北総車の列車無線デジタル化準備工事

2020年1月5日公開・ 最終更新

北総線における列車無線のデジタル化については過去にも幾度か取り上げている話題であるが,このたび各形式において準備工事がしゅん功したことから改めてその内容を紹介するもの。

工事の概要

北総線における列車無線設備には開業以来長らく誘導無線(IR)方式を運用してきた。これは直通他社局と歩調を合わせた設備であるが,今般の列車無線設備においてはさらなる保安度・信頼性の向上が求められ,こうした中で各社局間において列車無線のデジタル化(DSR)を行う運びとなった。

発表資料によると北総鉄道においては2018年度から2022年度までの5カ年での更新を計画しているが,実態としては並行して更新する京成電鉄に相乗りした施策展開である。その背景には設計等に係る費用負担の軽減のほか,車両側の改修工事において同社からの貸借車は同社負担での工事となるため両者の緊密な連携が不可欠であることが挙げられる。

列車無線の更新に際しては地上側のみならず車両側にも工事が発生する。北総鉄道においては千葉ニュータウン鉄道からの受託車両を含めると12編成96両を運用してきたが,改造工事中は該車両を使用できないため円滑な車両運用計画の策定に支障が予想される。その対策として2017年度に京成電鉄より新たに車両1編成を貸借し,13編成体制とすることで工事期間中の予備車確保を図っている。

改造工事については大まかに「準備工事」と「本設工事(本工事)」に分けることができる。工事の分割は年間工事費用の軽減に加え,1回あたりの工事期間を短縮することで車両運用への影響を和らげる意図があるとみられる。準備工事は無線免許取得までの準備として行われる工事であり,免許が必要な無線機器は艤装せずにあくまで支障機器の移設や配線の艤装などを主として行う。これによって免許取得後は実際に無線機器を設けるのみとなり,本設工事の工期を大幅に短縮し円滑な切替が見込めるものとなっている。

工事の進捗

準備工事の展開

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