沿線点描

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北総線よもやま話1812

2018年12月の北総線よもやま話。このよもやま話は将来的に四季報として纏めていく前段階の落書きコーナー。

おさわがせ3600形

騒がせすぎ,というより騒ぎすぎ?

9日に3600形が北総線にやってきたんだって。そんな内容を5月にも書いたけど,今回はその5月の記事で来るぞ来るぞと煽った73Kで来てしまった。ついに。

車両運用の所定ってなんだろうと考えれば考えるほど頭が痛くなる話は別として,前日に色々あろうがなかろうが,流れに乗せれば入るものは入るのだ。

△まず3050形がここにいる時点で予定外の動きではあるだろうけど…

むしろ指摘すべきは運用方よりも長いこと放置されていた行先方向幕の問題だろう。

3600形の方向幕に残る「北総・公団線」の文字列は厳密には2004年度,そうでなくとも2010年度に他車と一緒に改修しておくべきだったのに,どうせ北総に行かないだろうで整備を放置してきたツケが今更回ってきたのだから皮肉だよね。。

これまでも代走で散々出しているのだけど,それはイレギュラーとして表沙汰にならなかっただけだろう。それ自体が珍しいとかではないし,むしろ珍しいというなら2015年度製作の新版を入れた3600形が来たほうが実績もなく珍しい。

ただ,今回みたいな例はまだ良い方で,下手すると羽田空港や日医大表示を持たないという過去のツケは大きすぎる。大ハズレがどの車にあるのか,どれくらい残っているのかは管理している京成側ですら怪しいだろう。ロシアンルーレットになるくらいならリスクを考えて見合わせるか,ちゃんと整備しておくかだけど,今回の件が京成を動かすだけの案件になり得るのか,動いたとしてどうするのかは要注意かなあ。チキって今後の運用を見合わせるのも想定の範囲内だけど,通常の扱いで入れてしまうのだから忘れた頃にちゃっかり入ってくるのがいつものパターン。

ただ,確率は低い。

3600形8両編成の絶対数は4本まで減っているし,その状況で有効な選択肢に残って選ばれるほうが珍しいのだ。選ばれる前に北総からクレームが入るなり,京成がマズいって思うなり,入れない環境づくりが水面下で進んでしまえば,もはやそれまで。

それでも今回はただの定期列車。もっと良い条件で入ってケロ。詳細は別途個別記事を参照。

△ただの定期列車

非常時対応訓練

これを聞くと年の瀬だね。非常時対応訓練が今年も13日に矢切駅で行われた。当日は99N運行で7308編成を手配し,矢切1番線に留め置いた状態で訓練に臨んでいる。

「営業列車の車内で非常事態が発生した」という設定で,列車防護と救助要請,乗客の避難誘導,対策本部の設置,要救助者へのトリアージ,救急搬送,消防による消火,警察による検証,バス代行輸送の手配…といった一連の流れを行うもの。

この訓練について検索するとこのウェブサイトがヒットするそうなのだけど,だいぶ昔に撮らせてもらったものこそあれど,最近は見にいくほど余裕なし。

以前とは細かな設定こそ微妙に変わっているものの,警察・消防・バス事業者と連携して非常時対応を行うことに変わりはない。

なのでどんな訓練なの?という疑問があるなら,過去の記事を読めば概ね問題なし。登録会員なら2012年の記事が読めるはず。15年の記事は…そのうち…(藁

△これは2012年度のもの。消火活動のようす。

△これは2015年度のもの。現場での救助作業のようす。

ぼろぼろの乗車位置案内

ホーム上の乗車位置案内が「○」印だったのはすっかり昔の話。

JRなど他社に倣ったシートタイプの乗車位置案内が北総に現れたのは約10年前。千葉ニュータウン中央上りで先行採用の後に2011年度から現在のタイプが各駅に整備された。昨年度には秋山と北国分,少しあとには日医大の一部に四ヶ国語対応の新仕様がお目見えしたが,何の問題があったのか秋山と北国分は早々に元のデザインに戻っている。

そんな乗車位置案内のシートが最近ボロボロだ。施工から年数が経過しているので単純に寿命というのもあるだろうし,剥がれているのはいずれも元々ホーム上屋のない箇所で,アスファルト舗装が風化し凹凸となったまま上からシートを貼ったので剥がれやすい環境にあったこともあるだろう。こうした事例は1期線各駅を中心に散見されているが,張替え自体に大きな予算を必要としないことから年度末の予算消化で解決に走る可能性は十分に考えうる。

△見事なまでにガムテープだらけ。。

△西白井・白井のお手製乗車位置目標と予備軍あれこれ

とりわけ新鎌ヶ谷管区の白井,西白井では剥がれた箇所にガムテープや養生テープによるお手製の乗車位置案内を整備。ガムテープの乗車位置案内は牧の原でも確認できるが,両駅のものは手書きで両数などを書き込んで正規のシートに近づけていてなかなか印象的だったので取り上げた次第。。

で,四ヶ国語対応版は本当に普及するのかしら??

