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北総線よもやま話1905
2019年5月の北総線よもやま話。このよもやま話は将来的に四季報として纏めていく前段階の落書きコーナー。
営業:令和改元で乗車券様式かわる
先月に引き続いて改元対応あれこれ。
といっても和暦で令和表記の何かが出たかといえば…記念券があったね。
そんな改元記念券,初日に売り切れた他社ほどではないけど,北総も初日はなかなか良い成績だったみたい。初日だけでずいぶんと券番号が進んでいるものの,完売には至らずに持ち越し中。。
ちなみに40周年記念券は数駅で完売する程度には健闘している。少なくとも毎年この時期に出していた春まつり記念券よりは売れたんじゃなかろうか。
はてさて,本題の改元対応だけど前回書いたように,目につくところは大半が西暦表記に切替済み。ところがなかなか切り替わらないものもあったんだなー。
そのひとつが特別補充券。おいおい,こいつはとうに西暦対応のものが窓処で出せるぞ,は半分正解。窓口処理機でも出せる券種ではあるものの,条件次第では出せない事情があって手書き用の複写簿冊があるのね。新旧様式の簿冊切替えによる手間とか消費ペースとか色々な事情はあったのだろうけど,ともあれ各駅で運用していたこの手の簿冊は平成を名乗り続けていたわけだ。
事情はどうあれ令和になったら使えなくなるわけで,改元された5月1日付で新様式に切替え。古い様式とは互換性なしという判断か,すべての駅で一斉に新様式の簿冊に切り替わっている。しかもこれに限らず,和暦のまま残っていた手書き券類はすべて西暦表記の新様式に切り替わっているみたい。旧様式から推測すると,団体乗車券なんかも切替えされていると思うな。縁ないけど。
これら新様式のミソは間違いなく暦の表記方なんだけど,様式にとらわれない意匠としてもいくつか変更点があった。意匠だけの微細な変更はこれまでも結構あって,おそらく発注のたびに細かい変更を加えていた頃もあったのね。
特別補充券を例にすると,2004年度の社名変更時に新社名版の様式に一斉切替えとなったのだけど,社名の書体を正規のナールから改めた仕様の版が2005年度にお目見えしていて,さらに2007年度には地紋を北総ロゴに変更した版を…という感じ。別に社名の書体や地紋が変わろうと乗車券としての機能には支障がないってことで,切替えの具合は各駅ばらばら。簿冊の減り具合次第ってところだったのだ。
で,今回の新様式でも社名の書体や地紋がみ~んな変わってしまった。やっぱり?
地紋は北総開発時代以来のPJRに戻り,社名の書体も再び正規のナールに戻されている。だからどうしたって変更点ではあるのだけど,2004年度の社名変更から数年間は乗車券類の地紋をオリジナルとしてか~~なり頑張っていたのに,すっかりその雰囲気が廃れてしまったのは時代の変化なんだろうね。
磁気ロールに関してはICカードの普及ですっかり消費量が減っているだろうから,オリジナルのロールを作るだけの最低発注量を割り込んでいるとか,発注量と消費量のバランスが悪くてメリットが薄いとか,結局は汎用のPJRになってしまうような事情があるんだろうと思う。手書き用の簿冊については印刷時点で社名も刷っているのだから別に地紋とか気にせず作れそうだけど,担当者の裁量とか部署の方針とかそういう感じなのかなあ…。
車両:9100形あれこれ
今月は車両関係でこれという話題がないので,ちょっと賞味期限切れな9100形あれこれ。
まずは9108編成のガラスなし運用について。
ガラスなしといっても窓のような法令的にヤバげなものではなく,9106号車の旧公衆電話コーナーにあった仕切りガラスが3月末から取り外されて運用中というもの。
9100形の1次車には3・6号車に公衆電話を付けていた名残として,クロスシートの連妻側に色つきガラスの仕切りが残っているのね。公衆電話なき今べつに仕切りガラスにこれといった意味はないのだけど,わざわざ取り外す手間すら惜しいとばかりに放置され続けて今に至っている。電話はとうに外されているのに仕切りガラスが残っていることもあってか,連妻に掲出するシール広告は当該箇所のみ仕切りガラスに掲出されていて,ひとまずは広告枠としての役目を果たしているのが現状だった。
そんな仕切りガラスが突如消えうせてしまったのだ。が,違和感は…あまりない。
