沿線点描

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北総線よもやま話1808

2018年8月の北総線よもやま話。このよもやま話は将来的に四季報として纏めていく前段階の落書きコーナー。

5500形あらわる

毎年8月といえばあまり話題に華がないのだが,今年は都の新車5500形が特上の華を添えてくれた。

登場からしばらく北総に縁のなさそうな感じだった5500形だが,7月からの増備開始によって車庫を圧迫。5300形を玉突きで落としているものの,5500形が他社線に出入りできない状態では次第に首が絞まるのは当然の成り行きに。運用が回らなくなる前に他社線で運用できるようにしておきましょ…ということで,ようやく北総線に5500形がやってきた。

とはいえ,5500形自体の営業運転開始が6月末まで遅れるとは誰も思っていなかっただろうし,京急貸出時に台車交換が必要なレベルで壊されるとも思わなかっただろう。北総貸出がこの時期になったのは偶然に偶然が重なった結果であり,その経緯は決して歓迎されるようなものでなかったというのは言うまでもない。

さて,5500形は京成貸出後の22日に第991Tb列車で車両基地へ回送。京成のときは5502編成だったが,今回は5503編成と別の編成が貸し出された。ちなみに京急には5501編成を貸出。編成に余裕があるってスゴい話だ。

△991Tb:5503

第991Tb列車の走った時間帯というのは,平日朝のピークが終わり,日中パターンに移行していく時間帯で,下りの列車密度がそこそこに高い。優等列車も相応に走っており,待避駅もやはり埋まっているので,これらを回避しながらなかなか面白いダイヤで回送スジが引かれていた。

高砂で時間調整中の第969K列車を抜かすも,この第969K列車は矢切でライナー待ち。当然,第991Tb列車の後ろにライナーが迫ってくるので,東松戸でこれを待避するのだが,そのまま第969K列車にも抜き返されてしまう。第969K列車の続行で下っていき,小室で再び待避。ここで再びライナーに抜かされるのだが,加えて続行のアクセス特急と第1023T列車にも抜かれる。

△こんな回送ダイヤもそうそうないわね…

牧の原に着くころには高砂を出て約1時間…その半分は東松戸と小室で待避している時間になるのだが,貸切列車のような特殊な条件ではなく,ただの回送列車が普通列車2本に抜かれるスジは結構珍しい。

北総にやってきた目的は言うまでもなく,営業運転開始を見越した乗務員の車両取扱教習。この様子だと9月には各社線に直通運転できるようになるだろうし,次のダイヤ改定以降に何かしらの動きがあってもおかしくない。

 

INTEROSの採用で計器類の見附や動きにクセがある5500形は,基地での教習で終わらせるには不十分と判断したのか,23日から27日までの5日間にかけて,77T運行で矢切~印西牧の原間を1往復教習走行している。

この77Tのスジは完全新規のもの。70番台を名乗ったのは,矢切返しの試運転ダイヤを70番台としているからで,現行ダイヤでは75Nまで登録があることから,その続番をとったものとみられる。教習走行では各駅で一旦停車していて,扉扱いを行わずに発車。扉扱いや非常時の復旧方など本線上で出来ない内容は基地で行ったのだろう。

こうした現車教習は過去の北総において何度か実施していて,前回の実施は2013年2月の9200形の教習だった。とはいえ,このときは車両基地S1番線に据え付けるのみで本線には出ておらず,2期開業後に教習した各車両も西白井や新鎌ヶ谷の留置線で完結していた。今回のように現車教習中に本線上で試運転するというのは大変珍しい事例になるのだが,果たして前回がいつだったかというと…おそらく2期開業直前,91年頭に実施した都5000形や7300形にまで遡るようだ。

△矢切返しの都車は珍しいが,今回から矢切行が出せるようになったみたい やっと

返却は29日の第1090T列車。次にやってくるのは果たして…?