△これが4ヶ国語版。新版のはずなんだけどサインと違ってイマイチ普及せず。

駅工事あれこれ

そんな駅のトレンドといえばサインと点状ブロックだろう。

両者とも何度か取り上げている話題だが,サインの更新は昨年度に東松戸管区,今年度は新鎌ヶ谷,千葉ニュータウン中央の両管区で行われていて,ついに新鎌ヶ谷,小室,印西牧の原の3駅以外は新しいサインに更新されてしまった。新京成高架化による構内改良が見込まれる新鎌ヶ谷はしばらく保留という可能性があるものの,小室と印西牧の原は以前のサインを残しておく必要はなく,これも間もなく交換されるだろうね。なにより大町と松飛台が更新されたので,長らく残っていた2期線開業以来の第2世代サインは淘汰完了だ。

△文字が増えていよいよどこで内容が切れてるのか分かりづらいサインも…

点状ブロックの改良は,ホーム上のものに関しては2015年度から本格的に予算がついて17年度までに整備を完了しているが,今年度はコンコースに残る古い点状ブロックの改良に着手している。

注目はトイレの周辺だけを残して更新した松飛台。つまり,トイレの周辺は開業以来の旧ブロックなのだけど,これはまあ…近々トイレの周りだけ弄るってことだね。何をどうするって,そりゃ移動円滑化で定められたバリアフリー対応の多機能トイレがそこに設置されるんでしょう。

エレベータの設置に向けて測量した痕跡のある大町にそれ以降の動きがないのと同様に,バリアフリー対応トイレのない松飛台も特に動きがない。助成金の関係もあって年度単位で執行される移動円滑化関連の工事は第2四半期までに現場での工事が始まり,第4四半期に竣工するのが定石。この時点で特に動きがないということは,今年度は予算取りに必要な調査だけ行って,次年度…2019年度予算で工事契約を結ぶって感じかなあ。

△トイレまわりだけ点状ブロックを張り替えていない松飛台

以前とりあげた矢切の補修工事は今月で完了。9月から実施していた牧の原の塗装工事も同様に今月で終わった。

大規模な工事はこれで…と思いきや新柴又の塗装工事が今月からスタートしている。新柴又と北国分はしばらく塗装を直していないが,今回は新柴又のホームまわりを塗るみたい。期間は年度末までの予定。

△ひさびさにお色直しされる新柴又

同じ年度末までに完成することになっている新鎌ヶ谷の新京成・北総間の南北連絡通路はようやく躯体が見えてきた。11月の記事に書いたように鎌ケ谷市予算分と新京成予算分それぞれ8mの幅員で予算が執行されていて,姿を現した躯体はちゃんと高架橋2スパン分…16mの幅員だった。

ここまでは読み通り…だけど,ホントにパン屋(ヴィ・ド・フランス)の真裏に連絡通路が突き刺さっている。今のところパン屋含めてテナントに表立った動きはないが,このまま連絡通路が完成すれば少なくともパン屋は立ち退かざるを得まい。北初富切替時にスーパータカセの店先まで仮線を敷いたときの光景が思い出されるけど,それとこれは似ているようで違う…。

△さあどうなる北総高架下テナント

7828編成あれこれ

書き忘れていた案件は車両にもあるんだな…テキトーに書いてると結構漏れるね。。

ここ数年の旅客車のトレンドといえば,間違いなく車側灯のクリアレンズ化が挙げられよう。

2012年度に7308編成から採用が始まり,同年度には9200形でも採用。13年度までに7300形の更新を終え,14年度には9100形,15年度には9000形,16年度には7500形…と着実に採用車種を増やして,今ではすっかり北総車の標準品になった。松飛台での事故やカドミウム使用規制の問題など採用の背景には諸事情があるようだが,安全対策の一環などとして予算をとりやすい環境なのだろうね。

ところが,京成からの貸借車に対して北総がこの施策を展開できるかという点は特筆しておかねばなるまい。7800形と9800形の計4編成は京成の所有資産となるため,北総やCNTが好き勝手に機器を変えることはできないのだ。賃貸住宅の貸借契約のように,車両の貸借に際しても京成と北総(またはCNT)間での貸借契約があり,この契約内容によって出来る出来ないが決まってくるというわけ。

で,車側灯の更新は許されるのか?という話なのだけど,京成に通知すれば是なのかもしれないし,蛍光灯のように灯は消耗品として捉えて是なのかもしれない。いずれにせよ北総もしくはCNT予算での交換は可能で,17年度に7800形2編成を北総予算で換装している。思い起こせば客室内の温湿度センサもしれっと7300形と共通品に更新している…。

7800形の換装が終わったタイミングでやってきた7828編成は旧来のレンズでしばらく走っていたのだけど,ちゃっかり10月に換装されてクリアレンズになったのね。さっすがー。9800形はCNT側の都合なのか更新されていないのだけど,車側灯の動向は北総車として押さえるべきポイントだろう。

言及し損ねた7828編成の話題はもう一つあって,ドアステッカーとQRコードの関係について。この編成は北総に来たときから他車と違って,ドアステッカーが以前の7300形のように側引戸のガラス天地中央合わせに貼られているという特徴がある。ドアステッカーの掲示位置なんて別に多少上下していても…というものだったが,最近はホームドア制御用のQRコードと干渉する位置に貼れないという制約が生まれてしまったのだ。

9月の記事で触れた新QRコードの適用以前は各車種とも掲示位置が高く,天地中央にドアステッカーを貼っていても干渉しなかったので問題はなかったのだ。ところが新QRコードで規定されている掲示位置が低くなったために7828編成はドアステッカーと干渉してしまい,第3ドアのみドアステッカーを剥がさざるを得ないという苦渋の決断を強いられている。そんな経緯を見ていると,他の北総車が昨年度末にドアステッカーの位置を軒並み下げたのは本件のようにQRコードと干渉しないように…ってことじゃないかなーと頭の片隅にあった仮説が蠢いてくるねぇ。

△短期間でずいぶんとイジられたねぇ

あとは10月半ばから施工している整風板もずいぶんと普及してきた。7300形や9200形にもその姿が確認できる。むしろ車両はそんなしょっぱい案件よりもDSR関係の動きがそろそろ出てきていい頃…京成車の設計を流用できなさそうな車は後回しとしても,共通としている車は動き始めるかなあ。

△北総生え抜きの7300形にも整風板がついた