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北総線よもやま話1809
2018年9月の北総線よもやま話。このよもやま話は将来的に四季報として纏めていく前段階の落書きコーナー。
5500形運用開始
先月下旬の習熟を経て,3日からついに都交の新車5500形が北総線内で営業運転を開始。
3日の開始時点ではわずか2運行のみの限定運用としていたみたい。いずれも京急線内に直通しない運用なんだけど,同線はすでに馬込への回送や乗務員の習熟で何度か走行しているので,「走れるけど運転取扱い上の問題が未解決のまま」といった感じだった。
限定運用も次第に対象を増やしていて,10日以降は朝の北総特急にも入れるようになった。18日からは京急への直通も解禁され,晴れて「四直」の電車に。
今後30年くらいは見られる電車だし別にいいか…と時系列だけ追いかけてあとは放置。旅客案内機器の扱いなどでトラブル続発のようだけど,行先設定論理がそもそもあれじゃね…
ゴテゴテする側引戸
ミーハーにはよくウケる5500形と対照的に北総車の側引戸が静かに動きを見せた。
まず,京成車では既に展開済みであるものの,側引戸の客室側向かって左側の戸先中央やや上に今月上旬から点字シートの掲示が始まった。編成内の連結位置と,車両内の扉位置を示したものだが,数符による表記ではなく,単なる点で位置を示すのみ。
京成車と異なるのは,北総車は戸先側にも啓発用の黄テープを貼っているので,点字シートを掲示しようとすると,否応なしに黄テープと干渉してしまう点だろう。こればかりはどうにもならず,既施工の黄テープの上に点字シートを貼り付けている。
また,これと並行して,上旬から側引戸の車外側にQRコードが掲示されはじめた。
施工自体は先の点字シートと別案件扱いで,車内でサッサと貼れる点字シートと異なり,こちらは窓の正面から作業する必要があるため,車基S1・S2番線に入った際に施工している。
このQRコードは16年度3Qより4~6号車海側#3ドア右側に掲示していたものと原理や目的は同じ。今回は大門のそれを撤去し,2・3号車と6・7号車の#3ドア,しかも海山両側かつ左右のドアに掲示している。
そもそも何のためのQRコードかというと,一言でいえばホームドア制御のため。社会的要請もあって増えているホームドアだけど,まずは列車が定位置に停まっているかを検知してやる必要があるのね。さらに,1号線みたいに編成両数やドアの数がまちまちな路線では,停まっている車両が一体どんな車両なのか,どこのドアを開ければいいのかをホームドア側が知らなきゃいけないわけ。
これには色々な方法があるんだけど,安全性・安定性(信頼性)を大前提として,極力やすく,手軽にやりたいなと思うのが事業者の気持ち。1号線は実にた~~くさん車両がいるので,そのへんは特に気を遣うところだと思うけども。
そこで考えたのがこのQRコードだったわけだ。QRコードってのは日常生活でもありふれている汎用技術だから開発費用は非常に安価だし,安定している技術なんだな。これに車両のドア数や両数といった情報を入れてホームのセンサーで読み取らせれば良いじゃん,という考え方なのだ。これを大門で実際に試験していたのだけど,論文によると誤った電文を採用するとか不安全な結果は1回も出なかったんだって。
ただ,大門での試験にはいくつかの課題が残っていたのだ。大門のQRコードってのは,あくまで停車している車両の条件を読むだけなのね。つまり,列車検知はQRコードで行っていないのだ。なぜかといえば,地下鉄の駅は天井が低いから,1台のセンサー(カメラ)ではQRコード1枚しか読めなかった。これを2枚読ませると,車両の位置がわかるのにーというところで,これを次の課題に考えているっぽい。今回,左右のドアに貼ったのはまさにそのためで,左右のドアに線対称のQRコードを貼る(コードの内容は同一)ことで,列車検知技術としても確立させようとしているのね。
肝心のQRコードに何が記録されているのかというと,これについては今のところ確実にこれという内容がつかめていない。汚れや反射によってコードの一部が欠けても読めるように,あのQRコードはドットの大きさを通常のものより大きくしていて(現在のものは50%欠けても読める),携帯電話とかに付いているリーダーではデコードできないのね。ただ,そもそも必要な情報というのがドア数や編成両数などごく限られた情報である上に,粗いコードでは記録量も密にはできないだろう。
