概要
NT40の後継として1994年度に登場した種別幕がNT50である。YA-90199系のセンサ式表示器用10コマ種別幕で,NT40と完全な互換性を持つ。
この種別幕の最大の特徴は,どうしても必要な更新で生まれた字幕ではないという点だ。この他の北総車の種別幕はいずれも新種別への対応という種別幕として不可欠な更新理由から制作されたものだが,NT50制作時点で新種別ができたわけではない。つまり,NT50への更新はマストではなかった。
NT50の配列はNT40と全く同一である。したがって基準の下に通勤特急から普通まで,そして回送,試運転,臨時と並んでいる。大きく異なるのは通勤特急から普通の4コマのデザインで,英字が下部に入れられている点だ。
方向幕に対して英字を入れるデザインは1992年度に京成車行先幕で試験的に採用し,翌年度より下部に英字を入れるデザインが確立された。このときから種別幕にも英字が入るようになり,側面用では文字数の関係で通勤特急を通特と略すなどの若干の変化があったものの,内容はそのままに英字入り種別幕と行先幕が普及するようになった。京成車での確立後も北総車はしばらく更新理由がなかったことから放置されていたものの,1994年度になると公団2期線の開業で印西牧の原を行先幕に入れる必要が生じたことから,センサ式のみではあったが字幕の完全新調により英字入り行先幕N100が制作された。一方の種別幕は前述のように更新の必要こそ無かったものの,1990年度以来の使用で劣化が始まっており,劣化した字幕の交換や予備品として新種別幕が発注された。これはNT40でも問題なかったが,京成車が既に英字幕に移行していたこともあり,合わせるかたちで英字入り種別幕NT50が制作されたのである。
その後,7000形や9000形がセンサ式表示器に更新されるようになると,これらの形式には最初からNT50が装填された表示器が装備された。NT50は北総車汎用種別幕となるが,それでも7300形にはまだ多くのNT40が残存しており,NT50との共存が長らく続いた。2004年度の快特の追加に際しては,それまで空きコマだった9コマ目に快特のシールを貼ることになった。予備品の数に限りがあることから,循環改修の過程で快特を最初から印刷したNT51も制作されているが,殆どの字幕は快特はシール追加だった。そして,NT40はこの時点でようやく側面用が淘汰され,快特を足したNT51が北総車の標準となる。NT40に快特を足したNT41は7300形正面用として残るが,2008年度末に7308編成の行先種別表示器のLED化が行われ,この際に不要となったNT51がNT41を完全に置き換えている。