2025年度(2025年4月~2026年3月)の北総線においては,沿線自治体等と連携したコラボレーション企画の実施や「ほくそう春まつり」等のイベント開催を通じた地域活性化への取組みに加え,区間列車の増発を盛り込んだダイヤ改正による利便性の向上,自動列車停止装置(ATS)等の設備更新による安全面の強化が図られるなど,安全安定輸送の実現と需要喚起に資する施策が展開された。本稿は2025年度における主な動静を概要として紹介するものである。
全社の動静
企画・広報
沿線活性化トレインの運行
北総線沿線自治体と北総鉄道から構成される北総線沿線活性化協議会(活性協)における沿線活性化への取組みとして,広告貸切列車「北総線沿線活性化トレイン2025」が7月15日から1月末までの約半年にわたり運行された。
北総線沿線活性化トレインは北総線沿線の魅力発信や知名度向上といった沿線活性化を目的として2022年度より運行されている広告貸切列車で,4回目となる2025年度は9201編成を使用して運行された。9201編成が沿線活性化トレインとなるのは2024年度に続き3回目である。車両正面には円形のヘッドマークが掲出されたほか,車両単位で割当てられた車体側面の戸袋部,客室内のまど上,中吊り,戸袋部の車額に各自治体による広告が掲出された。
運行開始に際しては,初日となった7月15日に印西牧の原駅で出発式が挙行された。活性協を構成する千葉県や沿線各市の長と北総鉄道の持永社長が出席し,沿線活性化トレインの披露と初列車となる印西牧の原発新鎌ヶ谷行の臨時列車の見送りが行われた。また,印西牧の原駅の開業30周年を記念して,印西市のマスコットキャラクター「いんザイ君」のぬいぐるみが藤代印西市長から持永社長に贈られた。
2025年度に贈呈された「いんザイ君」は北総鉄道の営業系制服を着用した「ほくそう制服電車いんザイ君」で,1月より印西牧の原駅ラチ内コンコースに展示された。印西牧の原駅での「ほくそう制服電車いんザイ君」展示開始に伴い,それまで同駅に展示されていた7500形版「電車いんザイ君」ぬいぐるみは印旛日本医大駅ラチ内コンコースに移設された。また,「ほくそう制服電車いんザイ君」ぬいぐるみについては,印西市によって高さ15cm程度のミニサイズが制作され,10月18日に印西市ふれあい文化館で発売された。
ほくそう春まつりの開催
印西市,白井市,ベイエフエム,北総鉄道からなる実行委員会を主催とするイベント「ほくそう春まつり2025」が,千葉ニュータウン中央駅を最寄りとするイオンモール千葉ニュータウン提携駐車場を会場として4月20日に開催された。
当日は芸能人を招いた特設ステージをはじめ,鉄道事業者や京成グループ各社の物販コーナー,地元商工会による模擬店などが出店し,主催者発表28,000人の来場者を数えた。また,ほくそう春まつりの開催に伴う臨時列車「ほくそう春まつり号」は,京成線京成上野駅から千葉ニュータウン中央駅までの特急列車として,9808編成を使用して運転された。
市川市との地域活性化の取組み
沿線自治体のひとつである市川市と北総鉄道は,2024年3月に「市川市と北総鉄道株式会社との地域活性化に関する協定」を締結し,協定に基づく取組みとして同市の運営する市川市動植物園とコラボレーションしたイベントを2024年度に初開催したところであるが,両者による第2回「市川市動植物園×北総鉄道コラボまつり」が5月17日から18日にかけて市川市動植物園で実施された。
2025年度の「市川市動植物園×北総鉄道コラボまつり」は,開催時期が春バラの時期に前倒しされて5月開催となり,2日間の連続開催に規模が拡大した。大町駅から鑑賞植物園経由での徒歩,または臨時送迎バスでの来場を想定したスタンプラリーが新たに開催され,3箇所のスタンプを集めた際の記念品として「市川市×北総鉄道コラボトートバック」が150個限定で配布された。当日は園内でミニ電車の運行や物販ブースの設置,子ども向けの制服撮影会などが行われ,2日目の冒頭では田中市川市長と持永社長による挨拶も行われた。
また,年度末においては,SNSを通じて市川市動植物園のニホンザル・パンチが話題となったことから,パンチの写真をあしらったポスターが各駅に掲出されたほか,大町駅には特製パネルが設置された。
白井市との地域活性化の取組み
沿線自治体のひとつである白井市と北総鉄道は,2021年3月に「白井駅・西白井駅周辺地域の活性化に関する協定」を締結し,協定に基づく取組みとして株式会社Cygamesの展開するクロスメディアコンテンツ『ウマ娘 プリティーダービー』(以下『ウマ娘』)とのコラボレーション企画を2024年度に共同で実施して話題となったところであるが,両者によるコラボレーション企画の第2弾が1月23日より実施された。
本件企画は,日本中央競馬会の教育訓練施設である競馬学校を擁するなど馬との深い関係を有する白井市における「馬の繋がりを活かした地域活性化の取り組み」として,2024年度に続き株式会社Cygamesの協力により実現したものである。
北総鉄道においては,『ウマ娘』に登場するキャラクターと7500形車両をコラボレーションさせたキービジュアルが描き下ろされ,このイラストを使用した駅装飾やスタンプラリーの実施,グッズの販売,123名の「ウマ娘」が登場する広告貸切列車の運行など様々な企画が展開された。
白井駅の駅装飾に際しては,初日となった1月23日に同駅自由通路でお披露目式典が実施され,笠井白井市長,嶋田白井市副市長,持永社長のほか,来賓として株式会社Cygamesの岡林取締役室マネージャーが出席し,白井市のマスコットキャラクター「なし坊」も駆けつけて企画の開始を盛大に祝った。
さらに,『ウマ娘』に登場するキャラクター「セイウンスカイ」役の声優・鬼頭明里氏を起用した特別放送が,1月23日から2月22日まで白井駅構内で放送された。当該放送は白井駅における駅装飾を紹介するものなど全4種類で,9時から22時まで20分ごとに放送されていた。
北総鉄道DAYの実施
プロ野球チーム・北海道日本ハムファイターズがファーム本拠地を置くファイターズ鎌ケ谷スタジアムの周知と沿線活性化を目的としたイースタン・リーグ公式戦スポンサードゲーム「北総鉄道DAY」が,9月21日の北海道日本ハムファイターズ対東京ヤクルトスワローズ戦で実施された。
スポンサードゲーム「北総鉄道DAY」は2022年度に初開催されたイベントで,2025年度で4回目の開催を数える。当日は試合開始前に球場周辺でミニ電車の運行や子ども向け制服撮影会などが行われたほか,球場では持永社長による挨拶や始球式も行われた。
