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北総線よもやま話1906
2019年6月の北総線よもやま話。このよもやま話は将来的に四季報として纏めていく前段階の落書きコーナー。
旅客:新京成分離による新鎌ヶ谷駅変更あれこれ
6月の北総線の話題として特に大きな注目を浴びたのがこれだろう。
既に公式ウェブサイトほか各種メディアによって報じられた通り,16日初電より新鎌ヶ谷駅構内の動線に大きな変化が起きた。新京成線新鎌ヶ谷駅の駅本屋が供用開始となって,北総と改札が分離されたのね。
北総の本屋口は1992年7月から新京成と共同使用してきたので,27年ぶりに北総単独の改札に戻ったというわけ。もちろん連絡口の有無を含めてコンコースの構造は当時と全く違っているけども。
切替前の時点で本屋口には新京成3通路,北総5通路(入場2,出場3)の8通路が置かれていた。切替に際して15日夜に新京成1通路が先に新本屋に移設され,終車後に残る2通路も追って移設されている。
間合いと作業量の問題だろうか,16日初電の時点では新京成改札の跡は柵を仮設しただけで手付かずだったものの,北総5通路についてはIC専用通路の設定見直しが図られた。具体的には,本屋口における切替前のIC専用通路は5番通路(出場専用)のみだったのだけど,これのIC専用化を解き,代わりに2~4番通路(入場1,出場2)をそれぞれIC専用化したのね。
しかも北総線の改札機の装飾はIC専用をピンク,それ以外を水色としていたのだけど,前者について今回は濃灰色(黒色)で装飾された。その意図はよく分からないけど,例のリニューアル化でカラースキームを改めている一環として見ることもできるだろうし,新鎌ヶ谷に関していえば新京成のラインカラーを避けることで誤乗防止も期待できるだろうね。どうでもいいけど,公団線区間の旧改札機に近い色なのでちょっと懐かしい。
一日経った17日初電からは,本屋口の5通路について新京成が抜けて空いた3通路を詰めるかたちで再配置。ようやく窓口ブースと柱(橋脚)の間に改札が収まった。
そして16日からは連絡口も変化しているのね。ここも本屋口同様に窓口ブースがあって,常駐はしていないけど時間帯によって駅員が配置されていたのだけど,これが16日付で無人化されてしまった。あれだけ大量に貼っていた案内もすべて剥がされ,16日こそ窓口処理機が生きていたものの,17日には窓口処理機を含めた窓口の機器類がごっそり消えている。しかも窓口時代にはなかった看板等が続々と運び込まれて倉庫の様相…というか倉庫なんだろうね。当然ここの無人化によって駅員の作業ダイヤも変わっているはず。
あとは先月末からせこせことサイン類を交換中。これについては別途記事を立てて事細かに述べているので割愛。
旅客:千葉NT中央・印西牧の原で券売機削減
だいぶ唐突ではあったが,6月中旬より千葉ニュータウン中央駅ならびに印西牧の原駅の券売機について台数の削減が行われた。早い話が券売機の撤去なんだけど,対象となった両駅の設備を保有しているのは千葉ニュータウン鉄道。それはつまり…??
