北総所属車両における定期検査と検査回帰

2018年3月21日公開・ 最終更新

鉄道は公共交通機関のひとつとして社会一般に広く供され,公共の福祉の増進に資するものであるが,その前提には安全安定輸送の確保がある。すなわち鉄道輸送に欠かせない車両においても安全の確保は絶対であるが,わが国においては法令等により技術上の安全が確保されるように努められてきた。今日では技術基準省令において定期検査の周期と部位,方法を定めて行うことが定められている(技術基準省令90条)。これに基づき,北総線においても実施基準でその内容が定められており,基準に沿った定期検査によって車両の保守・管理が今日までなされてきた。

本稿は,北総線における旅客車両の定期検査周期と内容について,その概要をまとめたものである。

検査の種別

列車検査

列車検査とは,消耗品や主要機器の機能について車両を分解せずに行う(在姿)検査を指す。最も高頻度に行われる検査であり,現在は1日に約2編成が列車検査を受けている。該検査は定期検査に含まれない。

走行装置(台車,車輪,緩衝器,駆動装置),主回路機器(集電装置,主電動機,主抵抗器),制動装置(弁,シリンダ,制輪子),コンプレッサ,補助電源装置,連結栓,冷暖房装置,戸閉機,灯具,ATS等に対し,損傷や摩耗,取付状態を確認している。

月検査

毎月の実施が必要な検査のようだが,該検査の検査回帰は3ヶ月ごとである。正確な記述をすれば,3ヶ月を超えない期間ごとに行う検査を月検査と呼ぶ。定期検査としては最も高頻度に行われる検査で,北総が印旛車両基地で行える唯一の定期検査である。

1987年3月以前の旧「地方鉄道運転規則」では,2ヶ月を超えない期間での実施が定められており,1979年4月以前には1ヶ月を超えない期間での実施…すなわち毎月の検査であったことが該検査の由来である。

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