沿線点描

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2025年12月北総線ダイヤ改正

かねてより告知されていた今年度の北総線ダイヤ改正が12月13日付で実施され,土休日夜間における区間列車の増発や,平日朝における区間列車の運転区間延長による都心直通列車の増発などを盛り込んだNo.121ダイヤが同日より施行された。今回のダイヤ改正における北総線沿線の様子を以下に紹介する。

※車両走行キロや車両運用表等のダイヤ関係資料については,資料室輸送系インデックスから当該ページを参照されたい。

日中時間帯における北総線列車の西馬込発着化

日中時間帯における北総線列車の運転系統が見直され,乗入れ先の発着駅が羽田空港から西馬込に変更された。空港輸送に起因した慢性的な遅延への対策など,直通運転を行う社局間での調整の結果と推察される。

北総線内における普通列車の運転時刻は改正前と概ね同様で,新鎌ヶ谷でのアクセス特急列車との緩急接続も継続して設定されている。アクセス特急列車は改正後も引続き羽田空港発着として運転され,北総線沿線と京浜急行線品川,羽田空港方面との移動需要はもっぱらアクセス特急列車が担う格好となった。日中時間帯の北総線内では,普通列車が西馬込発着,アクセス特急列車が羽田空港発着,スカイライナーが京成上野発着といった具合に,列車種別によって東京都心側の発着駅が棲み分けられた。

運転系統の見直しに伴い,北総線直通列車の折返し間合いを使った都営浅草線内の区間列車も多数設定されるようになった。西馬込での折返しに際して,西馬込・泉岳寺間または西馬込・押上間の区間列車として運用するもので,都営浅草線内における北総所属車両の運用機会が増加している。

日中時間帯は西馬込行に変更された上り北総線列車(2025.12.13:新鎌ヶ谷)

△日中時間帯は西馬込行に変更された上り北総線列車(2025.12.13:新鎌ヶ谷)

北総線内から羽田空港への移動需要はもっぱらアクセス特急列車の役割に(2025.12.13:新鎌ヶ谷)

△北総線内から羽田空港への移動需要はもっぱらアクセス特急列車の役割に(2025.12.13:新鎌ヶ谷)

種別ごとに行先が分かれた日中の上り列車・・・乗換不要で五反田,品川,上野・日暮里へ(2025.12.13:新鎌ヶ谷)

△種別ごとに行先が分かれた日中の上り列車・・・乗換不要で五反田,品川,上野・日暮里へ(2025.12.13:新鎌ヶ谷)

日中時間帯の西馬込・泉岳寺間ではかなりの頻度で北総車を見かけるようになった(2025.12.13:西馬込)

△日中時間帯の西馬込・泉岳寺間ではかなりの頻度で北総車を見かけるようになった(2025.12.13:西馬込)

珍しかった西馬込での北総車同士の並びも日常の光景に(2025.12.13:西馬込)

△珍しかった西馬込での北総車同士の並びも日常の光景に(2025.12.13:西馬込)

土休日は車両運用の調整のため牧の原・日医大間で回送列車が倍増(2025.12.13:印旛日本医大)

△土休日は車両運用の調整のため牧の原・日医大間で回送列車が倍増(2025.12.13:印旛日本医大)

平日朝における一部区間列車の都心直通列車化

平日朝9時台から10時台にかけて運転されていた矢切折返しの区間列車1往復が,京成高砂・矢切間での運転区間延長によって都心直通列車に変更された。当該の列車は,平日朝9時台の上り普通列車を時間6本運転とするために2022年2月のNo.118ダイヤ改正で新鎌ヶ谷折返しとして設定され,2023年11月のNo.119ダイヤ改正での運転区間の延長によって矢切折返しとなった経緯がある。

さらに,今回のダイヤ改正による区間列車の都心直通列車化にあわせて,平日朝9時台から10時台にかけての普通列車の運転時刻が見直された。これまで増発された区間列車によって不均等になっていた運転間隔の適正化が図られたもので,これによって上り普通列車は朝9時台まで京成高砂・印西牧の原間で時間6本運転となったほか,朝9時半から10時半頃までの下り普通列車の運転間隔が均等化された。

矢切駅でも9時台までは時間6本運転となった上り普通列車(2025.12.15:矢切)

△矢切駅でも9時台までは時間6本運転となった上り普通列車(2025.12.15:矢切)

土休日夜間における区間列車の増発

土休日夜間の区間列車が新鎌ヶ谷・印西牧の原間(往路は印旛日本医大発)で1往復増発された。当該列車を含む土休日午後から夜間にかけての区間列車は,アクセス特急列車によって不均等になる普通列車の運転間隔を補正し,新鎌ヶ谷・印西牧の原間における下り普通列車の15~10分間隔運転を実現するものである。

今回のダイヤ改正では,新鎌ヶ谷場面20時頃の下りアクセス特急列車に対応した区間列車1往復が新設されたことで,アクセス特急列車を基準に改正前より1本分遅い時間まで区間列車が運転されることになった。新鎌ヶ谷・印西牧の原間で下り普通列車が15~10分間隔運転となる時間帯は,改正前の19時半頃から20時半頃まで約1時間にわたって拡大し,土休日夜間における千葉ニュータウン区間内の移動の利便性が向上した。

車両運用の都合か,区間列車としては珍しい印旛日本医大発での設定(2025.12.13:印旛日本医大)

△車両運用の都合か,区間列車としては珍しい印旛日本医大発での設定(2025.12.13:印旛日本医大)

印旛日本医大の土休日19時台は15分間に3本も上り普通列車が走る(2025.12.13:印旛日本医大)