券売機の適正な配置数というのは,駅の利用者数はもちろんのことながら,1台あたりの運用コストなど様々なパラメータから算出されるべきものだと考えているけど,このウェブサイトは素人がテキトーに書いているだけなので,撤去前の千葉ニュータウン中央4台,印西牧の原3台という配置数が本当に適正であったのかはよくわからない。
ただ,両駅の券売機設置数を見直したいと千葉ニュータウン鉄道が意思を示したのは事実だろう。それが何によるものかは分からないが,少なくとも統計上の乗車人員を鑑みる限り,利用者数に対して過剰だったとかそういう理由ではなさそう。
削減の対象となったのは旧式マルチ券売機のMX-7型で,各駅1台の削減となった。したがって削減後の設置数は千葉ニュータウン中央3台,印西牧の原2台。印西牧の原は見た感じで苦しい気がするものの,思えば先に削減された西白井も白井も2台で回している。やればできるか。
千葉ニュータウン中央は悩みどころだったかもしれないね。ここは4台のうち左端に点状ブロック,右端に車椅子用の蹴込を整備していたのだけど,1台減らすとなるとどちらかの施策が犠牲になる。まあどちらかといえば後者を犠牲にするか…。その後ちゃんとフォローされるかは未知数だけども。
印旛日本医大については千葉ニュータウン鉄道持ちが2台しかないので(1台は京成持ち),これ以上削りようがないってことなのかボッシュートされず。
旅客:千葉NT鉄道区間からMX-7型券売機がなくなる
券売機削減と同時にこんな話題も降ってきた。交通系ICカード導入直後の2007年度から各駅に配置され,北総線初のマルチ券売機として華々しくデビューした日本信号製MX-7型券売機について,稼働開始から13年目にして千葉ニュータウン鉄道区間3駅から稼働個体がなくなった。
MX-7型の後継となるMX-8型については昨年度末の記事で触れたように,新柴又・印西牧の原間の各駅に対して各1台がMX-7型から改造されていたのだけど,印旛日本医大については改造対象から漏れて年度を跨いでしまっていたのね。当然そのまま放っておくようなことはなく,今年度分の予算として印旛日本医大の1台が6月中旬にMX-8型へ改造された。しかも↑の件で券売機の削減を行った千葉ニュータウン中央でも1台を追加改造していて,しれっと千葉ニュータウン中央・印旛日本医大間…つまり千葉ニュータウン鉄道区間から自社持ちのMX-7型が淘汰されてしまったのね。京成仕様のMX-7が日医大にあるけど,これはノーカンでしょー
運転:6月の試運転あれこれ
珍しくちょっと気になる不定期列車のあれこれ。
まずは今ダイヤ(No.117-4)の試運転行路において,新鎌ヶ谷駅で続行の定期列車を待つという今までにない運転形態が確認された。面白かったのでウェブサイトのトップページにも出している上の画像がそれ。
補足しておくと,この画像は17日の61N:9201を撮ったもの。これは4・5号車の輪軸交換を終えて新鎌ヶ谷・印西牧の原間の試運転に臨んだ9201編成が,新鎌ヶ谷での折返しに必要な入換を行う際に続行の1136N:7828を先行させるという場面。
そもそも北総線の試運転というのは,ダイヤ改定にあわせて事前に引かれたいくつかの行路を使用しているよう。今年の久里浜公開でも売りに出されていて驚いたのだけど,最近は北総が即売会等で売りに出す行路表のなかには試運転行路が含まれていることもあるので,事前に引かれた試運転スジが存在するという事実くらいは知っている方もいると思う。そして,その試運転スジは主に新鎌ヶ谷・印西牧の原間と矢切・印西牧の原間の2パターンに大別することができて,前者が61N以降60番台の運行番号,後者が71N以降70番台の運行番号を割り当てられていること,61NをNo.1として以降連番でNo.2,3…と通し番号が別に振られていることまでは前述の行路表から確認できるのね。
ただし,過去に運転された実績や行路表から確認した内容を整理すると,新鎌ヶ谷での折返しについては各行路とも原則として2T~ST~3Tで入換している。これは重要部検査,全般検査等の定期検査完了時に実施している試運転でも同様で,なかには1Tや4Tによるものもあるものの,いずれにせよ新鎌ヶ谷で続行の定期列車をやり過ごすという扱いは過去十年余においてなかった。恐らくそれ以前もなかったと思うけど(調べてない),その背景には新鎌ヶ谷STで折返す上で必要な間合い…言い換えれば上り列車の間隔に余裕があったというのが大きいと思う。