沿線地域と連携した魅力向上の取組み
独立行政法人都市再生機構,株式会社千葉ニュータウンセンターと北総鉄道は,「住んでみたい・住み続けたいまち千葉ニュータウンの実現」を目的とした連携を2024年度に開始したところであるが,連携の一環として都市再生機構および北総鉄道による共同アカウント「千葉ニュータウンファミリーひろば」が11月12日付でSNS・Instagram上に開設された。
当該アカウントについては,11月12日付プレスリリースによれば「千葉ニュータウンエリア外に在住している方に対し」,「千葉ニュータウンにくらしている方のリアルな声や住民視点の情報発信」を行うものとされ,北総線沿線のイベント情報をはじめ,子育てや教育,移住情報などが発信されている。
また,東松戸駅を最寄りとする松戸市立松戸高等学校との連携により,通訳ボランティアとして生徒の受入が実施された。通訳ボランティアの受入は東松戸駅を対象として8月および3月に各4日間行われたものである。なお,12月18日には東松戸駅ラチ外コンコースにおいて同高校吹奏楽部によるクリスマスコンサートが開催された。
このほか,矢切ビールまつり実行委員会主催の恒例イベント「矢切ビールまつり」や,都立八柱霊園の開園90周年を記念した公益財団法人東京都公園協会主催のスタンプラリー「八柱霊園のひみつ」などへの協力も行われた。
熱中症対策標語コンテストの実施
地域社会と連携した熱中症対策の一環として,大塚製薬および印西市,白井市,北総鉄道の主催による「熱中症対策標語コンテスト」が実施された。
本件施策は夏季における熱中症対策の推進活動として実施されたもので,印西市および白井市の小中学生を対象に熱中症対策標語の作品募集が行われた。募集は4月から5月にかけて行われ,2024年度を大きく超える221点の応募作品から選ばれた受賞作品24点を掲載した自治体別のポスターが夏季を通して各駅や客車内に掲出された。なお,コンテストの表彰式は7月に自治体別で実施されている。
季刊誌「ほくそう」の終刊
北総線各駅のほか直通各線でも配布されている季刊誌『ほくそう』が,通巻139号(35巻4号)にあたる2026年春の発行をもって終刊となった。
季刊誌『ほくそう』は,沿線内外に対する知名度向上と旅客誘致を目的として1991年夏に創刊されたPR誌である。深刻な利用低迷にあえいでいた当時の北総開発鉄道とその社員が作り上げた増収対策の一つであり,様々なコーナーを通じて沿線情報の発信が続けられてきた。終刊の理由については,最終号となった通巻139号の中で「電子メディアを活用した速報性の高い情報に誰もが気軽にアクセス出来る時代が到来した現在,このような観点(註:沿線情報の発信)からは本誌の役割が小さくなった」と触れられていて,今後の沿線情報はSNSを含むWeb媒体によって発信する方針が示されている。
運輸部門の動静
輸送関係
No.121ダイヤ改正の実施
直通運転先の各事業者に合わせたダイヤ改正が12月13日付で実施され,土休日夜間における区間列車の増発や,平日朝における区間列車の運転区間延長による都心直通列車の増発などを盛り込んだNo.121ダイヤが同日より施行された。
本件ダイヤ改正では,土休日夜間に新鎌ヶ谷・印西牧の原間運転の区間列車1往復(往路は印旛日本医大発)が新設されたほか,平日朝に矢切駅折返しとして運転されていた区間列車1往復が都心直通列車に変更された。いずれも関係時間帯における運転間隔が均等化され,利便性の向上が図られた。
日中時間帯における北総線列車の運転系統が見直され,乗入れ先の発着駅が羽田空港から西馬込に変更された。北総線内における普通列車の運転時刻は改正前と概ね同様で,新鎌ヶ谷駅でのアクセス特急列車との緩急接続も継続して設定されている。空港輸送に起因した慢性的な遅延への対策など,直通運転を行う社局間での調整の結果と推察される。また,新鎌ヶ谷駅でのスカイライナーの停車時分が延長されたことにより,関係するスカイライナーに対する待避駅が矢切駅に変更された。
このほか,改正後の時刻表は2022年11月のNo.118-2ダイヤ修正以来となる業者印刷に変更され,北総鉄道公式ウェブサイト上で公開されているWeb時刻表にリンクするQRコードが今回から直接印刷されるようになった。
葛飾納涼花火大会開催に伴う臨時列車の運転
第59回葛飾納涼花火大会が7月22日に江戸川河川敷で開催されたことに伴い,大会終了後の混雑が想定される時間帯に臨時列車4本が運転された。
臨時列車は会場至近の新柴又駅を含む京成高砂・新鎌ヶ谷間に上下各2本の普通列車として設定された。当該花火大会の開催に際しては,これまでも社員等を動員した混雑対策が講じられてきたが,臨時列車の設定は2025年度が初めての取組みだった。下り普通列車1本を除いて新柴又駅場面20時台の運転で,いずれの臨時列車も京成高砂駅や新鎌ヶ谷駅での折返し間合いを活用して設定されたため,臨時列車の運転に伴う運用調整は行われていない。

△花火大会当日の臨時列車ダイヤ
旅客関係
旅客営業規則の改正
精神障がい者割引の適用対象拡大に伴う旅客営業規則の改正が4月1日付で実施された。本件改正は,2024年6月1日付で導入された当該割引の適用対象となる乗車券類が拡大されることに伴い,精神障害者用割引回数乗車券に関する条項が追加されたものである。
自動改札機の更新
北総線各駅に設備されている自動改札機の更新が始まり,対象の10駅において10通路の通路拡幅,22通路の自動改札機更新が実施された。
自動改札機の更新は,2026年度末に予定されている普通乗車券のQRコード化および磁気乗車券の廃止に伴うものである。2025年度には,東松戸,新鎌ヶ谷,千葉ニュータウン中央,印西牧の原を除く10駅を対象として,係員窓口に隣接した通路における通路拡幅と,新型自動改札機への更新が実施された。
対象の各駅では,自動改札機の更新に先立ち,改札窓口に隣接した1通路が有人通路側に300mm程度拡幅された。また,有人通路のゲートが撤去され,一部の駅では有人通路を挟んで途切れていた点状ブロックが通路内にも設置された。拡幅工事は8月の松飛台駅を皮切りに,大町,新柴又,矢切,北国分,秋山,印旛日本医大,小室,白井,西白井の各駅の順で実施され,11月中旬までに施工が完了した。