そしてQRコードをよく見ると,コードの下部に12桁の数字が振ってある。この手の数字というのは,たいてい図面などの管理番号であるか,コードに含まれている制御電文を復号したものなのだけど,今回は後者っぽい気がするね。
この仕様のQRコードは京急車でも展開されていて,掲示号車は違えど,乗入れてこない2100形や6両・4両編成にも掲示されている。北総車も京急車も数字は12桁で,こんな感じになっている。
700230839108(9107号車)
700730839108(9102号車)
000630831065(1070号車)
000820822117(2124号車)
000130431413(1413号車)
まず,3桁目と4桁目は編成内の連結位置である。南方の先頭車を01としている。10両以上の固定編成は存在しないが,12両併結時の内部計算用に2桁を割り当てているとみられる。
5桁目はその車両のドア数で,2ドア車両の2100形は「2」となる。6桁目と7桁目には編成両数が格納され,8両編成なら「08」,6両編成なら「06」となる。
8桁目はQRコードを貼っているドアの位置で,1号線規格に沿って第3ドアであれば「3」,第2ドアであれば「2」となる。
9~12桁目には南方先頭車の車号(つまり編成番号)が格納されている。編成番号をもたせることで,8・12両併結時の内部計算フラグ処理(編成番号が変わったら併結している=両数を加算する)をしている可能性がある。
つまり,この12桁の数字にはドア数や編成両数などのホームドア制御に必要な条件が揃っているわけで,制御電文として十分な情報量を持っているというイメージ。
点字シート・QRコードともに9月末までに北総車13編成すべてで施工を終えている。
そういう時代なのは分かるけど,ゴテゴテだね…
ゴテゴテといえば新鎌ヶ谷が…
スゴい。
新鎌ヶ谷といえば,92年度に新京成がコンコースの半分を間借りし始めて以降,もともとそんな予定のなかった構造ゆえに,北総と新京成を間違える旅客が続出。トイレの動線も散々だが,そんな中で利用者は年々増加の一途をたどっており,新京成の駅業務を受託している北総側の現場負担は相当なものであろう。
そんな新鎌ヶ谷では,自動改札機の導入当初から改札機の色をラインカラーで分けるなどの努力を続けてきたが,本社の考える対策では到底ムリと言わんばかりに野良サインを増やしたり,既存のサインに手を加えたり,かな~~~り頑張っているのが汲み取れる。
野良サインについてはBMKの改善表彰を受けるほどに完成度が高いのだが,ここ最近になって本屋口の周辺を中心にさらに野良サインが増え,ついにはラインカラーのテープで壁の色を変えてしまうという徹底振り。
初めて利用する人間には路線名よりも駅名があったほうが分かりやすいのは,自己の経験からも思うところだけど,こうしたサインこそ本当は本社主導でやるべきなんだろうね…。新鎌ヶ谷には無いけど,少なくとも「上りホーム」みたいな表現ではダメだろう。
新鎌ヶ谷は管区の主管駅であり,利用客も多い要衝であることは間違いないが,だからといって同駅に配属している人数が特段多いわけでもなく。その中で限られたリソースを最適な状態で活かせるように,という工夫を汲み取らねばならない。ゴテゴテするのは好きじゃないケドね…
とはいえ,横を見ればいよいよ新京成の高架駅が完成間近。上り線の高架切替後には新京成持ちの駅本屋が供用開始となり,おそらくこのタイミングで北総への業務委託は終了するとみられる。新京成が独立すると,92年度から苦しんできた動線問題が解決するわけで,今のゴテゴテとした野良サインもそう長くは活躍しないだろう。
余談だが,新京成と北総の駅本屋をつなぐ南北連絡通路の工事が8月から始まっている。新京成側の高架橋には当初から盛り込まれていた内容だが,70年代の計画で建設した北総側の高架橋にはそんな予定なんて全くなく。
ゴテゴテと「計画外」の装飾を重ねた新鎌ヶ谷に,40回目の春が近づいてくる…
開業時のテラゾータイル,ついに…?