別にNo.117-4ダイヤで上り列車がやたらと増えてそんな余裕なくなっちゃったって事情ではないのだろうけど,今回のダイヤにおけるちょっとした話題としてつい撮ってみた次第。これでわかるように,「修正」扱いの改定で定期列車は大してスジに変化がなくても,不定期列車の運転時間はなぜか毎回コロコロと変わっている…なぞ。
ちなみにその数時間前…前日の終車後に7308編成が99N運行で試運転している。運転時間からして矢切・印西牧の原間を1往復したみたい。西白井で数分間停車し,それ以外の各駅は通過で運転されている。西白井といえば高砂・日医大間のちょうど中間くらいの位置にあたるものの,だからどうしたって感じ。これもなぞ。
車両:7500形・9200形にLED前照灯換装車
すでに京成車において展開されている内容ではあるが,6月中旬より7500形・9200形を対象として前照灯(前部標識灯)のLED灯具への変更が行われている。6月末時点で7502編成を除く各編成で換装を終えており,もはや旧来の前照灯を残すのは1編成のみ。
施策内容は京成が3000形を対象として実施しているものと同一。もともと採用していたシールドビーム灯具が森尾電機製ということで,今回のLED灯具についても同社が納入している。灯具の構成は16粒のLEDを4列4段に配置するもので,下部2段は減光SW扱いで点灯/消灯が制御される。
京成納入品との外観上の差異として,筐体の仕上げが京成向では金属の地色であるのに対して黒色塗装に変更されているためやや印象は異なるものの,点灯回路や電気的な仕様については京成車と共通としているよう。
車両:「元年」出場車ふたたび
先月は「平成最後の~」なんてらしくもなく流行りに乗っかってみたのだけど,こんどは「令和最初の~」ってやつ。先月から入場していた7808編成が17日付で「令和最初の」全般検査を終えて帰区したのだけど,定期検査銘板に記された検査年月の表記は当然「1-6」。ついに元年表記になりましたよっと。
7800形はおろか現有の北総車はいずれも「元年」の経験がない。今のところ最古の7300形でさえ平成3(1991)年製なんだもの。なので定期検査銘板の年が「1」になった経験もないのだけど,廃されていった北総車も含めると7000形がちょうど平成元(1989)年の秋から冬にかけて定期検査を受けているのね。7002編成(1989年10月)と7006編成(1989年12月)がそれで,以来31年ぶりの「元年」出場車ってわけ。。
超どーでもいい話題だね…。ちなみに7808編成は特に検査前から仕様を変えるようなこともなく,相変わらずの骨董品スタイルを維持。それもいつまで保つのやら。
信号:すすむ高砂・矢切間C-ATS化
すでに有料会員向け記事で紹介したとおり,高砂・矢切間で進むC-ATS化はだいぶ地上設備の工事が進んできた。年度末と言わずに早ければ2Qから3Qには切替も可能なんじゃないかって感じ。
先月の時点でも地上設備はそれなりに整備されてきていた。具体的には防護マクラギへの交換と送信点整備は終わっていたのだけど,線路脇のトラフから送信点までの間のケーブルについてはFEPによる仮防護のままだったのね。これがトラフに収容され,本設状態になった。
供用開始前なので目隠しはされているが,送信点についてはB点標も設置されている。いかにもって感じではあるけど,機器室とか見えない範囲がどこまで進んでいるのかは分からないので,もう少し様子見ってとこか。
施設:新鎌ヶ谷駅リニューアル化進捗
旅客のところで書いた改札分離とも関係しているのだけど,施設として同駅を見るとリニューアル化工事がいよいよ一つの形になってきた。
まだパースにあるような完全な完成形ではないものの,駅舎のファサードやコンコースのタイル張替えについては完了。前者については1990年度の駅開設から大して変わっていなかったファサードが随分と印象の違うものになった。
施設:ホーム縁端部の床版修繕すすむ
昨年度の一件との関連は不明瞭ながら,ホーム縁端部の床版に対する修繕が進んでいる。北総線では既に場所によっては補強材を入れているところもあるのだけど,未施工の場所に対して修繕しているみたい。松飛台や大町,白井なんかで修繕した様子が確認できる。
決してホームドアの架設だとかそういう意図での補強ではないのは明らか。経年による修繕ということなのだろうね。