2015年3月2日公開・ 最終更新
概要
印西牧の原駅開業を控えた1994年度末,北総車に新たな字幕が登場した。2年前の1993年度に京成で作られた英字入りの40コマ幕を黒地化したもので,当時唯一対応する40コマ表示器を持っていた7300形に英字無しN61・N90の後継として装填された。
前述の通り,字幕の原版は1993年度の京成車行先幕K110にある。京成車では1994年度末にシール追加された印西牧の原は北総独自の版となっており,京成が行先上部に「(北総・公団線)」と表記したのに対し,北総は「(千葉ニュータウン)」と記した。また,ルビも京成の「Inzaimakinohara」と異なり,「Inzai-Makinohara」と記している。しかも,印西牧の原と同時に追加された「(千葉)ちはら台」については追加は見送られており,最後までちはら台のコマは収録されなかった。
その後,1998年度に37コマ・38コマ目に羽田空港と蒲田が追加された。この時点で一番下にある行先は35コマ目の印西牧の原だったが,36コマ目を飛ばした理由は開業前の印旛松虫の予約コマとしたからである。かつてのN60のように羽田空港口や大森など仮称で行先を刷らなかったのは後年振り返れば正解だったと言えよう。ここで印旛松虫を入れてしまえば,また字幕の刷り直しが必要になるし,混用対策で別のコマに入れようものなら,京成車用は2002年度に40コマの上限に収まらなくなっていたところだった。
印旛松虫改め印旛日本医大は2000年度に予定通り36コマ目に追加された。印旛日本医大の追加後は表示内容の追加・削除は一切行われず,その後若干数が刷られたであろう追加分の字幕についても,用済みとなった西白井や羽田を削除しないまま作られ続けた。京成では2002年度のK140において矢切・西白井・千葉ニュータウン中央・羽田の削除を行なっているが,北総においてこうした動きは一切見られなかった。
当初この字幕を装備していたのは7300形に限られていたが,表示内容が増えて対応しきれなくなったN32やN82の代替として,1994年度に7000形,1997年度に9000形がN100へ装置ごと換装された。7000形や9000形は7300形と正面の行先種別表示の寸法が異なるため,7000形換装の際に正面用表示器のYA94122が起こされたが,これは側面用表示器YA90199と同寸法で,制御部の取付け位置を変えただけである。したがって,7000形や9000形の装填字幕は正面・側面ともに同一品であった。
また,7050形に始まる京成リース車は,当初京成時代の字幕をそのまま活用しており,後継の7250形・7800形も同様な措置がとられていた。しかし,2004年度の路線名改称により,リース車の京成字幕に記された「(北総・公団線)」表記を抹消する必要が生じたため,この過程で暫定的ながらN102を両形式に装填する(改修後はN130系に戻される)姿も見られた。さらには,2000年代後半になると劣化したN130系の代替としてN102をリース車に本採用するようになり,7800形と7260形の側面がこれによってN102化された。こうしてリース車の字幕は,7260形の正面のみ京成から引き継いだN130系を使用してきたが,ついに2012年度にN102のYA90200タイプが作成され,交換されたことで,一般の旅客に見える箇所は全てN102に統一された(中間に封じ込めた先頭車の正面には京成時代の幕が廃車時までそのまま残った)。かくして,N102は名実ともに北総車の汎用方向幕として統一を果たした。しかし,その端緒となった7300形は表示器のLED化によって,また7000形などは廃車によって,姿を変えたり消したりしていた。統一が達成された時点で北総車に残る方向幕車は3編成24両となっていたが,それも2016年度までに全て姿を消した。つまり,N102は北総車にとって最後の方向幕となったのである。
字幕一覧
30~32:空白
39~40:空白