40年目の春を迎えるのは何も新鎌ヶ谷だけではない。いやはや,早いものでなんと北総1期線の開業から40年も経ってしまうんだな~
設備の劣化も相応に進んできて,今年度は架線柱のビームを塗り直しているし,具体的にどうリフレッシュするのかよくわからないリフレッシュ工事が決算に謳われるなど,それなりに予算が投入されて装いを新たにしていく方針のよう。
そんななかで9月下旬から小室駅本屋コンコースのテラゾータイル改修工事が始まった。16年度に西白井,17年度に白井のテラゾータイルを張り替えており,各年度1駅分の予算が執行される順当な流れを考えると,1期線開業時からの赤紫色のテラゾータイルはこれで見納めになりそうだ。(微妙に残っている箇所はあるけど…)
経年を考えると08年度に増築した海側の上り駅本屋は未改修となるだろうから,78年度供用開始の当初の駅本屋のみ張り替えて終わりになるだろう。同時にコンコースのシート式点字ブロックも淘汰される見込み。これも78年度から引き継がれてきた開業時の残滓だった。
この工事に先立ってコンコースのシャッター改修が進んでいる。北総の駅において,階段は南方からA階段,B階段…と名前が付いているが,小室においてコンコースとホームを結ぶB階段にはもともとシャッターがなかった。1期線の駅はどれもそうで,階段脇の窓ガラスも後年につけられたものだが,防犯上の理由からシャッターを設置したところ,シャッターを上げない限りホームへの動線が完全に遮断されてしまったのね。いくら防犯に必要な設備でも,非常時にそりゃまずいっしょ~って感じなのだろう,シャッターの脇に押し扉をつけて出入りできるようにしたのである。
同じ理由で数年前からシャッターの脇に押し扉を設置しはじめていて,2期線や公団区間の駅は設置が完了している。すでにA階段の改修を終えていた千葉ニュータウン中央でも9月に改修を実施。どこだろうと思ったら,自由通路に面したシャッターを取り替えたのねー
安全報告書
9月といえば安全報告書。昨年度の安全報告書が公表されましたよっと。
長らく続いた耐震補強工事が終わり,今年度から耐震補強関連の予算がばっさり消えたのが確定。CPラインなどの安全対策工事も昨年度までに大方で完了していて,次はどういう施策を打つのかが注目だったけど,特に言及はなかったのね。とはいえ,通過列車対策が会社としての重点施策であり,今年度の予算も例年並みに振られているので,今後の施策展開には注目する必要があるだろうね。
昨年度に導入した7828編成に関する言及こそあったものの,同じく昨年度導入の24t軌道モーターカーに関する言及はなし。非力で入出庫線を十分に走れないとか,15t軌道モーターカーに何らかの支障があっての取替かと思えば,15t軌道モーターカーが安全報告書に引続き掲載されているということは,しばらく3両体制かな…
その他の記述は概ね前回のものを踏襲しているものの,画像については最新のものに差替えているみたい。矢切の防災卓も今回画像が新しくなっていて,前回までのものと見比べると,監視盤の下部にGとRどちらかに点灯する角型表示灯が3列増えているのと,昨年度の監視カメラ更新に伴ってか,ハードパネルにオフセットしていた監視モニタが外付けの新たなものに更新され,操作盤も新しくなっているのが分かる。老朽取替として考えることもできるだろうが,表示灯に関しては新たな監視対象を増やしたと考えるほうが妥当だろうね。なにを増やしたのか考えられるほどの情報量はないけど…外環交差部とか?
そのた
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今のところ2冊のみ。出力してこれから増やしていきますのでよしなに。