2015年3月7日公開・ 最終更新
概要
北総車の行先字幕は,後の汎用幕となる英字40コマ幕N100が1995年に制作されるまで全て英字無しで制作されてきた。今でこそ京成車の色違い字幕が標準的になっているものの,当時の北総車は機器の互換性の都合から,90年代までは多くがオリジナルの方向幕を使用していた。そのなかで7300形は唯一,京成と同じ配列の40コマ方向幕を使用できる車両であった。したがって,このN90は7300形でしか使われたことのない字幕であり,北総オリジナル配列が一般的であった90年代前半においては数少ない京成配列の字幕のひとつでもあった。
さて,N90は1992年に制作された少々古めの字幕である。1992年度より,京成では増加する外国人利用者への対応として上野と成田空港の2コマに英字を追加した英字字幕の現車試験を実施した。このサイトでは,現車試験開始から英字本格採用字幕が登場するまでの字幕を便宜的に「試験英字」と呼んでいる。数ヶ月の試験の後にこれが本格採用されると,試験に用いた3200形8M車など以外の車両にも波及するようになる。現車試験開始直後の字幕には「羽田空港口」の表示が含まれていたが,仮称・羽田空港口駅の正式駅名が羽田駅として決定した後に制作されたとみられる本格採用後の字幕には「羽田空港口」の表示がなく,代わりに「羽田」「矢切」の2コマが33コマ以下に追加された(30~32の3コマが飛ばされたのは,90年度制作幕の当該位置に「松戸」「くぬぎ山」「北初富」の3コマが含まれていたため,これとの併用時に行先の混在を防ぐためであった)。空港口が削除された後の字幕については,空港口入りとの区別のため「試験英字後期」と当サイトでは呼んでいる。なお,いずれの字幕も後年,7050形などのリースによって北総へ流入し,N120系(羽田空港口の有無まで調べた当時の資料がなく,このサイトでは前期・後期ともに同じN120に纏めている)として北総車字幕のひとつとなる。
しかし,本稿のN90はれっきとした北総オリジナル字幕である。北総における試験英字字幕は,京成で本格採用された後の試験英字後期に相当するものであった。ゆえに25コマ目の羽田空港口は姿を消しており,羽田と矢切が当初から含まれている。京成車の試験英字幕は空港口の有無に関わらず比較的後年まで使用され続け,2008年度の英字幕統一までその姿を見ることが出来た。しかし,北総では状況が異なっており,印西牧の原開業直前の1995年3月に7300形16両の字幕がN100に交換されたことで,登場から僅か2年強という短期間で姿を消している。
字幕一覧
30~32:空白
35~40:空白