新型自動改札機の導入は11月下旬から3月末にかけて実施された。新型自動改札機にはQR乗車券対応機と非対応機の2種類が設定され,前者の筐体は青色,後者は黒色で区別される。いずれも磁気乗車券には非対応で,QR乗車券対応機にはQR乗車券用のリーダーが準備されている。磁気乗車券の廃止までは引続き磁気乗車券に対応した通路が必要となるため,改札窓口から最遠方の1通路のみ従来型の自動改札機が残置され,それ以外の3~2通路が新型自動改札機に更新された。各駅における自動改札機の配置は,改札窓口に至近の拡幅通路にQR乗車券対応機,最遠方の通路に従来型の自動改札機,その間に非対応機とされている。なお,従来型の自動改札機は2005年度から導入された日本信号GX-7で,更新後の新型自動改札機は2種類とも同社GX-9である。
車椅子用スロープ板のホーム常備化
車椅子を利用する旅客の乗降に際して使用されるスロープ板の設置箇所が見直され,各ホームに設けられた収容箱に常備されるようになった。
新たに設置されたスロープ板収容箱は,スロープ板を運搬する駅社員の負担を軽減するとともに,車椅子を利用する旅客への対応の円滑化が期待できるものである。スロープ板収容箱は各ホームに方面別で設けられているため,駅事務室からホーム,またはホーム間でスロープ板を運搬する必要がなく,ホーム上で必要の都度スロープ板を取り出して使用することができる。
スロープ板収容箱は担架収容箱と同様に施錠可能な構造を有し,各ホームの階段付近などに3月から設置されている。
乗車位置目標の多言語化
ホーム床面に設置されている乗車位置目標の多言語化が行われ,東松戸,新鎌ヶ谷,西白井の3駅に展開された。
現在の乗車位置目標は2011年度から順次導入されたもので,車両位置や整列案内を記した日英2か国語のフロアシートがホーム床面に設置されている。屋外使用による劣化などで損耗した際には貼替が行われていて,これまでもフロアシートの仕様は見直しが重ねられてきた。一方で意匠そのものは変更されず,2017年度末北国分,秋山の2駅で日英中韓の4か国語対応版が使用されたことはあるが,短期間で元の2か国語版に戻されていた。
東松戸,新鎌ヶ谷,西白井の3駅に導入された新たな乗車位置目標の意匠は,前述の4か国語対応版と同一である。いずれも損耗の程度によらずホーム上の全箇所が4か国語対応版に貼替えられた。乗車位置目標の貼替は東松戸,新鎌ヶ谷の2駅が1月,西白井駅が3月に実施された。
誘導サイン類の整備
ホームおよびコンコースに掲示されている誘導サインについて,乗換案内や注意喚起を目的としたサインが秋山,東松戸,新鎌ヶ谷の3駅に追加された。
新たに追加された誘導サインは,他社線への乗換や施設への移動経路を誘導案内するもののほか,階段付近での立ち止まりや連絡改札口としての注意を喚起するもの,エレベーターにおける優先利用を促すものがあり,いずれも壁面または床面にシートを用いて掲示された。施工はいずれも3月に実施されている。
なお,東松戸駅上りホームのエレベーターについては,エレベーターを必要とする利用者と一般利用者の待機列を区別する「まごころ優先レーン」の取組みが2023年度より実施されてきたが,新たに整備されたサインにおいても継承されている。また,サインの追加とは別に当該エレベーターの乗降口付近に柵が新設された。
案内表示器の新設
営業情報や周辺情報などの案内を目的とした表示装置として,LEDシートを用いた案内表示器が各駅に新設された。
新設された案内表示器は汎用的なLEDシートを用いたもので,各駅に2~1台が新設された。松戸線連絡通路に設置されている新鎌ヶ谷駅,縦置きで柱に設置されている千葉ニュータウン中央駅を除き,各駅の改札窓口付近に横置きで設置されている。表示内容や表示方は駅ごとに異なり,他社線への乗換経路や駅周辺施設の案内のほか,1日乗車券やグッズに関する営業案内などの表示を見ることができる。
東松戸駅ラチ内待合スペースの改良
東松戸駅ラチ内コンコースに設備されている待合スペースについて,テーブルに広告枠を備えた前垂れを設置する改良が実施された。
現在の待合スペースは2012年度に設備されたもので,テーブルや椅子に加え,飲料等の自動販売機を備えている。当該のテーブルについては着席時に足元を隠す前垂れがなく,後年にプラダンを用いた簡易的な前垂れが追加されていた。工事は3月中旬に実施され,鉄部の再塗装にあわせて既設の前垂れに代わる新たな前垂れが設けられた。新たな前垂れにはB0判またはB1判ポスターが掲出可能な広告枠も設置された。
営業関係
印旛日本医大駅開業25周年記念イベントの開催
印旛日本医大駅の開業25周年を記念した「印旛日本医大駅開業25周年記念イベント」が,7月19日に印旛日本医大駅で開催された。
本件イベントは2000年7月22日に開業した印旛日本医大駅の開業25周年を記念するもので,駅社員を中心として企画されたものである。ラチ外コンコースを中心に,開業前の習熟運転や開業時の写真展示のほか,子ども向けの制服撮影会,展望台の一般公開などが実施された。同駅の展望台は通常非公開の施設で,参加資格等の制約なく一般に広く公開されるのは開業以来初めての事例であった。
なお,イベント当日は第922Nの印旛日本医大駅発車場面において,子ども5名と駅長,いんザイ君,京成パンダによる出発式が小規模に実施された。なお,当日の第922Nには,印旛日本医大駅の開業に伴って導入された経歴をもつ9128編成が充当された。
ウォーキング・スタンプラリーの開催
ウォーキングイベント「北総ウォーク」については,日時を指定しないフリー参加方式で第53回,第54回,第55回の3回が開催された。
2025年春季の第53回は,北国分駅または秋山駅から市川市万葉植物園を経由して大町駅に至るコースで,4月15日から6月8日まで開催された。コースには,北国分駅をスタート地点とする約11kmのロングコース,秋山駅をスタート地点とする約7kmのショートコースの2コースが設定された。秋季の第54回は,印旛日本医大駅から印西市印旛公民館を経由して印旛日本医大駅に戻る約11.4kmのコースで,10月17日から11月30日まで開催された。「北総線都心直通35周年記念」を冠した2026年春季の第55回は,大町駅から北総線に沿って矢切駅に至る約9.1kmのコースで,3月19日から5月10日まで開催中である。
なお,運輸部営業課名義のメールによる次回開催案内の発送は第54回をもって終了し,第54回以降は記念品引換券からメールアドレスの記入欄が削除された。あわせて第54回からリーフレットの意匠が変更されている。
他社と共催するウォーキングイベントについては,東武鉄道とのコラボウォークが設定された。東武鉄道とのコラボウォーク「北総・東武合同健康ハイキング」は,東武アーバンパークライン高柳駅から海上自衛隊下総航空基地を経由して西白井駅に至る約8.5kmのコースで2月23日に開催された。