同じ編成でも9103号車のガラスはそのまま残っているので,今更になって車両区が不要判断を下した,という意味合いではなさそう。むしろ,9106号車のガラスに何らかのトラブルがあって,接客設備なので安全上とりあえず外してはみたけれど…というところか。
窓ガラスであれば多少の予備を持っていてもおかしくないものの,電話室の仕切りガラスなんてそうそう緊急で取り替えないだろうから,取り替えたくても納品待ちで仕方なく,ということはあるだろうね。
いちおうガラスを復旧させる心づもりでいるのか,コーキング材で押さえ金具の溝をふさぐなんて真似はせず,緩衝材をビニルテープで巻きつけるだけの暫定対応で済ませている。暫定対応なので忘れた頃にしれっと復旧されるとは思うけど,そろそろ2ヶ月でもいまだにそのまま。ガラス農家がガラスを収穫するまではそのままだな~(いみふめー
まあ,実際ガラスがなくなって機能上なにか問題があるかといえば特にないし,しいて言うなれば,クロスシートに座る人と目が合って気まずいくらいか。
あとはすっかり忘れてたけど,9128編成にも緊急ボタンがついたのね。昨年度件名っぽい…とりあえず9100形の緊急ボタン工事はこれで終わり。CNT車は全編成で工事完了,北総車で見ると未施工は7808編成のみ。7800形は難しいところだね…ほんと。
7828編成の自動放送装置はまだ使えないみたい? 放送回路をいじるので車両確認の対象なのかもしれないね。局対応でしばらくかかるかなあ。
車両動向は別途記事を…って最近写真がないんだよねー(写真募集中の意)
信号:高砂~矢切間でC-ATS化はじまる
今月じゃなくてもいい件名ではあるけど,ほかの話題がうすいし…。
ともあれこの件名は大件名といっていい。投資額も規模も大きいし,今後の展開を予想すると中長期的に継続する可能性がある。
北総線で使用しているATSには1号型ATSとC-ATSという2種類のATSがあるのね。ざっくり言うと,1号型は半世紀前の古い水準で作られたATSで,C-ATSはイマドキの高い要求にも応えられる高性能なATSなのだ。
他者では本線上をみんなC-ATSに更新していったのだけど,北総だけは連動駅だけをC-ATSに更新するという施策をとったのね。施策の実施には当然理由があるのだけど,とりあえず北総のC-ATS化はアクセス線開業の一環だったわけ。
で,そのとき1号型のまま据え置かれた中間閉塞区間が今回C-ATS化されることになった。
まだ公式の言及こそないけど,すでに現地では器具箱をはじめ機器の設置が進んでいるし,新柴又の電気室は2F部分が増床されるなどの動きが出てきている。よく見ればATS関係の機器だと分かるようになってるし,これまで連動駅構内をはじめC-ATS導入区間にしか見られなかった設備が新設されているので,もはや疑いようもないよね。
今のところ高砂~矢切間のみ工事が進んでいる状況だけど,ここだけやる理由はなかろうに。ただ,これだけ大きな規模を一気にできるかといえば怪しいじゃんってことで,次年度以降も継続していく件名になるだろうから,動きに注目しておきたいよねー。
今更なんでC-ATSにするの?とかもう少し丁寧に踏み込んだ話は記事を参照(会員限定)。
施設:新柴又駅ホーム修繕工事
新柴又はC-ATS案件が大きすぎてそちらにばかり目がいくのだけど,フツーに考えれば線路際よりもホームでやってるこっちの工事のほうが目につくわね。
昨年度からの継続件名ではあるのだけど,新柴又駅修繕工事の一環として下りホーム壁面の修繕工事が5~6月の工期で進んでいる。
上りホームを施工した昨年度4Qと同様に,下りホーム側もいったん壁を剥がして中の骨まで張替え。
これで2期区間各駅の90年度竣功分についてはひと通り直したんじゃないかな。思い当たる範囲では。
施設:新鎌ヶ谷駅リニューアル工事
先日ようやくプレスが出たものの,先月に工事着手した時点から怪しい感じはしてたでしょう? 単なる新京成分離ならもう少し違う件名があるだろうに,件名に「リニューアル」と謳っていたんだもんね。
先月時点では新京成分離後の動線整備ということで点状ブロックや床タイルの張替えがメインだったものの,5月中旬からは本屋口に足場を組んでファサードの改修作業を開始。出入口上部の電照広告4枠の撤去は勿論のことながら,件の完成予想図のような感じで壁面に手を入れている様子だったので,なるほどこれが「リニューアル」か~とか思ったり,思わなかったり。
