北総車種別幕:NT71―北総リース車側面用2003年度版

概要

1995年度から導入されてきた京成からのリース車は,京成側の車両事情の変動に合わせて数年単位で代替が続いてきた。3150形のリースは5次に渡って続いたが,2000年度に最後の編成がリースされたことで,2002年度のリース車からは車種が変わることとなった。

この2002年度に行われたダイヤ改定で,京成は特急,急行,普通の3種別を中心とした種別体系を大きく見直した。種別幕はそれに応じたKT50として新たに制作され,センサ式表示器を持つ各形式に装填された。したがって,北総に新たにリースされようとする車両もKT50を装填しており,これがNT70として北総管理下に入ることとなった。

NT70,つまりKT50の配列は,KT40までの配列と大きく異なるものとなった。

2002年度の改定で新設されたエ快速,快速,通勤特急の各種別が加わり,さらには改定前の過渡期にも使用することからエ特急を残存させたことで,字幕に必要な表示は11種類を数え,無表示としたい基準コマを含めると12種類にも上った。センサ式の種別幕は1990年度の設計以来,10コマを上限としていた。前身の接点式表示器と異なり,センサ式の検知回路は上限コマ数の拡張にある程度対応可能な設計で,KT50の導入にあたっては,制御器や指令器のROMを種別側で12コマまで指令できるように改修した。

かくして導入されたKT50の配列とは,最上端を基準コマとして,特急,エ特急,臨時,試運転,回送,急行,エ快特,エ快速,通勤特急,快速,普通の順。一見すると法則性のない配列だが,これは製版の手間を考えた結果の配列であった。

京成の種別幕はKT40まで青地ヌキ文字で,優等種別のみ赤文字を重ね印刷したデザインだった。印刷時の版は1色1版で,概ね3コマまで1つの版に入るため,KT40以前の優等3種別は赤色の版1枚で収まり,あとは青色の版を用意するだけだった。KT50では,北総車種別幕同様に種別色を地色とするデザインを採用したため,緑,赤,オレンジ,ピンク,水色,黒の5色の版が必要となり,種別色が分散した状態で配列した場合,制作コストの増大が予想された。そこで,種別色ごとに集約して配列し,上から順に,赤(特急,エ特急),水色(回送,試運転,臨時,急行),緑(エ快特,エ快速),オレンジ(通勤特急),ピンク(快速),黒(普通)というように並べたのである。

なお,急行の種別色は2002年度以前は青色だったが,京成では行先幕の地色を青色としており,種別と行先がそれぞれ青地ヌキ文字になると優等種別であることが明示できないという観点から,これを水色に改めて差別化を図った。

その後,KT50は2003年度に快特を追加することになり,これはシールで1コマ目の基準位置に追加された。この状態がKT51だが,これに相当する字幕を装備してリースされた車両もあり,これはNT71として分類している。

2010年度にエ急行が新設されるまでは京成リース車の7800形や7260形で使用されてきたNT71だったが,エ急行を入れる必要から2010年7月までに表立った箇所のみNT80に置換えられた。7260形の中間に封じ込めている先頭車は種別幕を使用しないことから,この2箇所のみ残存し,後に1箇所に減るものの,2014年度末までひっそりと残った。

字幕一覧

△1:快特

△2:特急


△3:エ特急

△4:回送


△5:臨時

△6:試


△7:急行

△8:エ快特


△9:エ快速

△10:通勤特急


△11:快速

△12:普通