スタンプラリーイベントは,沿線の飲食店を巡る「北総グルメラリー」に加えて,北総線各駅を巡る「北総線デジタルスタンプラリー」が開催された。
10月18日から11月30日まで開催された「北総グルメラリー」は,沿線の飲食店を巡るスタンプラリーで,2021年度に初開催されたイベントの第4弾だった。対象店舗は第3弾と同様に個人店主体で,3店舗以上のスタンプを集めた際の記念品は,7500形・7300形・9100形車両をあしらったステンレスマグだった。
12月1日から開催されている「北総線デジタルスタンプラリー」は,Fantrec株式会社の運営するSNS型チェックインラリープラットフォームサービス「みんラリ」上で展開されるGPSチェックイン型のスタンプラリーである。スマートフォンの位置情報を活用し,新柴又・印旛日本医大間の14駅それぞれでチェックインすることによって各駅のスタンプを収集するもので,14駅のスタンプを集めた際には記念カードが入手できる。なお,スタンプの図柄は,11月12日付プレスリリースによれば,2025年度入社の新入社員らが中心となってデザインした「各駅周辺の魅力的な観光スポット・北総鉄道の特徴的な駅や人気車両などをイメージしたもの」とされている。
有料イベントの開催
有料イベントは年度を通して多数実施され,ウェブサイト「ディスカバリー北総」を通じて開催周知および参加者の募集が行われた。
実施されたイベントは,4月5日開催「9100形デビュー30周年記念撮影会」,5月10日開催「電車運転体験イベント」,5月24日開催「ナイトウォーク」,7月26日および1月17日開催「ほくそうビール列車」,8月2日開催「矢切駅未仕上げ室見学及び北国分駅間トンネル見学ツアー」,9月13日開催「レアな車内自動放送も聞ける!夜間撮影会イベント」,10月19日開催「親子運転体験イベント」があり,2024年度までに開催実績のあるイベントのリピート開催が続いた。
4月5日に開催された「9100形デビュー30周年記念撮影会」は,車両基地に揃えられた9100形車両3編成を撮影できるイベントだった。車両の小移動を挟みながら3回の撮影時間内で撮影することができ,撮影の合間には新造時に制作された車両パンフレットなどを景品とした抽選会も行われた。
5月10日に開催された「電車運転体験イベント」は,実車両を用いて車両基地11~21番線に設けられた体験コースを交代制で3回運転できるイベントで,2022年度に初開催されたイベントの第4回開催だった。イベントで運転できる車両には7300形車両が初めて選定された。運転体験イベントは2024年度に引続き親子向け,印西市のふるさと納税返礼品対象者向けにも開催され,前者は10月19日に9100形車両,後者は3月8日に9200形車両を使用して実施された。
5月24日深夜に開催された「ナイトウォーク」は,印西牧の原駅から車両基地に至る入出庫線を終車後に歩くウォークイベントで,2024年度に初開催されたイベントの第2回開催だった。入出庫線のウォークイベントに加えて,印旛日本医大駅では展望台の見学や引上線の乗車体験,印西牧の原駅では滞泊車両の留置処置見学,車両基地では留置車両の撮影もできた。
8月2日深夜に開催された「矢切駅未仕上げ見学及び北国分駅間トンネル見学ツアー」は,矢切駅の非公開施設や矢切・北国分間の栗山トンネルを終車後に見学するイベントで,2024年度に初開催されたイベントの第2回開催だった。駅事務室やコンコースの奥に広がる未仕上げ室,換気設備,非常時の避難通路を見学した後に,矢切駅から北国分駅まで線路上を歩いて栗山トンネルやその排水設備を見学することができた。
7月26日および1月17日に開催された「ほくそうビール列車」は,7500形車両を使用した臨時列車の車内で生ビール等が飲み放題となるツアーイベントで,2023年度に初開催されたイベントの第5回,第6回開催だった。7月の第5回開催から臨時列車の乗車行程が矢切・印西牧の原間に短縮され,乗車時間が約25分短くなったほか,参加費用が各回で見直されて7月の第5回開催が8,200円/人,1月の第6回開催が8,800円/人とされた。
9月13日に開催された「レアな車内自動放送も聞ける!夜間撮影会イベント」は,薄暮時から夜間にかけて車両基地で車両撮影や車内自動放送の試聴体験ができるイベントで,2023年度に初開催されたイベントの第3回開催(現行の開催形態としては2024年度に続く第2回開催)だった。撮影会は24番線に7838編成,25番線に7318編成,26番線に9808編成を配置して行われ,車内自動放送の試聴体験は21番線に留置された9108編成の車外スピーカを介して行われた。
企画乗車券の発売
多客期を中心に設定されている1日乗車券は,年4回の期間を設けて発売された。各発売期間は,春季において3月22日から5月25日,夏季において7月19日から8月24日,秋季において10月4日から11月24日,冬季において12月20日から1月18日で,各駅窓口及びスマートフォンアプリ・RYDE PASSを通じて発売された。2024年度に引続き,京成線の東京都内区間の1日乗車券とセットになった「北総・下町めぐりきっぷ」も同期間で発売された。
また,千葉県と県内の交通事業者との連携による企画乗車券「サンキュー♥ちばフリーパス」および「サンキュー♥ちばフリー乗車券」が2025年度も発売され,北総線においては千葉県内区間(矢切・印旛日本医大間)がフリーエリアに設定された。発売期間は9月1日から10月30日と1月4日から2月27日(利用期間は各発売終了日の翌日まで)で,JR東日本の指定する主要駅の指定席券売機を通じて発売された。
記念乗車券の発売
記念乗車券は,ほくそう春まつり号の運転に伴う「ほくそう春まつり号運転記念乗車券」,令和7年7月7日を記念した「7・7・7記念硬券セット」,印旛日本医大駅の開業25周年を記念した「印旛日本医大駅開業25周年記念乗車券」,前述の『ウマ娘』コラボ第2弾を記念した「ウマ娘×北総鉄道コラボ記念乗車券」,Ⅱ期線の開業35周年を記念した「北総線都心直通35周年記念乗車券」が発売された。これらの記念乗車券は2025年度より発売体制の見直しが図られ,発売箇所が主管駅など一部の駅に限定されるようになった。
ほくそう春まつり号の運転に伴う「ほくそう春まつり号運転記念乗車券」は,ほくそう春まつり号運転日の4月20日よりほくそう春まつり会場および東松戸駅,新鎌ヶ谷駅にて500部限定・1部1,000円で発売された。令和7年7月7日を記念した「7・7・7記念硬券セット」は,様式の異なるB型硬券4種類による記念乗車券である。乗車券はいずれも駅番号HS07の大町駅を発駅とした内容とされ,台紙には7000代の車号を有する7300形,7500形,7800形の3車種をあしらうなど,7並びにちなんだ内容とされた。発売箇所は東松戸駅,大町駅,新鎌ヶ谷駅,千葉ニュータウン中央駅で,500部限定・1部1,000円で7月7日から発売され,当日中に完売となった。