新鎌ヶ谷に限らず,すでに各駅が開業から相当の年数を経て陳腐化してきている以上,これからはリニューアルに向けて動いていかないといけないよね。
駅は街の顔であるし,その鉄道の顔でもある。その視点に立った答えのひとつが公団区間の各駅だろうけど,奇抜にするしないはともかくとして,利用しやすさとか印象の良さってのは大事にしないといけない。特に通勤利用比率が高く,沿線人口に生殺与奪を握られている北総線としては,その母数を増やして将来の種をまくことは重要な課題だし,そのためには駅を腐らせてはいかんわけだ。
北総がその視点で駅の改修を検討しているのかは知らんけど,数年前からリニューアルしたそ~~~~な雰囲気だけは感じ取っていた。とくにダントツで経年の長い1期区間3駅については,数年前からの施策でタイルの張替えや壁の塗替えなどの「模様替え」にずいぶんと力を入れており,予算次第ではここからリニューアルしてもおかしくない感じだったのね。
1期3駅のリニューアルは考えすぎかもしれんけど,14駅もあるなかで新鎌ヶ谷が今回リニューアルに漕ぎ着けたというのは,新京成分離によって何が何でも改修する必要があったという大義名分に他ならないと思っている。なのである意味,予想された結果といえばその通りなんだけども。
ところで,パースによればサインシステムについてもなにやら新しいデザインになっている。多言語対応施策の一環としてサインシステムの総替えを2019年度末完了の継続件名としているのだけど,昨年度までの実績として新鎌ヶ谷や小室などの数駅が未着手のまま残っていた。
当然,新鎌ヶ谷は新京成分離後を見据えて改修するのが無駄のないお金の使い方なので,このタイミングでの更新は納得なのだけど,ここでデザインを変えてしまうのはどうなんだろうね。せっかくサインシステム全体で仕様を統一できるタイミングでのデザイン変更,統一の意思というか,手戻りのないように施策を打っているのかといえばちょっと怪しいかんじ。
今のサインシステムの原型は1978年度の開業時にあるわけで,ついにそこから脱却するような新しいデザインポリシーを作れたという点は特筆に価すると思う。しかし,サインシステムの根本は案内に対する親切さであって,決してデザインが今風だとかそういう点だけで評価してはいかんのね。現行のサインは各駅で毎年のように野良サインを生んでいることからも分かるように,案内の内容が的確かといえば怪しいところも多々見受けられる。次のサインシステムを提案していくなら,野良サインに頼らなくても案内できるだけの親切さ,そこに注目かなあ。。
それはそうと,パースに描かれた南北自由通路が相変わらず1スパン分の幅しかないのはな~んで?? 鎌ヶ谷市予算で竣功したはずの通路の使途はいったい(なぞ)。
事務連絡:会員更新時期について
ウェブサイト「高砂第一工廠」(以下,当ウェブサイトとする)では,2018年7月のリニューアルを機に有料会員制度を設け,現時点まで運営を継続している。この制度は,従前から当ウェブサイトにて公開してきた専門性・資料性の高い記事について,内容の再考証・再執筆を行い,より高品質なものとして継続的に公開・提供するものである。
制度開始の背景には,過去に当ウェブサイトが契約していたサーバのサービス終了等により公開を停止していた記事が多数あり,その再公開を希望する声が多かったことが挙げられる。記事の再公開は北総線を始めとする鉄道趣味者への良質な資料の提供により,趣味界の持続的発展を促す基礎を作る意義から行っている。したがって,多少の手間はかかるものの,執筆後に判明した事実等を含めて記事の内容は再構築し,唯一無二の北総線研究データベースを会員に供するようにしている。
ところが,北総線において施設,電気,車両,運輸,営業など多岐にわたる分野の横断的研究とその成果の公開を今後も継続的に行っていくには,ウェブサイトの維持を含めて金銭・時間の面での余裕の確保は不可欠と言える。
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※ちなみにこの記事を含む「よもやま話」は主な出来事について月単位で走り書きした備忘録。穿った見方もするし,あえて言葉はラフに書いている。会員向けに公開している四半期報(2012年度4Qまで作成済み)などは全く異なる文体で提供している。