2014年9月3日公開・ 最終更新
概要
実車のあらまし
北総開発鉄道では北総Ⅱ期線開業に伴う所要車両数の増加に対応するため,京浜急行電鉄で余剰となった同社1000形16両を京急車輌工業経由で購入し,これを7150形として1991年2月より順次導入した。導入に際しては,北総開発鉄道の車両として他のステンレス車両と意匠を揃えた車両塗色への変更や制動装置等の改修が京急車輌工業で実施され,この際に方向幕についても北総仕様のN50系に交換された。
N50系の概要
N50の表示配列は7000形のN30や2000形のN40と同一であり,当時の北総所属車両における共通配列と考えることができる。そして,「千葉ニュータウン中央」の割付や書体こそ違えども,黒地に白抜き文字という基本的な意匠は共通である。N50系の書体は京浜急行の字幕と同様であることから,同社の「黒幕車」を想起させる。しかしながら7150形の種車は「白幕車」であり,その不一致が導入直後において正面運番表示の視認性を悪化させる原因にもなった。いずれにせよN50系は京浜急行出身の7150形に北総所属車両としての個性や他車との統一感をもたせていた。そして,例えば千葉ニュータウン中央の割付や種別字幕の地色など京浜急行の黒幕とは似て非なる仕様を踏まえれば,れっきとした北総オリジナルの字幕といえよう。
7150形の行先表示器は最大39コマまでを表示可能な電圧比較式であった。最大20コマの制約の中で運用してきた接点式のN30系と異なり,後年の行先表示の追加は21コマ以下の空白が活用された。N30系とは対象的に追加の余力を多く残していた字幕であった。
各字幕の特徴
N50(1990年度)
7150形の種車はいわゆる一号線系統の直通各線で長らく運用されてきた車両であり,北総開発鉄道における都心直通列車としての使用には大きな改造を必要としなかった。しかしⅡ期線開業当時の北総開発鉄道は新京成線松戸までの直通運転を継続しており,同車も新京成直通列車への使用を検討されたようだ。結果的に同車は都心直通列車に専従することになったが,同車の導入当初に使用されていた1990年度印刷の行先字幕・N50にはこうした名残か新京成線方面の「松戸」,「くぬぎ山」,「北初富」の各表示が含まれていた。なお,N50における最初の印刷は1990年12月であったが,後述の理由により今日において新京成線の行先を見ることはできない。
N51(1992年度)
N50系を1993年4月のNo.103ダイヤ改正に対応させるため,1992年11月に第2版・N51が製作された。N51では18~20コマに入っていた「松戸」,「くぬぎ山」,「北初富」の表示を抹消し,続く21コマ以下に「矢切」「羽田」「品川」の表示が追加された。N51の新規製作は少数に留まったようで,N50に前述の抹消と加刷処理を施したN51(すなわち1990年12月印刷のN51)も確認できている。当時予備品にあったN50はこの時点でN51に改修か廃棄されたと考えられる。なお,N50から改修品には18~20コマ目に僅かであるが松戸などの痕跡が残っている(フィルムの日焼けの差で字形が判別できる)。
N52(1994年度)
1995年4月の印西牧の原延伸に対応するため,1995年1月よりN51をベースに第3版・N52が製作された。N52で追加された「印西牧の原」は18コマ目で,N51製作時に抹消された「松戸」の位置が再利用された。N52導入直後の1995年度には同車の廃車が始まっており,N52の新規製作はほぼ行われなかったと推察される。現在確認できているN52はN51以前からの加刷で済まされた物のみだが,最末期まで残った7158編成にはN50出自のN52が含まれていたことが判明している。
表示内容
2~5:空白
19~20:空白
24~39:空白