によってリブレ京成をつけていたので,それを剥がすということは,すなわち広告契約が終わった可能性が高いと判断していた。まあ3000形以降はピクトシールだったので,この時点で契約を結ばなくなった可能性は十分にあるのだけど。

ともあれ最近やってきたリース車が剥がしているのに既存リース車はそのまま…なんて変じゃない?って思ってたら7808編成の銘板が検査と同時に剥がされてピクトシールになったのね。それだけっちゃそれだけ。

さらばリブレ京成

△さらばリブレ京成

まったく関係ないけど7501-6号車のSIVが綺麗になっていた気がするよ。放置していたら撮り損なったので忘れたころにやるよ。

忘れたといえば9106号車のガラスはまだまだまだ直ってないね(わら

施設:北国分駅外壁修繕工事はじまる

足場で囲われた北国分駅

△足場で囲われた北国分駅

北総線で地上から最も深い場所にある駅ってどこ?というと実は北国分駅なんだそう。ちなみに一番高いのは東松戸駅。これ豆。

それはそうと,北国分駅の駅舎外壁修繕工事が7月初旬から9月までの工期で始まっている。すでに地上の駅舎は足場で囲われてまっくろけ。今のところそれ以外に書くことのNASA…。

あえて書くなら足場で駅名が見えなくなるので南口(海側)に駅名を書いた足場幕があるよ~ってくらい? これも珍しいといえば珍しいんだけど,東松戸とか2期線の駅では何度かやってるんだよねー。

安推:スカイライナー異常時合同訓練の実施

この時期の恒例といえばこの合同訓練もすっかり恒例になってきた。2010年度から毎年やっている異常時合同訓練である。

北総や京成はこのほかにも様々な訓練を毎年やっているのだけど,この訓練は北総と京成が合同で行うというのが特徴なのね。それもそのはず,北総線全線がアクセス線に組み込まれて京成の列車も通っている以上,何かあったときには両者でトラブルに対応する必要があるのだ。

これは2011年度のようす。最近は留置車が多くて山側からは見えない。

△これは2011年度のようす。最近は留置車が多くて山側からは見えない。

そしてこの訓練といえば,AE形と北総車が連結し,後者による推進運転が見られる点も特徴のひとつ。これはスカイライナーが運行中に何らかのトラブル(自動車と衝突したり,化学テロがあったり…)で自走できなくなり,後続の普通列車…すなわち北総線列車で救援するというシチュエーションゆえのもの。当然,訓練はこのほかにも列車の防護や救助の要請,対策本部の設置,代行輸送の手配など全般に行われるのだけど,AE形と北総車が連結する場面はプレス等においても写真が掲載されるなど,この訓練を印象づける場面のひとつだったのだ。

当日の様子は見に行っていないから知らないんだけど,プレスの内容を見る限り今年は連結・推進運転は実施していないっぽい? ライナー運転中のトラブルなのは変わらずだけど,不審者と爆発物処理なので車両が走れないわけでもなく,流れを読むとフツーに自走できている状況なので北総車は用なしってところか。

ともあれ,ライナー増発やオリパラでさらに空港アクセス鉄道としての重要性が増している時期として,色々な想定での訓練の積み重ねってのが大事になってくるんだろうね。

ちなみに当日はAE55運行でAE形1編成が成田空港経由で牧の原に送り込まれている。訓練終了後の牧の原~車基間でピストン運行するのも例年通り。99Nも2往復くらい走っていた。

経営:18年度決算が発表される

経営の畑を荒らすつもりは毛頭ないんだけど,18年度決算の内容が公開されているのでちょっと見てみよう。

内容として大きく変わった点はない。2期線…特に最近は秋山,東松戸の伸びが顕著だし,牧の原もついに車基の起点方まで宅地造成されている。当然営業収益にも多少なりとも良い影響が出ているようね。とはいえ,旅客数の伸びで見ると2期線相互間の伸び率が圧倒的なのね。北総線ってのはもともと千葉ニュータウンどっぷりな路線なので,運賃も運行ダイヤも千葉ニュータウンと都心を移動する需要がまず第一というところが少なからずあったわけ。伸びている2期線に対してどれだけアプローチできているかというと怪しいかなあ…。というのがお金の入ってくるおはなし。

お金が出ていくおはなしとしては,このウェブサイトで何度か取り上げていた中間閉塞区間のC-ATS化や,列車無線のデジタルSR化がついに公式によって言及された。耐震補強をやっていた頃とほぼ同じ程度の規模で進めているので,営業利益の程度は想定内というところか。これは営業外のはなしになるけど,2期線償還はまだまだまだまだ続くわけで,償還し終えるころには千葉ニュータウンが…とかその間のこととか長期的な懸念はあるのだけど,こればかりはスケールが大きすぎて北総だけでどうこうできる話じゃないよね。これ以上ここにかる~く書ける話はないのでおしま~い。

それはそうと,京成がそうであるように7500形もファイナンスリース方式で導入していたと思うのだけど,ぼちぼち減価償却上の耐用年数だし,ひっそり北総のものになってたりするのかね。。