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北総線よもやま話 1806
2018年6月の北総線よもやま話。このよもやま話は将来的に四季報として纏めていく前段階の落書きコーナー。
旭光の列車接近掲示器
今年度からひっそり稼動開始となった旭光の列車接近掲示器。既に仕様は以前の記事で書いたとおりで特に目新しい発見も無い。設置時点でわかる仕様は突き詰められているのだが,稼動しないとわからないものもある。始動点とかね。
さて,機器の接続がどうなっているかというと,本体から出た配線が取付金具の中を通って電源接続箱へ…。あくまでこれは電源だけみたい。どうやら本体の電源はDC24Vのようなんだけど,北総がこれまで使ってきた発車標はAC100Vなのね。なので途中に変換を入れてやらないと動かないってワケ。
条件信号はメーカのカタログによると2本あって,2種類のメッセージの切替に対応しているようだけど,北総が入れているものは1メッセージだけなので,信号は1本しか来ていないんだろう。
その条件入力がどうなっているかというと,点灯開始のタイミングも終了のタイミングも従来の発車標と同じ。つまるところ,場内相当信号機の内方に入って当該軌道回路の軌道リレーが落下するとその接点構成で点灯開始という動作。これまでの発車標の動作でもわかるように,北総の発車標始動点に急緩行の選別はなく全て同一の軌道回路の短絡で起動する。従来の発車標はこれにHTC側からの列車ダイヤ情報を組み合わせて通過か停車かを判別しているようなのだが,今回の発車標はそういうのとは無縁。上位装置側で通過か停車かを判別させて接点出力できれば,2メッセージの切替で出来るのだろうけどね…。
起動と同時に鳴動するチャイム音は音声ボードに入れたSDカードからの出力なんだそう。発車標の内蔵メロディといえばだいたい汎用のメロディICなんだけど,今はSDカードのほうが自由がきいて良いんだろうね。
大町にエレベータ?
え,要るの? なんて言っては市川市民とか鎌ケ谷市民に失礼でいかんのだろうけど…。
2期開業当時はどの駅も乗降数百人/日だったものが,いつしか大町だけ取り残されて未だ…という閑散駅。それもそのはずで,都市計画図の読める人間なら読んでみてほしいが,大町の駅周辺は住宅地の育つ土壌すらない。当然利用者は増えない。なんでこんなとこに駅あるのなんて言いたくもなるけれど,大町は新鎌ヶ谷や東松戸(紙敷)と並ぶ北総線計画当初からの駅で,松飛台や北国分のほうがあとから追加された駅なんだな。
駅が最初から計画されていた理由は審議会答申の経路指定ゆえのこと。駅なんて作ったって…とか後出しじゃんけんみたいに言うのは簡単,当時どう考えてたかなんて今の水準で語っちゃいかんのよね~。
で,そんな大町にエレベータがつくんだってさ。ソースはホームの床。
大町のホームは2期線の他の駅同様に階段を2箇所作れる設計で,このうち1箇所だけを建設してあとは準備工事になってるんだけど,その箇所にエレベータの塔屋を作るうえで必要な測量をした痕跡が現れた。ご丁寧にエレベータと書かれているので設置は濃厚だろうし,ホームの真下…つまり駐輪場にも痕跡がやはりあるので,証拠は十分。
数百人/日の利用ではとても市からの助成金が見込めない…なんて以前その手の識者と話したことがあるのだけれど,ギリギリ割っていた小室ですら付いたのだから大町もなんとかなるんでしょう。なにせ大町はホームが3Fにあるので階段が多い駅なわけで,バリアフリーの問題を提起するには申し分ない構造だしね。
取り残される松飛台
大町にエレベータが付くといよいよ北総線は全駅で移動円滑化基準に言われるバリアフリーな移動ルートの確保が完了したことになる。エレベータの増設自体は1990年代後半に1期区間のホーム~コンコース間で始まり,2000年代後半から全体に波及し始めたものだけれど,いよいよエレベータ関係の工事はこれでピリオドだ。
2000年代後半のバリアフリー化の嚆矢となったのは松飛台駅。八柱霊園に向かう客層を考えて,当時階段しかなかった駅に助成金を一切もらわずに自費でエレベータを付けてしまった。北総の体質を考えてもずいぶん思い切った決断だっただろうし,他駅への並行展開を考えれば良い判断とは思えないのだが,この時はエレベータだけの設置で済ませてしまった。
現在のバリアフリー化工事はエレベータの設置に加えて多機能トイレを設置することが標準的なメニューになっているが,松飛台では多機能トイレを付けなかった。これが後々に松飛台の首を絞めた。
何が言いたいかというと,多機能トイレの整備状況において,未整備駅は大町と松飛台を残すのみ。大町のバリアフリー化に目処がついたとなると,いよいよ松飛台が取り残される。
まあ…大町と前後して松飛台の多機能トイレ設置をするのは確実だろう。利用者も勿論,工事の規模としても,大町より前に松飛台をやるような予感…