矢切1番線がアツい

…と勝手に思っている。

先月のよもやまに書いたように,矢切駅では補修工事が進行中。駅開業以来となる大規模な補修工事で,8月上旬に4番線側が完了し,中旬には1番線側の施工を開始している。

壁の撤去は終車後の徹夜作業となるのだが,1番線側には夜間滞泊の設定があるため,作業日には2番線に留置変更しての施工となった。

営業時間中には何本か1番線発の列車があるものの,下り方面に進出する定期列車は夜間滞泊明けの1本のみため,壁を撤去した1番線から下り方面に出ていく列車は限られた日しか走らない貴重な存在となった。

という状況において,18日には75N運行で9128編成,さらに23日からは77T運行で5503編成の試運転が設定され,いずれも矢切1番線で折返して下り方面に進出。今年の夏を象徴する光景として記憶に刻むことができた。

ちなみに26日には89N運行で9128編成が宗吾行きに。

116号ダイヤで運行パターンが変更されて以降,矢切1番線のリソースは日常の待避から緊急時の折返し用に割かれるようになり,日中は定期列車の設定のない静かなホームとなっている。ここに第1288N列車,その数分後に第1276T列車が…と,不定期列車が嵐のように続々突っ込んできたのだ。

△これの出ていった数分後には…

△こいつが入ってくる…

5500形の編成写真なんて営業運転開始したら今後30年くらい腐るほど撮れるし,たかだか表示が試運転なだけの電車って感じなんだけど,壁のない矢切駅に続々と不定期列車が突っ込んできている光景というのは,30年経ってもそうそう見られまい。

そんな光景こそが,今年の夏の北総線なのである…

N800形

5500形に話題を持っていかれてしまったが,8月頭にはN800形の5次車,N858編成が日車豊川工場から出荷され,印旛車両基地への搬入を経て,9日終車後の第198F列車で高砂を経由してくぬぎ山に回送された。2010年度のN828編成から定番となったコースなので,特にこれについて言うことはナシ。

はてさて,京成側は3000形に代わる新型車両の制作に取り組んでいるわけで,仮に新京成がこれに追随してくるのであれば,N800形もこれが最終増備となるかもしれない。北総や京成が5年後のDSR化を迎えれば,否応なしに新京成車もDSRに対応することになるが,未だそれらしい設備が見えないN858編成,もとい新京成車全般。

ここも都交も残された時間は多くないように思えるのだが,どうなることやら。

93Nとは何だったのか

未解決のまま8月の設定分から89Nに戻ってしまった。

結局撮れる日はあったものの,所詮表示違いということで撮りに行っていないので画像も無い。

なにせ89Nは毎週のように走るし,毎年同じように走る。数シーズンで飽きてしまう「ただの不定期列車」なのだ…。そんな中で珍しく話題になった93N,識者とは意見交換をしているものの,それらしい結論には至っていないのが現状である…。

そのた

面白い問い合わせが来たので,共有しておきましょ。

少し前のことになるが,

側面はアクセス特急羽田空港表示なのに対し、前面は無表示

という3050形が走ったそうな。もともとはアクセス特急羽田空港行となる列車だったが,事情により京急久里浜行として運転されたものである。

さて,結論から言えば,上記の状況というのは表示器の原理として通常動作では起こりえない。表示器の故障,もしくは見間違えといったところだろう。

京成車における行先種別表示の動作原理とは,表示器本体のROMに表示パターンを記憶していて,これを上位装置である表示制御器からの制御電文の受信によって表示するものである。その回路構成をみると,表示器には電源用のAC100Vが各車低圧配電盤から供給され,表示制御には編成内を引通している線番248~250の3線が割り当てられている。

線番248~250は3700形以来つづく表示制御用の引通し線である。これはコイト電工の独自伝送方式であるSPC伝送をI/Fとするもので,車内案内表示器や自動放送変換器との制御伝送用にも共用している。行先種別表示器は正面・側面とわず線番248~250に並列接続されていることから,編成内の全表示器は同じ表示で同期していることになる。

したがって,上記の状況は通常では起こりえないというわけだ。

写真では高砂1番線で南方先頭車のドラムスイッチが後位置とみられる状態であることから,高砂で運転を打ち切られて入換車両として入庫するところと推測される。ただし,この時にドラムスイッチを扱ったとしても,ドラムスイッチに結線される線番TY100bが切れて設定器の電源が落ちるだけで,行先種別表示器や表示制御器が特に影響を受けることはない。なので,引続き以前の表示(アクセス特急羽田空港?)が表示されるのだが,正面が無表示になったということは表示制御器で無表示指令を出したものとみられる(もちろん低圧配電盤「行先表示器」を落としても表示は消えるだろうが,各車操作するのは現実的でない…)。とはいえ,どうせ入庫するだけならば,北方先頭車の設定器で回送設定すればいいだけの話であり,わざわざ無表示にする必要はない。

…って感じ? 識者とこういう話で盛り上がるのが本当に好き。そして今後も問合せは随時受付中だし画像投稿でもなんでも投稿受付中