周年記念による「印旛日本医大駅開業25周年記念乗車券」および「北総線都心直通35周年記念乗車券」については,前者は印旛日本医大駅の開業日である7月22日より東松戸駅,新鎌ヶ谷駅,千葉ニュータウン中央駅,印旛日本医大駅で500部限定・1部1,000円で,後者はⅡ期線の開業日である3月31日より新柴又駅,東松戸駅,新鎌ヶ谷駅,千葉ニュータウン中央駅で500部限定・1部1,000円でそれぞれ発売された。なお,前者は7月19日に開催された「印旛日本医大駅開業25周年記念イベント」で200部が先行発売された。
コラボレーション記念による「ウマ娘×北総鉄道 記念乗車券」については,コラボ第2弾における北総鉄道および白井市のキービジュアルを使用した2種類が作られ,記念乗車券2種類とクリアファイル,スタンプラリー台紙がセットとなった「クリアファイル&記念乗車券付きスタンプラリー台紙セット」として発売された。発売箇所は西白井駅,白井駅のみで,1,500部限定,3,000円での発売だった。
グッズの発売
子育て世代や鉄道ファンを主なターゲットとした様々なグッズが多数企画され,イベント会場や委託販売先の店舗などで発売された。
一般販売グッズとしては,10月5日より「北総鉄道9100形子供用キャップ」,「北総鉄道7500形子供用キャップ」各3,000円,「北総鉄道サンリオキャラクターズハンドタオル」700円,「北総車両クリアファイル」500円が発売された。ハンドタオルは株式会社サンリオの展開する「ハローキティ」などのキャラクターと7500形車両があしらわれた意匠である。いずれも10月4日開催の鉄道の日イベント「YOKOHAMAトレインフェスティバル」で先行発売された後,委託販売先の店舗などで発売された。
イベント限定グッズとしては,4月20日開催の「ほくそう春まつり」にあわせて,「北総鉄道スポーツタオル」500枚限定・1,500円,「北総鉄道×イデカフェ コラボレーションドリップコーヒー」4種各200個限定・各1,000円が発売された。後者は新鎌ヶ谷駅や東松戸駅構内にも出店している鎌ケ谷市のコーヒーショップ・イデカフェとのコラボレーションによるドリップバッグコーヒーである。風味は4種類あり,それぞれ7000形,9100形,7500形,7300形の各車種がパッケージにあしらわれている。なお,7000形版は2022年度開催のカフェイベントで発売されたものと同一である。
新鎌ヶ谷駅ラチ外コンコースやイベント会場にて発売されているカプセルトイ(ガチャガチャ)については,北総所属車両の正面イラストをあしらった「電車ハンカチ」第4弾5種が各500円で4月20日より発売された。
記念グッズとしては,9100形車両の就役30周年を記念した「北総鉄道9100形車両デビュー30周年記念ネームタグ」3種が4月20日より各1,200円で発売されたほか,印旛日本医大駅開業25周年を記念した「印旛日本医大駅開業25周年記念キーホルダー」が300個限定・500円で7月19日より発売された。前者は木製のネームタグに9100形車両の写真をあしらったもので,ベルトカラーはホワイト,ブラック,ブラウンの3色が展開された。
コラボグッズとしては,「ほくそう春まつり」における「鉄道むすめ」コラボレーション企画に関連して,「ほくそう春まつり「鉄道むすめ」コラボレーションクリアファイル」が500部限定・500円で4月20日から発売された。クリアファイルは同企画に参加した鉄軌道事業者10社それぞれで発売され,表面には自社,裏面には10社全員の「鉄道むすめ」があしらわれた。また,「鉄道むすめ」に関連したグッズとしては,株式会社トミーテックにより11月27日から1月31日まで開催された同コンテンツの20周年企画「はたちだよ!鉄道むすめ巡り」の開催に伴い,ファンブック「はたちだよ!鉄道むすめ巡り ファンブックmini」が11月27日より印西牧の原駅において500部限定・1,700円で発売された。
さらに,『ウマ娘』コラボ第2弾の開催に伴うグッズとして,「トートバッグ」2,500円,「スポーツタオル」2,500円,「ジオラマアクリルスタンド」3,500円が発売された。いずれも1,000個限定で,1月23日より西白井駅および白井駅で発売された。
鉄道むすめ「白井まきの」の活用
株式会社トミーテックの展開するキャラクターコンテンツ『鉄道むすめ』における北総鉄道のキャラクター「白井まきの」については,白井駅に設置されている周辺案内図「ステーションナビタ」への装飾に活用された。
「ステーションナビタ」は表示灯株式会社の運営する広告付周辺案内図で,白井駅には2024年度に設置された。装飾は9月16日付で実施され,「白井まきの」をあしらったヘッドマークを掲げた7500形車両の意匠が施された「電車ナビタ」仕様となった。「電車ナビタ」の装飾は北総線では初の実施事例である。
横断幕・駅装飾の展開
各駅では季節や話題にちなんだ様々な駅装飾を見ることができた。
印旛日本医大駅で2024年度から実施されている段ボール電車の装飾は,開業記念イベントを前に車両がさらに増えた一方で,年明け以降は新たな取組みが開始されたことから,年度末に一部の車両が千葉ニュータウン中央駅に移設された。また,千葉ニュータウン中央駅には,とび太(飛び出し坊や)風の駅長や9200形車両の顔出し看板のほか,印旛日本医大駅の開業記念イベントで使用された電車サイコロなどが設置され,子ども向けの装飾が充実した。
なお,印旛日本医大駅ラチ内コンコースに2025年1月から設置されている「偉大(医大)神社」において,賽銭代わりに奉納されている折り鶴が1,000羽を数えたことから,10月5日に松虫寺での祈願が行われた。
横断幕については,松飛台駅を最寄りとする大相撲・佐渡ヶ嶽部屋所属の力士・琴勝峰関が7月の名古屋場所で初優勝を果たしたことから,松飛台駅1番線ホームに横断幕が掲出された。
ヘッドマーク電車の運行
イベントやコラボレーション企画,周年記念などによるヘッドマーク電車が多数運行された。
