沿線点描

同人

コミケ88ありがとうございました

夏コミお疲れ様でした。昨年に引続きなかなか良い天候で3日間を楽しめた気がします。猛暑は懲り懲りですね。北総特急とコミケは曇ってナンボ。

まあそんなコミケのお話とか新刊裏話とか載せつつ今回も軽めに書き連ねていきますね。

 

天候に恵まれ人に恵まれ……と言うべきなのか,完売めちゃくちゃ早かったですね。本当にありがとうございました。

150814_c88

「いつもより多めに持っていくから焦らないでね」と書いたつもりが,実態は「焦らないと買えずに終わる」。午後になっても相当な方が来られまして,実に申し訳なかったと思っております。初日は並んでいないので分かりませんが,あの時間で完売ですと入場フリーになってからでは遅いのかもしれません。鉄道島に直行前提で書いてますが,それこそ他のジャンルで別のホールを優先すると尚更厳しい時間になりそうです。そういう意味でも島中の午前完売という事実は早過ぎる気がします。

今回の搬入数についてなのですが,いつもより品数を減らしてる分だけ種類ごとの搬入数を増やそうという方針で,実際に倍以上の数を持ち込んでおりました。いざ蓋を開けてみたら1分に1冊売れるハイペースで回転しまして,「今回は売り子も要らないだろう」と思っていたら大変な目に遭いました。ワンオペって大変ですね。途中から掛け算足し算できなくなって死んでました。しかし,これ以上持ち込めるかと言えばそうでもなく。事前の印刷費の問題もそうですが,サークルに割り当てられたスペースは決して広くないので正直これ以上の搬入は厳しいところがあります。現に開場前は段ボール多すぎで出られませんでしたし。

 

正直どちらの本もいつも以上に刷ったこともあって多少は余るかなあと思っていたのですが,全くそんなことはありませんでした。

「沼本」については,車両の本ですから車両好きが多い鉄道界隈には反応も良いだろうと思っていました。実際こちらのほうが早く捌けましたから,予想自体は当たっていたようです。

一方で「北千葉本」は不安の種でした。なにせ未成線ですから,既成路線より格段に知名度は落ちるわけです。しかも北総線や一号線の層とは違う新たな層に訴求するため,どれぐらいの需要があるか過去の実績が無い。同人誌を刷る数というのは,過去に出した本の傾向と売れた数で検討しますから,実績が無い分野はどうしても勇み足になります。特に弊サークルはコミケぐらいしか出ませんから,余剰在庫を作り過ぎると確実に腐らせます。余り過ぎないラインで設定するには…と色々悩みましたが,結局は沼本と同じ数を刷りました。沼本はともかく,北千葉本でこの数は半分以上余るんじゃないかと超絶不安で,今年の秋はダンボールと仲良く暮らすかなあとか考えてました。

鉄道島の需要って本当に読めないですね。北千葉本の売れる早さは予想外でした。本当にありがとうございました。そして申し訳ございませんでした。

 

机の内側にいると色々な方から声をかけて頂けます。叱咤激励あってこそ創作の甲斐があるというものです。

弊サークルは北総線だったり北千葉線だったり特定の地域に特化した本を出しておりますから,中には沿線の方も多く見られます。色々な方が一つの路線に十人十色の接し方をしていることが伝わってきますし,一つの鉄道路線を話題として共有できるのは楽しいものですね。

弊サークルの新刊のために来ましたという方も何名かいらっしゃるようです。ただただ感謝の言葉しか無いのですが,そこで完売でしたと伝えるのも実に辛いものがありますね。全ての読みたい方に読んでいただけるよう再販を考えてますが,これも余らせすぎると後々に響きますから(苦笑),上手く考えたいものです。

