2016年1月14日公開・ 最終更新
概要
1990年度末の北総2期線開業に伴い,在来車では都心直通に向けた各種改造を1990年より実施した。その一環として字幕の交換が行われたが,各形式の字幕表示器の仕様が統一されていなかったことから,形式ごとに異なる字幕を用意せざるを得なかった。こうした事情から作られた7000形専用の字幕がN30である。
八幡電気産業製の20コマ接点式表示器であるYA-4650系を装備する7000形向けの字幕であるN30は,それまで使われてきた1981年度版N10の仕様を踏襲しながらも,試運転や回送といった種別を行先側から種別側に移し,他車と仕様を揃えられた。行先の配列は1コマ目の基準コマのあとに2~5コマ目に空白を挟み,6コマ目以下に京成線,都営線,京急線,北総線,新京成線の順で線区ごとに2~3種類の行先を南方から並べたものである。この点において合理的な配列を目指したN10とは性格を異にしており,むしろN00に近い配列方針がとられている。
1993年4月のダイヤ改正に向けての字幕改修は1992年度より実施された。7150形向けのN51では「松戸」「くぬぎ山」「北初富」のコマを削除したのに対し,7000形向けN31では既存の配列を残しながら3~5コマ目に「品川」「羽田」「矢切」を加刷処理した。これらのコマは7150形向けN51では21コマ以下に入れられたが,7000形のYA-4650系表示器は20コマの表示上限があるため,上部の空白を使わざるを得なかった。
さらに,1995年4月の公団2期線印西牧の原延伸に対応するため,1994年度に再度の字幕改修を実施し,N32となった。「印西牧の原」のコマは唯一空白コマとして残っていた2コマ目に入れられ,この時点で全てのコマが埋められた。1994年度の同時期には7300形向けに英字入り行先幕のN100が登場していて,この影響を受けてN32の「印西牧の原」は英字入りの表記となった。これもN31と同様に加刷処理によってなされている。しかし,将来の行先追加が見込まれる中で行先幕20コマ全てが埋まった状態というのは早急な対応が必要とされ,羽田空港駅の開業前までに表示器の40コマ対応を行うことになった。こうしてYA-4650系は1994年度以降に順次7300形と同様のYA-90199系へ置換えられ,N32を最後に7000形から接点式字幕は消滅した。