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9100形客室改修車の概観
9100形車両については1994年度の導入から約30年となるところであるが,このほど9108編成において側窓や妻引戸の改良,座席の取替といった改修工事が実施された。本稿は改修による主な変更点を紹介するものである。
概要
導入から約30年となる1次車の9108編成において,2023年11月から12月にかけて側窓の一部固定化やUVカットガラスへの取替,妻引戸の改良,座席の取替といった改修工事が実施された。
一連の内容については,仕様の近しい7300形や7800形では車体改修と同時に施工されていたものだが,9100形では未実施であった。また,7300形や7800形では施工年次によって実施されていた化粧板や床敷物の取替といった改修については実施されていない。
主な変更点
側窓の一部固定窓化及びUVカットガラス化
側窓については,7300形や7800形車体改修車と同様のUVカットガラスに変更された。また,一部の側窓を対象に固定窓化も施工されているが,固定窓化された箇所が先の車体改修車とは異なる。9100形では各車両海山ともに側引戸間(#1~#2間,#2~#3間)の南寄が固定窓とされていて,連妻寄りの側窓は2枚とも開閉可能な状態で残された。
なお,優先席ステッカーは携帯電話マナーやヘルプマークと一体化された新様式に統一されている。このうち9107号山側には改修前から新仕様の優先席ステッカーが掲出されていたが,今回の改修における掲出方は改修前のそれとは異なる。
妻引戸の一部撤去及び自動閉扉機能の付加
連妻すべてに設置されていた妻引戸は北寄のみ残して撤去され,クローザには自動閉扉機能が付加された。改修後の妻引戸には既設の扉がそのまま使用されているが,ドアハンドルのみ9200形や7808編成に準じた仕様に変更された。なお,クローザの改修に伴い車端部がクロスシートの車両は戸袋下部に張り出しが生じた。
また,妻引戸が撤去された南寄の妻面については,妻引戸の戸袋等を封鎖する改修が施工された。
座席の更新
座席については,ロングシート及びクロスシートのすべてがシートごと更新された。9100形の座席は2012年度までに2次車を含む全車両で他車種と同一の表地に張替えられているが,クッション等は導入時のものが使用されてきた。今回の改修ではシートそのものが更新されており,ロングシートでは座面や背ずりがなだらかな形状となった。表地については標準的な赤紫色と青色の表地から変更はないものの,クロスシートに使用されていた座席左右の濃灰色の表地が使用されなくなり,表地の種類削減が図られている。