イベント開催に伴うヘッドマークは,「ほくそう春まつり2025」開催に際して4月20日に運行された臨時列車「ほくそう春まつり号」のヘッドマークが9808編成に,「第24回京成グループ花火ナイター」開催による「花火ナイター号」ヘッドマークが6月13日から7月12日まで7501編成にそれぞれ掲出された。また,ビール列車イベントによるものとして,7月26日開催時は「夏本番ほくそうビール列車」ヘッドマークが7502編成に,1月17日開催時は「新春ほくそうビール列車」ヘッドマークが7503編成にそれぞれ掲出された。
このほか,「ほくそう春まつり2025」のPRを目的とした鉄軌道事業者10社との「鉄道むすめ」コラボ企画によるヘッドマークが,2024年度から継続して4月20日まで7828編成に掲出された。
周年記念に伴うヘッドマークは,9100形車両の就役30周年を記念したヘッドマークが4月1日から5月末まで9108編成に掲出されたほか,印旛日本医大駅の開業25周年を記念したヘッドマークが7月18日から8月22日まで9128編成に掲出された。いずれも前照灯の下部に長方形のステッカー式ヘッドマークとして掲出されたが,前者は都合により2025年3月13日付プレスリリースで公表されたヘッドマークとは寸法や意匠が異なるものが掲出された。
コラボレーション企画によるヘッドマークは,『ウマ娘』コラボ第2弾の一環として広告貸切列車となった7501編成にコラボヘッドマークが1月23日から掲出された。このほか,「北総線沿線活性化トレイン2025」の運行に際しては,9201編成に7月15日から1月末までヘッドマークが掲出されていた。
外部サービスの展開
北総線各駅に導入されている外部サービスについては,話題の創出や利便性向上につながる自動販売機や,交通系ICカードでのキャッシュレス決済が可能なコインロッカーが導入されたほか,千葉ニュータウンエリア内の各駅に設置されていたケーブルテレビの撤去が実施された。
自動販売機については,2024年度に初導入された不二家の冷凍洋菓子を販売する冷凍自動販売機1台が,新鎌ヶ谷駅ラチ外コンコースの待合スペース「ステーションラウンジこもれび」付近に新設されたほか,各駅で飲料自動販売機の設置数見直しが実施された。
コインロッカーについては,交通系ICカードによるキャッシュレス決済が可能な新型コインロッカーが,新鎌ヶ谷駅および千葉ニュータウン中央駅ラチ外コンコースに各1台設置された。新型コインロッカーは従来と異なる課金方式で,規定時間における最大料金まで時間制で課金される運用方である。このほか,東松戸駅ではコインロッカーの設置箇所がラチ内コンコースからラチ外コンコースきっぷうりば前に変更され,大型サイズの利用が可能になった。
小室駅を除く千葉ニュータウンエリアの各駅に設置されていたケーブルテレビについては,2月までに5駅すべてで撤去された。一部の駅では千葉ニュータウンエリアのケーブルテレビサービス「らーばんねっと」(現・ジェイコム)の黎明期から設置されていて,北総線各駅で提供される外部サービスとしては長い歴史を有していた。
交通広告の展開
駅や客車内における交通広告については,新鎌ヶ谷駅および千葉ニュータウン中央駅ホームの待合室や,東松戸駅ラチ内コンコースの待合スペースにポスター広告枠が新設された。
待合室に新設された広告枠は一般広告用で,B1判ポスターまでの掲出が可能である。いずれも壁面の窓部に設置され,新鎌ヶ谷駅については両面,千葉ニュータウン中央駅は屋内に向けた片面の広告枠として使用されている。
未利用空間の利活用
鉄道施設の未利用空間を活用したテナント誘致については,千葉ニュータウン中央駅ラチ外コンコースにおいて営業中のコンビニエンスストアが増床され,イートインコーナーを備えた店舗として改装された。
千葉ニュータウン中央駅ラチ外コンコースで営業中のコンビニエンスストア「ファミリーマート千葉ニュータウン中央駅店」は,各駅でコンビニエンスストアを運営する株式会社コミュニティー京成がフランチャイジーとして2005年度から営業している店舗である。
増床工事は2024年度から実施され,既設店舗の終点方への店舗増床によって売場面積が約2倍に拡張されたほか,セルフレジの増設や,イートインコーナーの新設,出入口の自動ドア化などが行われた。
リニューアルオープンは6月10日付で,増床店舗との接続を含む改装工事のため5月12日9時から6月10日7時まで店舗の一時閉店が行われた。
技術部門の動静
施設関係
西白井保守基地旧検査庫の修繕
西白井保守基地において前身の西白井車両基地時代から使用されている旧検査庫建屋については,2024年度までに引続き外壁等の修繕工事が実施された。
修繕工事が進められている旧検査庫は,車両に対し日常的な検査等を実施するために設備され,現在は保守用車の収容に使用されている延長約80mの建屋である。工事は2023年度から開始され,1978年度の西白井車両基地開設に伴い設備された終点方の建屋約40mが2024年度までに修繕を終えている。当年度からは北総所属車両の8両編成化に伴い1990年度に増築された起点方の建屋を施工対象として,2024年度の施工範囲に隣接する終点方の約20mが施工された。
施工内容は2024年度までと同様に外壁や天井における波形スレート板の全面的な取替,換気塔の撤去,鉄部の再塗装などである。施工時期は2024年度より前倒しされ,第1四半期を中心に施工された。2025年度の施工をもって,旧検査庫建屋の未修繕範囲は起点方の約20mを残すのみとなった。
諸施設建屋の修繕
乗務員区所である運転区の事務所として使用されている運転区建屋について,外壁等の修繕工事が実施された。
現在の建屋は印西牧の原駅上りホーム終点方に隣接して立地するもので,完成を機に新鎌ヶ谷駅高架下の総合詰所から移転した運転区が使用している。これまで大規模な修繕工事は実施されておらず,経年による外壁の褪色などが散見されるようになっていたが,第2~第3四半期にかけて修繕された。また,工事に際して印西牧の原駅上りホームと運転区を結ぶ業務用通路に設置されている防風板の設置方が見直され,運転区側(終点方)の防風板が以前よりも高い位置に設置されるようになった。
このほか,2025年度には西白井保守基地内で東急テクノシステム西白井事務所として使用されている旧車両区事務所や,紙敷変電所の各建屋についても第4四半期に修繕工事が実施された。
旧本社社屋の解体
現在の本社社屋が完成するまで使用されていた旧本社社屋が2025年度をもって解体された。
新鎌ヶ谷駅高架下にあった旧本社社屋は,北総線の建設を担った日本鉄道建設公団の現場工事事務所として設置されたものである。資金難に苦しんでいた1990年代当時の北総開発鉄道における経営改善策のひとつとして,民間ビルを賃借していた押上本社を撤収し,押上本社にあった企画室などの一般管理部門の移転先として再活用された経緯を有する。