△印旛日本医大の土休日19時台は15分間に3本も上り普通列車が走る(2025.12.13:印旛日本医大)

区間列車の増発によって下り普通列車の10~15分間隔運転は20時半頃まで拡大(2025.12.13:白井)

△区間列車の増発によって下り普通列車の10~15分間隔運転は20時半頃まで拡大(2025.12.13:白井)

土休日夜間下りスカイライナーの緩急接続

前回改正で一部が新鎌ヶ谷に停車するようになった夜間下りのスカイライナーについて,今回のダイヤ改正から土休日に限り新鎌ヶ谷で普通列車との緩急接続が実現した。

今回のダイヤ改正で接続が実現したのは,土休日夜間のスカイライナー179号及び181号の2本である。いずれも新鎌ヶ谷で普通列車及びアクセス特急列車に接続可能で,東京都心から千葉ニュータウン方面への速達移動手段としての利便性が向上した。一方で平日については依然として接続列車の設定はなく,帰宅時間帯における着席保証列車としての価値の最大化には課題が残る。

なお,今回のダイヤ改正では上りスカイライナーの増発に伴い,AE形を使用したアクセス線経由の下り回送列車1本が土休日夜間に追加された。スカイライナーの間合いで運転されるAE形の下り回送列車は,前回改正での設定分とあわせて平日1本,土休日2本の運転となったが,このうち新鎌ヶ谷に停車していた土休日の1本は今回のダイヤ改正から通過扱いに変更されていて,AE形の下り回送列車における新鎌ヶ谷停車便の設定がなくなった。

新鎌ヶ谷で下り普通列車と接続するようになったスカイライナー181号(2025.12.13:新鎌ヶ谷)

△新鎌ヶ谷で下り普通列車と接続するようになったスカイライナー181号(2025.12.13:新鎌ヶ谷)

土休日夜間下りのスカイライナーはアクセス特急列車にも普通列車にも接続が良くなった(2025.12.13:新鎌ヶ谷)

△土休日夜間下りのスカイライナーはアクセス特急列車にも普通列車にも接続が良くなった(2025.12.13:新鎌ヶ谷)

日中時間帯における普通列車待避駅の一部変更

日中時間帯における普通列車の待避駅が変更され,一部の普通列車がスカイライナーを矢切で待避するようになった。新鎌ヶ谷でのスカイライナーの停車時分が延長されたためで,すなわち新鎌ヶ谷に停車するスカイライナーに限り上下方向ともに矢切待避となる。新鎌ヶ谷を通過するスカイライナーの待避は引続き東松戸で行われていて,日中時間帯における普通列車の待避パターンが複雑化した。

なお,日中時間帯に普通列車が矢切で待避を行うのは,2012年10月のNo.116ダイヤ改正で普通列車とアクセス特急列車がそれまでの矢切追抜きから新鎌ヶ谷での緩急接続に改められて以来13年ぶりである。

新鎌ヶ谷停車のスカイライナーにあわせて1時間あたり上下各1回設定される普通列車の矢切待避(2025.12.13:矢切)

△新鎌ヶ谷停車のスカイライナーにあわせて1時間あたり上下各1回設定される普通列車の矢切待避(2025.12.13:矢切)

区間列車の折返し以外に再び待避でも使われるようになった日中の矢切1番線(2025.12.13:矢切)

△区間列車の折返し以外に再び待避でも使われるようになった日中の矢切1番線(2025.12.13:矢切)

日中時間帯における矢切4番線での待避は約13年ぶりの復活(2025.12.13:矢切)

△日中時間帯における矢切4番線での待避は約13年ぶりの復活(2025.12.13:矢切)

北総所属車両による京成線内快速特急運用の設定

運転系統や車両運用の変更に伴い,平日の日中時間帯に北総所属車両による快速特急列車が京成線内に設定された。北総線系統の直通列車が羽田空港発着から西馬込発着に移り変わる際に京成高砂入庫となる下り列車1本に対して設定されたもので,羽田空港・京成高砂間で快特(快速特急)運転を行う。北総所属車両による京成線内の快速特急列車は今回が初めての設定である。

快速特急列車として京成押上線を下る第1223N(2025.12.15:八広)

△快速特急列車として京成押上線を下る第1223N(2025.12.15:八広)

京成高砂到着後は夜まで留置される北総所属車両(2025.12.15:京成高砂・新柴又間窓越し)

△京成高砂到着後は夜まで留置される北総所属車両(2025.12.15:京成高砂・新柴又間窓越し)

掲示物

ダイヤ改正の告知ポスターについては,各駅に9100形の写真をあしらったB3カラー判のポスターが掲出された。告知された改正の要点は,平日朝方における区間列車の都心直通列車化と,土休日夜間における区間列車の増発の2点である。日中時間帯における普通列車の運転系統見直しについては,「一部列車の発着時刻および行き先が変更となります。」の但し書きに留められた。このほか,各駅では発車標におけるスクロール文の表示や合成音声を使用した自動放送などによる案内も行われた。

ダイヤ改正に伴う時刻表等の貼替については,路線図や所要時間表はそのままに時刻表のみが変更された。改正後の時刻表は2022年11月のNo.118-2ダイヤ修正以来となる業者印刷で,北総鉄道公式ウェブサイト上で公開されているWeb時刻表にリンクするQRコードが今回から直接印刷されるようになった。

ダイヤ改正告知ポスター(2025.12.13:印旛日本医大)

△ダイヤ改正告知ポスター(2025.12.13:印旛日本医大)

ダイヤ改正後の時刻表(2025.12.13:新鎌ヶ谷)

△ダイヤ改正後の時刻表(2025.12.13:新鎌ヶ谷)