申し訳ないと言えばブログとTwitterですね。「ブログ見てます」「Twitter見てます」という方も大変多くいらっしゃいますが,どちらも多くて月一更新という現状。しかも大したことを書けてませんから,返す言葉が出てきません。同人の世界に触れ始めたころ,「この人は何故コミケの時期しか更新しないのか」と思ったサイトが幾つかありましたが,自分がそうなるとは思いもせず。忙しい中で同人誌書いてるといよいよ何も発信しなくなりますね。せめてTwitterぐらい何とかしようと思います。多分思うだけになりそうなので過度な期待は無用です(笑)。

しかし,沿線の方であれ沿線外の方であれ,ブログ見てます見てません,そういう色々な人含めて平等に「参加者」なのがとても好きです。参加者には勿論私も含まれます。石油王が買おうと著名人が買おうと一般市民が買おうと立場関係なく「買い手」であり「読み手」である。売名とか考えずに純粋に読んで欲しい,読みたいの通じ合える空間というのは維持されるべきものだと思います。

 

執筆の裏話でも書いていきましょう。

沼本の着手は今年の1月に遡ります。7260形の廃車が告知されれば車内もオチオチ調べられなくなりますから,サッサと終えようと三が日明けて着手したわけです。比較的順調に7260形が終わって1月半ば……後はサボり。いや,7300形という膨大な調査項目の前にモチベが耐え切れずに逃避ですよ。そんなことしてる間に7260形の引退が近づき云々…。

本格的に進め始めたのは4月末から。1ヶ月ほどで延々と電車に乗りまくって写真撮ってメモってメモってメモってメモってといった感じでした。そこまで思い出という思い出は無いのですが,調査とは別に普通の移動で電車乗りながら「この化粧板撮らないと…」とか謎の義務感に駆られるのは恐怖でした。あとは宗吾に回送されるタイミングに気を配っていた程度ですね。年1度の参勤交代()にハマると1週間は足止めされますし。

北千葉本の着手は沼本の執筆が終わった6月半ばからでした。この時点で〆切まで1ヶ月しか残ってないのに,直後に地方に飛ばされまして,帰ってきたら別のタスクが降ってくる降ってくる…気付けば7月半ば。極道入稿覚悟の修羅場でした。

この手の本は,机上調査→現地調査→整合→執筆というプロセスを経て書いています。机上調査は各地の図書館や公文書館で文献を収集するのですが,中には図面などもあるわけで,複写も一筋縄ではいきません。300枚400枚,時には1000枚近く複写申請することもあり,一日がかりで複写機と戦う日もありました。他にも情報開示請求をかけて探すこともありますが割愛。この辺は4年前からちまちま進めていましたが,〆切2週間前に500ページの報告書が届いた時は軽く絶望しました。3~40年分の会議録を読み込んだり,膨大な図面を貼りあわせて今の地形図と照らし合わせたり,何かと骨の折れる机上調査を終えると現地調査となるわけです。実地に赴いて写真を…といきたいところですが,40年前の地図にあった筈の道が綺麗さっぱり無くなっていたり,一面の田んぼだった筈が住宅地になっていたり,過去の地図のイメージが強く残ったまま現地に行くと見事浦島太郎に。途中から豪雨になって中止せざるを得なくなるなど,こちらも何かと面倒がツキモノでした。

執筆の段階に入っても,写真や地図が多いため気が抜けず…というか全然進んだように感じられずモチベは下がったまま。苦労話の絶えない執筆になりました。

 

ともあれ無事に2冊とも刊行できました。が,北千葉本の方は誤植箇所の訂正が間に合っておりません。近日中に公開しますのでお待ちくださいませ。

前述のとおり,再販の検討を進めています。確約はできませんが,なるべく良い方法が提示できるように検討していきます。

最後に,今後の即売会への参加について。「北総線と北千葉線の研究」を標榜した活動をして4年,当初予定していた北総線と北千葉線の本は無事に出すことが出来ました。当面出したい本もありませんので,今後しばらくはお休みするのも一つかなと思っております。高砂第一工廠でしか書けないこと,伝えられないことを見つけられたらまた机の内側に行こうと思います。それではまた。