当該社屋を含めて高架下に点在していた旧本社社屋群は,2005年度に完成した現在の本社社屋への移転をもって本社としての使用を終え,その後は新鎌ケ谷特定土地区画整理事業の進展やテナント開発によって一部の社屋が解体されたが,当該社屋は今日まで解体されずにその姿を留めていた。
いかにも工事事務所然としたプレハブ社屋での執務に関する苦労話は社史等で語られているところであるが,北総開発鉄道の歴史を伝える施設がまたひとつ静かにその役目を終えた。
エレベーターの更新
バリアフリー設備として各駅に整備されているエレベーターについては,千葉ニュータウン中央駅を皮切りに2022年度より更新工事が実施されているところであるが,2025年度においては白井駅のラチ内コンコースとホームを結ぶ1基が更新された。当時の白井町と交通アメニティ推進機構からの補助金により1995年度に整備着手,翌1996年度に供用開始されたもので,北総線内では先に更新された千葉ニュータウン中央駅に次いで古いエレベーターであった。
当該のエレベーターは東芝エレベータ社製であるが,日本オーチス社が更新を担った千葉ニュータウン中央駅と同様に,既設エレベータの乗場ドアや三方枠等の乗場まわりを再利用することで工期短縮と費用縮減が図られた。工事期間は1月14日から2月19日までの約1ヶ月で,この間における車いす利用者等の対応には階段昇降機が用いられた。
エスカレーター運転方の見直し
各駅に整備されているエスカレーターについては,2022年度より一部の駅で早朝・深夜時間帯の運転を休止するなどの措置がとられてきたところであるが,第3四半期より一部を除いて再び終日運転に戻された。
エスカレーターの運転休止扱いは2022年4月に開始され,当初は新柴又,矢切,北国分,東松戸,西白井,白井,小室,千葉ニュータウン中央,印西牧の原,印旛日本医大の10駅を対象に,原則として早朝6時以前および深夜22時以降の運転を休止するものであった。後年の自動運転化で終日運転に戻された箇所もあったが,2025年度の見直しでは自動運転の未導入箇所についても終日運転に戻された。なお,2022年度より終日運転休止とされている新柴又のラチ外コンコース・駅出入口間,東松戸の2Fコンコース・駅前広場側出入口間を結ぶエスカレーターの2基は見直しの対象外とされ,運転休止扱いが継続している。
待合室出入口扉の自動ドア化
一部の駅に設置されているホーム上の待合室については,2020年度より出入口扉の自動ドア化が進められているところであるが,2025年度は東松戸および新鎌ヶ谷駅の上りホーム待合室が自動ドア化され,北総線内の全待合室における出入口扉の自動ドア化が完了した。
2025年度に自動ドア化された2待合室については,いずれも既設の引き戸を再用して自動ドア化された。開閉は他駅と同様に赤外線ビームによる疑似タッチレススイッチによるものである。施工はいずれも3月中に日中作業として実施された。
なお,当該の待合室を含むアクセス線開業に伴う改良工事で整備された施設については,本件施策を含む各施策が長らく未実施であったが,2025年度から本件施策や後述する照明設備のLED化などが実施されるようになったことから,今後は未実施であった各施策が当該施設でも進められるものと考えられる。
ロングレール更換
リフレッシュ工事の一環としてロングレール更換が進められた。主な施工箇所は,西白井・白井間白井高架橋の終点方から白井駅付近までである。なお,2025年度の作業範囲においてロングレール更換作業の公開イベントは実施されていない。
電気関係
照明設備の更新(LED化)
かねてより実施されている鉄道施設における照明設備の更新については,東松戸駅のLED化が実施された。2025年度の施工箇所はアクセス線開業に伴い整備された東松戸駅上りホームおよびコンコースの一部で,旅客上屋やコンコース天井に設置されているベースライトおよびダウンライトが更新された。
ベースライトについては,北総鉄道区間における標準的な旅客上屋では110形直管蛍光灯1灯相当のLED照明が使用されてきたが,東松戸駅上りホームの更新に際しては40形直管蛍光灯2灯相当のLED照明に変更された。既設の蛍光灯や既にLED化されていた下りホームの照明設備に比べて管長が短く,ホーム上での印象が異なっている。
前述の通り,アクセス線開業に伴い整備された東松戸,新鎌ヶ谷,小室の各駅上りホームについては本件施策が長らく未実施であったが,今回の東松戸駅を皮切りに本件施策の展開が進むものと考えられる。なお,蛍光灯は製造終了を前にすでに生産の縮小が見られるところであるが,新鎌ヶ谷,小室の両駅で2025年度に取替を実施した110形直管蛍光灯はパナソニック製白色から東芝製昼光色に変更されていて,同等品の入手困難が想定される。
自動列車停止装置の更新(C-ATS化)
2018年度より実施されている中間閉そく区間における自動列車停止装置の更新については,かねてより施工されてきた小室・印西牧の原間が2025年度よりC-ATS化され,京成高砂・印旛日本医大間の全線でC-ATS化が完了した。
小室・印西牧の原間については,2月14日付でC-ATSへの切替が完了した。当該区間は連動駅間単位で実施されてきた本件工事における6回目の切替区間で,今回の切替をもって京成高砂・印旛日本医大間全線がC-ATS化された。本件区間の切替に際しては,第3回切替の東松戸・新鎌ヶ谷間以降と同様に切替前の試験が簡略化され,実列車による事前の走行試験を省略,切替当日の早朝に確認列車が設定された。確認列車は前日深夜に印西牧の原駅3番線に据え付けられ,上り初列車の前に切替区間を含む新鎌ヶ谷・印西牧の原間を1往復走行した。
なお,本件施策は営業線上の全線C-ATS化に過ぎず,印西牧の原・車両基地間の車両基地入出庫線においては一部区間に一号型ATSが残存している。
ITV装置の更新(フルハイビジョン化)
曲線等によって乗降の確認が困難なホームに整備されているITV装置については,2021年度よりフルハイビジョン化が進められ,あわせてモニタの縦型化が図られてきたところであるが,2025年度においては1駅2ホームが更新された。
2025年度に更新されたのは,矢切駅1番線上り用,同1番線下り用,同2番線上り用,同2番線下り用の2ホーム4方向である。矢切駅2番線下り用は今回新たに設備されたもので,臨時列車や異常時等において2番線から折返しの下り列車を出発させる際,従来は側面監視が困難なため駅員による立ち番を要していたが,ITV装置の整備によって1番線と同様に車掌のみでの通常の取扱いが可能となるものと考えられる。なお,矢切駅2番線下り用については,新設直後は1~4号車を確認範囲とした2画面用が設備されていたが,後に5・6号車を確認範囲に加えた3画面用に変更された。
2025年度の更新により,従来画面のITV装置を使用している箇所は矢切駅3番線および新鎌ヶ谷駅3番線上り用の2駅2ホームを残すのみとなった。
発車標の更新
旅客案内設備として各駅に設置されている発車標については,全線で標準的に使用されている日本信号製発車標の更新が2024年度より実施されているところであるが,2025年度においては白井駅の発車標が更新された。
白井駅における既設の発車標は2010年度に設備されたもので,日本信号製のLED式発車標をホームおよびコンコースの各1か所に備えていた。日本信号製発車標の導入時期は,2007年度のHTC更新に際して設備された東松戸,新鎌ヶ谷,小室,印旛日本医大の4駅に次いで古かった。
新たな発車標は2023年度の印西牧の原駅での更新から導入されている新陽社製で,設置箇所はホームおよびコンコースの各1か所である。2024年度に更新された小室駅では上りホームの発車標が簡易的な接近表示器に変更されたほか,各ホーム終点方の階段付近に発車標または接近表示器が増設されたが,2025年度更新の白井駅では接近表示器化や設置箇所の増減はなかった。一方で発車標の表示仕様が変更されていて,コンコース用のLCD式発車標では通過列車が非表示となった。また,ホーム用のLED式発車標では,小室や印西牧の原の各駅と異なり発着番線を表示する必要がないため,当該の表示欄や列車接近表示の番線表示が省略された仕様とされた。
車両関係
定期検査の施行
2025年度においては3編成の定期検査が施行された。各編成の検査種別及び施行日は,7502編成の重要部検査が9月12日付,7308編成の重要部検査が11月 18日付,9108編成の全般検査が12月18日付である。
9月に重要部検査を終えた7502編成については側窓に掲出されている優先席ステッカーが変更され,9100形側窓更新車や7501編成で実績のある各種表示を一体化した大型ステッカーとなった。なお,側窓の優先席ステッカーが変更されたのは7502編成のみで,7308編成については変更されていない。
9100形車両側窓固定化・座席詰物の更新
9100形車両において2023年度より実施されている側窓の一部固定化や座席詰物の更新工事については,未実施であった残1編成に対する工事が完了し,対象の3編成全てで施工が完了した。
2025年度に施工されたのは9128編成で,9月から10月にかけて印旛で施工された。施工内容は他2編成と同様に側窓の一部固定化およびUVカットガラスへの変更,座席詰物の更新,妻引戸の一部撤去で,側窓の変更にあわせて優先席ステッカーの変更も実施されている。
冷房装置の更新
7800形および9800形車両で京成件名として実施されている冷房装置の更新については,7800形車両1編成,9800形車両1編成の更新が実施された。
冷房装置が更新されたのは7828編成,9808編成の2編成で,いずれも更新は2月に宗吾で実施された。更新後の冷房装置は三菱CU716C-G3で,貸借車両としては2021年度に更新された7838編成に続くものである。9808編成は東芝RPU-6031からの更新で,今回の更新をもって貸借車両の冷房装置は三菱CU716C系に統一されたほか,東芝RPU-6031を搭載する北総所属車両は7318編成を残すのみとなった。三菱CU716C-G3への更新が未了の貸借車両は7808編成のみである。
運行番号表示器の更新
7800形および9800形車両で京成件名として実施されている車両正面の運行番号表示器の更新については,7800形1編成の更新が実施された。
運行番号表示器が更新されたのは7838編成で,更新は2月に宗吾で実施された。更新後の運行番号表示器は,9800形および7300形車両の更新で採用実績のある白色LED式で,表示文字の字形および表示可能な文字は既設の表示器と同等である。7838編成の更新をもって,白色LED式への更新が未了の貸借車両は7808編成,7828編成の残2編成となった。
客室内防犯カメラの新設
京成3700形車両で実施されている防犯カメラ設置工事が7800形,9800形車両にも展開され,各編成の客室内にLED照明一体型の防犯カメラが新設された。両形式への防犯カメラの新設をもって,北総所属車両は13編成すべての客室内に防犯カメラが設備された。
貸借車両に新設された防犯カメラはアンデス電気製のLED照明一体型で,各車両6台が設備された。LED照明と一体化された防犯カメラであることから,いずれの編成も設置箇所の既設灯具およびLEDランプを撤去の上で,適合する灯具および当該の防犯カメラが新設された。他の北総所属車両とは防犯カメラのメーカー,機種のほか,1両あたりの設置台数,防犯カメラの設置を示すステッカーの掲出位置などが異なる。工事は各編成とも10月に宗吾で実施された。
側面社名銘板の修繕
劣化の進行していた9100形1次車の側面社名銘板について,ステッカーの貼替が実施された。旧都市公団銘板の上に北総鉄道のステッカー銘板を貼っている9100形1次車の側面社名銘板は,経年による褪色に加え,2018年度に発生した塩害による車体研磨などによってステッカーの印刷面が著しく劣化していた。
貼替後のステッカーは社名文字の割付や長体の指定が異なるほか,エッチング銘板を模した縁の表現が省略されるなど,貼替前と比べて意匠の変化が認められる。貼替は年度初に実施され,既設銘板の上から同寸のステッカーを貼って施工された。
空調制御ソフトの変更
7500形および9200形車両で除湿運転に代わる空調運転モードとして冷房強運転が導入された。冷房強運転は2018年度より京成3000形車両で導入されていたが,7500形および9200形車両では未導入であった。
両形式における空調制御ソフトの変更は,7500形車両では7月末から順次,9200形車両では2月に実施された。変更内容は先の京成3000形車両での実施内容と同様で,除湿運転を廃止し,冷房強運転を設定可能とするものである。冷房強運転時の客室温度は同一条件下での冷房運転時より2℃程度低くなることから,基準温度が2℃引き下げられた冷房運転と推察でき,夏季の酷暑化をふまえた改良と考えられる。









































































































